練馬桜台聖書フォーラム

天使論、サタン論、悪霊論 レジュメ(1)2022年 5/7

2022.05.12

カテゴリー:お知らせ, 天使論、サタン論、悪霊論, 学び

天使論、サタン論、悪霊論
レジュメ(1
)2022年5/7

 

「選ばれた御使い」の意味に圧倒される

 

2010年フルクテンバウム博士セミナー『天使論、サタン論、悪霊論テキスト) を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD8枚組)(MP3版)(テキストのみ
DVD8枚組は販売終了)

 

レジュメもくじ

前回のシリーズ「終末論のクライマックス」レジュメ(28

 

フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。

以下
青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは口語訳聖書 旧約聖書1955年改訳 新約聖書1954年改訳 日本聖書協会 を使用しています)
紫色の聖句は2回目の聖句または参考聖句
(英語訳は基本American Standard Version  ASVです。)
黒色の文章がセミナーの説明文

緑色の文章はHP編者による補足説明
茶色の文章Dr.Arnold G. Fruchtenbaum 『A Messianic Bible Study from Ariel Ministries』
MBS073 Angelology :  The Doctrine of the Elect Angels
からの補足説明です。

興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。

 

 

天 使 論

イントロダクション
Ⅰ.天使の存在
Ⅱ.天使の名前
Ⅲ.天使の創造
Ⅳ.天使の数
Ⅴ.住まい、活動範囲、現れ
Ⅵ.天使の性質
Ⅶ.天使の本質
Ⅷ.組織
Ⅸ.天使の働き
Ⅹ.天使の運命

悪魔の策略に対抗して
立ちうるために、
神の武具で
身を固めなさい。
わたしたちの戦いは、
血肉に対するものではなく、
もろもろの支配と、権威と、
やみの世の主権者、
また天上にいる
悪の霊に対する戦いである。
エペソ人への手紙 6:11,12

 セミナーテキストの1ページ

イントロダクション

 

 このテーマに関しては未信者だけでなく
信者の間にもいろいろな誤解がある

例)
天使の絵
たいてい翼を持ち女性
聖書的には(下位の)天使は羽がなく 男性

 

このセミナーの目的
信者未信者に関わらずこのテーマに関して流布されている誤解を解くこと

 

 

 

*天使についての誤った教え


天使は実際には存在せず
神から出た一時的(あるいは永遠の)発散物あるいは放射物という考え方


天使とは栄化した人間という誤解
例)
アメリカ お母さんが子供に「あなたがいい子だったらねえ、死んだら天使になるのよ。」と言う
しかし人間と天使はどこまでいっても人間と天使であり永遠にその状態は変わらない


未信者の間では天使は存在せず想像上の産物
という考え方が一般にある

 

 

 

*天使論 3つの分野に区分

1)天使論そのもの
堕落しなかった聖なる天使についての学び
2)サタン論
3)悪霊
堕落した天使の教理
最後は皆からの質問に答える時間

 

 

 

*天使を表現する2つのタイトル

 

 

「選ばれた御使い」
the elect angels 

1テモテ5:21
一テモ 5:21 わたしは、神とキリスト・イエスと選ばれた御使たちとの前で、おごそかにあなたに命じる。
これらのことを偏見なしに守り、何事についても、不公平な仕方をしてはならない。

アダムとエバは造られたのち神に従うか否か園で試された
同じように天使は造られたあと神に従順か否かを試された
3分の1の天使は神に従わないことを選びサタンの堕落に追従し悪霊となった
3分の2がサタンに従わないことを選びその聖さが確定された
「確定された聖さ」とはもはや堕落することができないことを意味する
信者が復活のからだを与えられる時その聖さは確定され
神ご自身は常にその聖さは確定され
罪を犯すことはできない。

 

 

「聖なる御使い」
the holy angels

マルコ8:38
マル 8:38 邪悪で罪深いこの時代にあって、わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使たちと共に来るときに、その者を恥じるであろう」。

ルカ 9:26 わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、自分の栄光と、父と聖なる御使との栄光のうちに現れて来るとき、その者を恥じるであろう。

 

この天使たちは聖なる状態が確定した天使
もはや堕落する道を選ぶことができない天使たち

 

 

 

 

 

Ⅰ.天使の存在

 

*天使は存在するのか

天使という言葉は聖書に273回
聖書66巻のうち34巻

*旧約聖書
108回
18の書

*新約聖書
165回
16の書(へブル書にも)

