練馬桜台聖書フォーラム

八つの契約 レジュメ(19)2020年 8/22

2020.09.07

カテゴリー:八つの契約, 学び

八つの契約 レジュメ(19)2020年8/22

 

パレスチナという言葉の意味の変遷

ユダヤ人の世界離散とその後の最終的な回復まで時系列で預言されていたとは

アブラハム契約と土地の契約との整合性

約束の地の完全な成就は千年王国にて

 

2002年フルクテンバウム博士セミナー聖書の八つの契約テキスト)を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD9枚組)(MP3版)(テキストのみ

 

 

レジュメもくじ

前回のレジュメ(18)

 

フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。

以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。

緑色の文章はHP編者による補足説明です。
茶色の文章はDr.Arnold G. Fruchtenbaum『The Eight Covenants of the Bible』 からの補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。


Ⅰ.エデン契約
条件付き契約人類全般
Ⅱ.アダム契約
無条件契約 人類全般
Ⅲ.ノア契約
無条件契約  人類全般
Ⅳ.アブラハム契約
無条件契約イスラエル
Ⅴ.モーセ契約
(シナイ契約)
条件付き契約 イスラエル
Ⅵ.パレスチナ契約
(土地の契約)無条件契約イスラエル
Ⅶ.ダビデ契約
無条件契約 イスラエル
Ⅷ.新しい契約
無条件契約  イスラエル

 

 

復習

 

モーセ契約はシナイ契約という名前でも呼ばれます。
契約が結ばれた場所がシナイ山だったので
シナイ契約と言うんですね。
モーセ契約とシナイ契約は同じです。

 

 

質問
Q:
モーセ契約に対する異邦人の位置づけにについて
モーセ契約と異邦人との関係は何もないとは思えませんが、どう関係するのですか?

A:
皆さん、この質問にどう答えますか?
モーセ契約は異邦人と関係がある?ない?
「ない。」

何故ないと言えますか?

モーセ契約は誰に対して与えられましたか?
「イスラエルに対して。」

ですから異邦人である私たちはこれに関係がないばかりか、モーセの律法が「隔ての中垣」the middle wall of partitionとなり、イスラエルに与えられている約束に異邦人は参加できませんでした。

このモーセの律法「隔ての中垣」が取り去られるのはどうやってですか?
「イエスが十字架にかかった時に取り去られます。」

 

  

 

セミナーテキスト16ページ

 Ⅵ.パレスチナ契約(1/2)
THE LAND COVENANT

 

申命記29章30章

 

申命記とはモーセ五書の最後のものです。
どうしてモーセの五書に書かれてあることを新しい別の契約として位置付ける必要があるのでしょうか。
これはモーセ契約の一部では?

 

これを別の契約として位置付けるのは
申命記29:1でモーセ自身がこれはの契約であると言っているからです。

申 29:1 これらは、モアブの地で、【主】がモーセに命じて、イスラエルの子らと結ばせた契約のことばである。
ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である

ホレブとはシナイ山がある地域のことで
シナイ契約とは契約をここでは結ばせたと記されてます。

 

 

モーセ契約:申命記28章で終わり


別の契約: 申命記29章、30章

 

どうしてこれをパレスチナ契約と言うのでしょう?

ユダヤ人たちが、長い間パレスチナと呼ばれた土地に帰っていくと契約により約束されているからです。

 

パレスチナ契約
the Palestinian Covenant
という用語自体は200年前から使われ始めた言葉です。
この言葉自体は非常に意味のある言葉です。
ユダヤ人たちが帰還し始めた時
その地は
(何世紀も)パレスチナと呼ばれていたからです。

 

1800年代初期の頃:
パレスチナ契約という名前自体はいい名前でした。

 

今日
パレスチナ契約という言葉を使うのは余り良いとは思えません。
最近(2002年)パレスチナという言葉はパレスチナアラブ人を指して使われ、ユダヤ人を指す言葉ではなくなってきていますが、
パレスチナ契約とはアラブ人に与えられた契約ではなく
ユダヤ人に与えられた契約だからです。


(故)
アラファト議長がリーダーの団体の考え方にパレスチナ契約があります。

モーセがここで約束しているパレスチナ契約:
イスラエルの民が約束の地に再び集められる

アラファト議長が主張するパレスチナ契約:
あの地からユダヤ人を抹殺する

この二つの内容は正反対です。

 

ここで「パレスチナ契約」という言葉を使うのは、他の神学書でこの名前が使われているからです。

 

今は「パレスチナ契約」より
土地の契約
LAND COVENANT
と言ったほうがいいかもしれません。

 

 

 

 

A. 契約に与る者

The Participants in the Covenant

 

 

契約に与る者は神さまとイスラエルです。

これは、モーセ契約に与る者と全く同じです。

  

  

 

 

B. 土地の契約の条項

The Provisions of the Covenant

.