最初のである創世記 最後の書である黙示録 その中間にある書にも
初期の書だけでなくギリシャ ローマ文明が非常に栄えた時期にも
いろいろな著者
幻をみる預言者の著者だけでなく歴史的な文脈でも
イエスご自身も天使が存在すると教えている

(新改訳2017で「天使」という言葉は検索できませんでした。「御使い」と訳されているようです。)

 

 

 

*イエスの教え

イエスが教えている箇所

マタ 13:39 それをまいた敵は悪魔である。
収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。


マタ 13:41
人の子はその使たちをつかわし、つまずきとなるものと不法を行う者とを、ことごとく御国からとり集めて、


マタ 13:49 世の終りにも、そのとおりになるであろう。
すなわち、御使たちがきて、義人のうちから悪人をえり分け、

 

マル 12:25 彼らが死人の中からよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはない。
彼らは天にいる御使のようなものである。

 

セミナーテキストの2ページ

ルカ 12:8 そこで、あなたがたに言う。
だれでも人の前でわたしを受けいれる者を、人の子も神の使たちの前で受けいれるであろう。
12:9 しかし、人の前でわたしを拒む者は、神の使たちの前で拒まれるであろう。

 

ヨハ 1:51 また言われた、
「よくよくあなたがたに言っておく。
天が開けて、神の御使たちが人の子の上に上り下りするのを、あなたがたは見るであろう」。

 

 

天使の存在についてイエスがどう考えていたか5つの可能性

イエスは欺かれていた
イエスは誤解していた或いは騙されていたという考え方

本当は存在しないのに イエスが誤解し天使は存在すると思っていたなら
イエスが神であり人であるメシアだという可能性はなくなる


イエスは欺いていた
天使が存在しないとイエスは知っていたが嘘を教えた
だとしたらイエスはにせ預言者になる


欺きのより婉曲的な試み
当時のユダヤ人社会では天使の存在は一般的に信じられていたので イエスもそれに習っただけという考え方
しかし福音書でイエスさまが当時の認識に合わせて自分の考えを教えている箇所は見当たらない
人々が誤った認識を持っている時にはイエスさまはそう考えるのは間違いだと教えているところが多い


福音記者たちが欺いた
福音書の記者たちがイエスの口に置いた
イエス自身が言ったのではないという考え方
それが本当なら福音書を信頼して読むことができなくなる
どこが弟子たちがイエスに言わせていて どこが本当にイエスが言ったのか区別する基準がないから

 

 

聖書的観点から5番目の可能性だけが有効

イエスは天使の存在を信じ そのように教えた 天使は存在する

これが今回学ぶ内容のベース

 

 

 

 

 

Ⅱ.天使の名前

 

 

① 天使
angel

 

へブル語:マルアーク マルマク
ギリシャ語:アンゲロス
ともにメッセンジャーという意味

この言葉は人間が送る使いにも神が送る使いにも共に用いられる

 

創世記32章
人間の使者と天的な使者とが同じ章にでてくる

創 32:1 さて、ヤコブが旅路に進んだとき、神の使たちが彼に会った。
the angels of God
ヤコブに現れているのは天から送られたメッセンジャーなので angels
日本語訳「神の使たち」


創 32:3 ヤコブはセイルの地、エドムの野に住む兄エサウのもとに、さきだって使者をつかわした。
messengers
これは人間の使い「使者」と訳されている

 

しかしへブル語ではこの2つのグループは共に同じ言葉
へブル語: 人間の使者か天使かは文脈で判断するしかない

 

 

天的存在としての天使という言葉は2つの意味で使われる

1)天的存在 天使全部を指す言い方
2)一番下位に属している天使を指す場合もある

 

 

 

② 神の子たち
the sons of God

 

旧約聖書
へブル語「ベネイ・エロヒム」複数形
この言い方は必ず天使を指す

新約聖書
ギリシア語の「神の子たち」はもっと広い意味を指すようになる

 

旧約聖書の「ベネイ・エロヒム」は
堕落した天使にも
堕落していない天使にも使われる
例)
聖い天使

ヨブ 1:6 ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。
サタンも来てその中にいた。


ヨブ 2:1 ある日、また神の子たちが来て、主の前に立った。
サタンもまたその中に来て、主の前に立った。


ヨブ 38:7 かの時には明けの星は相共に歌い、
神の子たちはみな喜び呼ばわった。

 