 

土地の契約
条項①

 

イスラエルが不信仰の結果、世界中に散らされる
 

モーセの律法に従わない、つまりモーセ契約に違反した結果、世界中に離散していくという預言です。

申命記29:2~30:1

申 29:2 モーセはイスラエルをみな呼び寄せて言った。

あなたがたは、エジプトの地で、ファラオとそのすべての家臣たちとその全土に対して、【主】があなたがたの目の前でなさったことをことごとく見た。
29:3 すなわち、あなたが自分の目で見たあの大きな試み、あの大きなしるしと不思議である。
29:4 しかし、【主】は今日に至るまで、あなたがたに悟る心と見る目と聞く耳を与えられなかった。
29:5 私は四十年の間、荒野であなたがたを導いたが、あなたがたが身に着けている上着はすり切れず、その履き物もすり切れなかった。
29:6 あなたがたはパンも食べず、ぶどう酒も強い酒も飲まなかった。
それは、「わたしがあなたがたの神、【主】である」と、あなたがたが知るためであった。
29:7 あなたがたがこの場所に来たとき、ヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグが出て来て、私たちを迎え撃ったが、私たちは彼らを討ち破った。
29:8 私たちは彼らの地を取り、これを相続地としてルベン人とガド人と、マナセ人の半部族に分け与えた。
29:9 あなたがたはこの契約のことばを守り、それを行いなさい。
あなたがたのすることがすべて栄えるためである。

29:10 今日あなたがたはみな、あなたがたの神、【主】の前に立っている。
すなわち、あなたがたの部族のかしらたち、長老たち、つかさたち、イスラエルのすべての人々、29:11 あなたがたの子どもと妻、宿営の内にいる寄留者、薪を割る者から水を汲む者に至るまでいる。
29:12 それは、あなたの神、【主】が今日あなたと結ばれる、あなたの神、【主】の契約とのろいの誓いとにあなたが入るためであり、29:13 先に主があなたに約束されたように、またあなたの父祖、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたように、今日あなたを立ててご自分の民とし、またご自分があなたの神となられるためである。
29:14 しかし私は、ただあなたがたとだけ、この契約とのろいの誓いを結ぶのではない。
29:15 今日ここで私たちの神、【主】の前に私たちとともに立っている者たちとも、今日、私たちとともにここにはいない者たちとも結ぶのである。

29:16 事実、あなたがた自身、私たちがエジプトの地に住んでいたこと、また私たちが異邦の民の中を通って来たことをよく知っている。
29:17 また、あなたがたは、彼らのところにあった忌むべきもの、すなわち木や石や銀や金の偶像を見た。
29:18 万が一にも、今日その心が私たちの神、【主】を離れて、これらの異邦の民の神々のもとに行って仕えるような男、女、氏族、部族があなたがたのうちにあってはならない。

あなたがたのうちに、毒草や苦よもぎを生じる根があってはならない。
29:19 こののろいの誓いのことばを聞いたとき、心の中で自分を祝福し、「私は自分の頑なな心のままに歩んでも大丈夫だ」と言うなら、潤った者も渇いた者も等しく滅びることになる。
29:20 【主】はその者を決して赦そうとはされない。
むしろ、そのとき、【主】の怒りとねたみがその者に対して燃え上がり、この書に記されている、すべてののろいの誓いがその者の上にのしかかり、【主】はその者の名を天の下から消し去られる。
29:21 【主】は、このみおしえの書に記されている契約の、すべてののろいの誓いにしたがい、その者をイスラエルの全部族から選り分けて、わざわいを下される。

「何のために、【主】はこの地にこのようなことをされたのか。
この激しい燃える怒りは何なのか。」
29:25 人々は言うであろう。

「それは彼らが、彼らの父祖の神、【主】が彼らをエジプトの地から導き出したときに結ばれた契約を捨て、29:26 彼らの知らない、また彼らに割り当てられたのでもない、ほかの神々のもとに行って仕え、それらを拝んだからだ。
29:27 それで【主】の怒りがこの地に向かって燃え上がり、この書に記されたすべてののろいが、この地にもたらされたのだ。
29:28 【主】は怒りと憤りと激怒をもって彼らをこの地から根こそぎにし、ほかの地に彼らを投げ捨てられた。
今日のとおりに。」

29:29  隠されていることは、私たちの神、【主】のものである。
しかし現されたことは永遠に私たちと私たちの子孫のものであり、それは私たちがこのみおしえのすべてのことばを行うためである。
30:1 私があなたの前に置いた祝福とのろい、これらすべてのことがあなたに臨み、あなたの神、【主】があなたをそこへ追い散らしたすべての国々の中で、あなたが我に返り、
ユダヤ人の世界離散に関する預言です。

この預言は文字通り成就しました。
今日、約束の地に住むユダヤ人より離散の地に住むユダヤ人の方が多いほどです。

 

1番目のこの条項は歴史上既に成就しています。
2番目以降の事柄は将来成就する内容です。
 

 

 

 

 

土地の契約
条項②

 

イスラエルは民族的、国家的悔い改めを体験する

 

申命記30:2
申 30:2 あなたの神、【主】に立ち返り、私が今日あなたに命じるとおりに、あなたも、あなたの子どもたちも、心を尽くし、いのちを尽くし、御声に聞き従うなら、
イスラエルの国家的な悔い改めはイエス・キリストが再臨される大前提となります。

 

 

 

 

  

土地の契約
条項③

 

イスラエルの国家的悔い改めがなされた時に
メシアが地上に戻って来られる


申命記30:3a
申 30:3 あなたの神、【主】はあなたを元どおりにし、あなたをあわれみ、あなたの神、【主】があなたを散らした先の、あらゆる民の中から、再びあなたを集められる。
(日本語訳からは読み取れません)
that then Jehovah your God will turn your captivity, and have compassion upon you, and will return and gather you from all the peoples, whither Jehovah your God has scattered you.

 

 

 

 

 

土地の契約
条項④


ユダヤ人、イスラエルは離散の地から再び集められ約束の地に帰ってくる
 

申命記30:3b~4
申 30:3 あなたの神、【主】はあなたを元どおりにし、あなたをあわれみ、あなたの神、【主】があなたを散らした先の、あらゆる民の中から、再びあなたを集められる
30:4 たとえ、あなたが天の果てに追いやられていても、あなたの神、【主】はそこからあなたを集め、そこからあなたを連れ戻される。

 

モーセは将来起こることを時系列に並べて預言

イスラエルの民が離散しているあちこちで悔い改めに導かれる
メシア(イエス・キリスト)(地上に)帰ってこられる
イスラエルの民は約束の地に再び集められる

 

 

 

 

 

セミナーテキスト17ページ

土地の契約
条項⑤


イスラエルはアブラハム契約で約束されていた約束の土地を全て所有するようになる

 

申命記30:5
申 30:5 あなたの神、【主】はあなたの先祖が所有していた地にあなたを導き入れ、あなたはそれを所有する。
主はあなたを幸せにし、先祖たちよりもその数を増やされる。

これはまだ未来のことです。

 

  

 

 

 

土地の契約
条項⑥

イスラエルは霊的に生まれ変わった民族として生存し続ける

申命記30:6
申 30:6 あなたの神、【主】は、あなたの心と、あなたの子孫の心に割礼を施し、あなたが心を尽くし、いのちを尽くして、あなたの神、【主】を愛し、そうしてあなたが生きるようにされる

 

(セミナーテキスト(6))
「イスラエルは、霊的に再生される。」は
「イスラエルは霊的に再生された状態で生き続ける。」と書いてください。
千年王国で(患難期を生き延びた、肉体をもって千年王国に入ったたユダヤ人が結婚し、子どもができ)ユダヤ人が生まれるとそのユダヤ人は皆信者になっていくということです。

 

ユダヤ人が生まれ変わり
(全てのユダヤ人がイエスを信じて救われ)
メシアが来(イエス・キリストが再臨し)
千年王国が成就し
千年王国の時代に生まれる新しいユダヤ人の子どもたちは全て信者になります

 

 

 

 

イスラエルの敵たちは裁かれる

 