堕落した天使に使われる用例

創 6:2 神の子たちは人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった。

 

創 6:4 そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。
これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。
彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。

 

 

 

 

③ 力ある者の子ら
the sons of the mighty one

 

「②神の子たち」と同じ意味

詩 29:1 神の子らよ、主に帰せよ、
栄光と力とを主に帰せよ。

 

詩 89:6 大空のうちに、
だれか主と並ぶものがあるでしょうか。
神の子らのうちに、
だれか主のような者があるでしょうか。

 

 

 

 

④ 聖なる者たち
the holy ones

 

堕落しなかった天使たちのこと
堕落しなかった状態を強調する

 

詩 89:5 主よ、もろもろの天に
あなたのくすしきみわざをほめたたえさせ、
聖なる者のつどいで、
あなたのまことをほめたたえさせてください。

 

詩 89:7 主は聖なる者の会議において恐るべき神、
そのまわりにあるすべての者にまさって
大いなる恐るべき者です。

 

ダニ 8:13 それから、わたしはひとりの聖者の語っているのを聞いた。
またひとりの聖者があって、その語っている聖者にむかって言った、
「常供の燔祭と、荒すことをなす罪と、聖所とその衆群がわたされて、足の下に踏みつけられることについて、幻にあらわれたことは、いつまでだろうか」
と。

 

 

 

 

セミナーテキスト3ページ

⑤ 見張りの者
watcher

 

神の意志が実行されているかをみる監視機能を強調

ダニ 4:13 わたしが床にあって見た脳中の幻の中に、ひとりの警護者、ひとりの聖者の天から下るのを見たが、

 

ダニ 4:17 この宣言は警護者たちの命令によるもの、この決定は聖者たちの言葉によるもので、いと高き者が、人間の国を治めて、自分の意のままにこれを人に与え、また人のうちの最も卑しい者を、その上に立てられるという事を、すべての者に知らせるためである』と。
(新共同訳:見張りの天使(4:10,13)
新改訳3,2017:見張りの者) 

ダニエル書4章の文脈では天使が 一人ひとりが神の命令に忠実に行動するかどうかを見張っているという言い方

 

 

 


⑥ 見張り人
watchmen

 

警護の概念も伝え 警護者として状況を監視する監視機能を強調

 

イザヤ書62:6にでてくる言葉
イザ 62:6 エルサレムよ、
わたしはあなたの城壁の上に見張人をおいて、
昼も夜もたえず、もだすことのないようにしよう。
主に思い出されることを求める者よ、
みずから休んではならない。

(新共同訳:見張り
新改訳3:見張り人
新改訳2017:見張り番)

⑤と⑥が似ているが強調点が若干異なる
この見張り人とは神さまがエルサレムの城壁に置かれた天使のこと
神さまが約束されたエルサレムが世界の首都となるという約束が成就するかどうかを見張っているのが見張り人としての天使の役割

 

 

 

 

⑦ 霊
spirits

 

へブル書1:14
ヘブル 1:14 御使たちはすべて仕えるであって、救を受け継ぐべき人々に奉仕するため、つかわされたものではないか。
天使は肉や骨を持たない霊的存在だと教えている言葉

天使は肉体を持っているかのように人の前にあらわれるがそれは彼らの本質ではない

 

 

 

 

⑧ 星
stars

 

星という言葉が象徴的に使われた時は
一つの例外を除いて 天使を指す

例外
民 24:17 わたしは彼を見る、しかし今ではない。
わたしは彼を望み見る、しかし近くではない。
ヤコブから一つのが出、
イスラエルから一本のつえが起り、
モアブのこめかみと、
セツのすべての子らの脳天を撃つであろう。

 

星が象徴的に使われた時は天使を指す

堕天使
に関しても聖い天使に関しても同じことが言える

 

ヨブ 38:7 かの時には明けのは相共に歌い、
神の子たちはみな喜び呼ばわった。

 

黙 1:20 あなたがわたしの右手に見た七つのと、七つの金の燭台との奥義は、こうである。
すなわち、七つのは七つの教会の御使であり、七つの燭台は七つの教会である。

 

黙 9:1 第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。
するとわたしは、一つのが天から地に落ちて来るのを見た。
このに、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。

 

黙 12:4 その尾は天のの三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。
龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。

 

 

 

 

⑨ 仕える者
ministers

 

人類の歴史の中で神の計画を成就するために神に仕える者たち
その意志を実行することを強調

 

詩 103:21 そのすべての万軍よ、
そのみこころを行うしもべたちよ、
主をほめよ。

 

詩 104:4 風をおのれの使者とし、
火と炎をおのれのしもべとされる。

Who maketh winds his messengers; Flames of fire his ministers;


ヘブル 1:7 また、御使たちについては、
「神は、御使たちを風とし、
ご自分に仕える者たちを炎とされる」
と言われているが、

 

 

 

 

⑩ 軍勢
host

 

これは軍事用語

旧約聖書でこの名前が使われる
天使たちが軍隊としての体裁を持っていることをあらわしている
神さまが総司令官でその指揮のもとに動く「軍隊」という認識がある
軍勢は神の天の万軍を含む

 

列王上 22:19 ミカヤは言った、
「それゆえ主の言葉を聞きなさい。
わたしは主がその玉座にすわり、天の万軍がそのかたわらに、右左に立っているのを見たが、
all the host of heaven


詩 103:20 主の使たちよ、
そのみ言葉の声を聞いて、これを行う勇士たちよ、
主をほめまつれ。
103:21 そのすべての万軍よ、
そのみこころを行うしもべたちよ、
主をほめよ。

 

詩 148:2 その天使よ、みな主をほめたたえよ。
その万軍よ、みな主をほめたたえよ。

 

 

 

 

⑪ 戦車
chariots

 

主の意志を実行するその速さを強調

 

天使たちが戦車のかたちであらわれている
ゼカリヤ書6:1~8
ゼカ 6:1 わたしがまた目をあげて見ていると、四両の戦車が二つの山の間から出てきた。
その山は青銅の山であった。
6:2 第一の戦車には赤馬を着け、第二の戦車には黒馬を着け、6:3 第三の戦車には白馬を着け、第四の戦車には、まだらのねずみ色の馬を着けていた。
6:4 わたしは、わたしと語るみ使に尋ねた、
「わが主よ、これらはなんですか」。
6:5 天の使は答えて、わたしに言った、
「これらは全地の主の前に現れて後、天の四方に出て行くものです。
6:6 黒馬を着けた戦車は、北の国をさして出て行き、白馬は西の国をさして出て行き、まだらの馬は南の国をさして出て行くのです」。
6:7 馬が出てくると、彼らは、地をあまねくめぐるために、しきりに出たがるのであった。
それで彼が
「行って、地をあまねくめぐれ」
と言うと、彼らは地を行きめぐった。
6:8 すると彼はわたしを呼んで、
「北の国をさして行く者どもは、北の国でわたしの心を静まらせてくれた」
と言った。

 

列王記第二6章でも
天使たちが戦車としてあらわれている
列王下 6:16 エリシャは言った、
「恐れることはない。われわれと共にいる者は彼らと共にいる者よりも多いのだから」。
6:17 そしてエリシャが祈って
「主よ、どうぞ、彼の目を開いて見させてください」
と言うと、主はその若者の目を開かれたので、彼が見ると、火の馬と火の戦車が山に満ちてエリシャのまわりにあった。

 

詩 68:17 主は神のいくさ車幾千万をもって、
シナイから聖所に来られた。

 

 

 

 

⑫ 神
elohim

 

エロヒムと言う言葉
「神」を意味する語エロヒムは唯一のまことの神にも
多くのにせの神にも使われる

 

神から遣わされ 神の御名において語るので天使が神と呼ばれる
天使は神の代理者であり神の名を語る権威を委任され
神の権威をもって語るので

詩篇8:5へブ2:7を見ると
天使を神と呼ぶのがそのとおりだとわかるはず


詩 8:5 ただ少しく人をよりも低く造って、
栄えと誉とをこうむらせ、
For thou hast made him but little lower than God,~

 

ヘブル 2:7 あなたは、しばらくの間、
彼を御使たちよりも低い者となし、
栄光とほまれとを冠として彼に与え、
Thou madest him a little lower than the angels;~

 

 

 

 

天使を指す12の名前について見てきた
或る呼び名は聖なる天使のみ
しかしある呼び名は堕天使も聖なる天使も指す

 

 

 

 

天使論、サタン論、悪霊論(2)2022年5/21
Ⅲ.天使の創造
Ⅳ.天使の数


練馬桜台聖書フォーラム

代表 :南 知之

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