申30:7 あなたの神、【主】はあなたの敵に、あなたを迫害した、あなたを憎む者たちに、これらすべてののろいを下される。

 

 

 

 

  

土地の契約
条項⑦

イスラエルは完全な祝福を受けるようになる

 

申命記30:8~10(20)
申 30:8 あなたは再び【主】の御声に聞き従い、私が今日あなたに命じる主のすべての命令を行うようになる
30:9 あなたの神、【主】はあなたのすべての手のわざ、あなたの胎の実、家畜が産むもの、大地の実りを豊かに与えて、あなたを栄えさせてくださる。
まことに【主】は、あなたの父祖たちを喜ばれたように、再び、あなたを栄えさせて喜ばれる。
30:10 これは、あなたが、あなたの神、【主】の御声に聞き従い、このみおしえの書に記されている主の命令と掟を守り、心のすべて、たましいのすべてをもって、あなたの神、【主】に立ち返るからである。


30:19 私は今日、あなたがたに対して天と地を証人に立てる。
私は、いのちと死、祝福とのろいをあなたの前に置く。
あなたはいのちを選びなさい。
あなたもあなたの子孫も生き、30:20 あなたの神、【主】を愛し、御声に聞き従い、主にすがるためである。
まことにこの方こそあなたのいのちであり、あなたの日々は長く続く。
あなたは、【主】があなたの父祖、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われたその土地の上に住むことになる。

メシア的王国(千年王国)の祝福が全てここで成就するということです。

 

 

 

 

 

土地の契約が非常に意味があるのは
アブラハム契約の土地の約束の部分が再確認されていることです。 

 

アブラハム契約とモーセ契約を比べると
土地に関する条項が
お互い矛盾しているように見える
ところがあります。

 

アブラハム契約:
土地が無条件にイスラエルに与えられると約束されています。

 

モーセ契約
もし民がモーセの律法に忠実に生きないならば約束の地から追放されると書いてあるのです。

そこでこういう疑問が湧いてきます。
Q:
モーセ契約にあるように、もしユダヤ人が不信仰に陥ったならばアブラハム契約の土地の約束の部分は取り去られ、無効になるのだろうか?

A:
土地の契約はその質問に対してNO
そんなことはない、と。

二つの原則をバランスをもって理解しなければいけません。

 

アブラハム契約によれば
土地の所有権は無条件で保証されています。

しかし、その土地が与える祝福を体験できるかどうか
モーセの律法に忠実であるかどうかによって決まるのです。

 

 

アブラハム契約により
所有権
(オーナーシップ)は永遠

モーセ契約により
占有権は制限される

土地の享受は従順が条件となります

ですから、土地から追放されそこに住めないからといってその土地に対する所有権を失うわけではないのです。

 

 

 

旧約聖書の時代
イスラエルの民は約束の地全部を占有したわけではありません。
イスラエルの領土は広がったり狭くなったりの繰り返しでした。
アブラハム契約に約束されている土地全てを所有したということは未だ一度もありません



最近50年間のイスラエルの歴史
最初少なかったけれど増えて、また返還して狭くなってということを繰り返しています。
(建国以前、ユダヤ人は荒廃した不毛な荒地、伝染病のはびこる沼地をオスマントルコの不在地主から法外な値段で少しずつ買い取り、開墾していました。)
(現在のイスラエルは四国ほどの広さです)
或る人々は、イスラエルが土地を返して狭くなるのは聖書の原則に反していると言いますが、そうではないのです。
イスラエルの民が民族的に、メシアであるイエスを信じるようになる時が来るまでは、約束した土地を全部ユダヤ人が所有することはないのです。
その時が来るまで、領土は広がったり狭くなったりの繰り返しです。

 

 

土地の契約が再確認している点:
イスラエルの民がそこに住んでいてもいなくても
アブラハム契約によれば土地の所有権はイスラエルのものです。

 

アブラハム契約の土地の側面を更に詳細に展開したものがこの土地の契約だということができます。

 

 

不信仰になっても
イスラエルの民には
土地の約束が
永遠に与えられています。

                                                                                                                                

 

 

(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 22土地の契約とはどのようなものか をどうぞ。)

 

                                                                                                             

八つの契約(20) 2020年9/12
Ⅵ.土地の契約(2/2) C.パレスチナ契約の追認、質問    

練馬桜台聖書フォーラム

代表 :南 知之

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