練馬桜台聖書フォーラム

サタン論 レジュメ(1)2022年 11/26

2022.11.26

カテゴリー:お知らせ, 天使論、サタン論、悪霊論, 学び

天使論、サタン論、悪霊論レジュメ(13)改め
サタン論(1)2022年11
/26

 

悪魔サタンは旧新約に書かれイエスさまもその存在を認め教えていた

エゼキエル書28章
THE PRINCE OF TYRE AND THE KING OF TYRE

 

2010年フルクテンバウム博士セミナー『天使論、サタン論、悪霊論テキスト) を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD8枚組)(MP3版)(テキストのみ
DVD8枚組は販売終了)

 

レジュメもくじ

前回のレジュメ

 

フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。

以下
青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を使用しています)
紫色の聖句は2回目の聖句または参考聖句
黒色の文章がセミナーの説明文

緑色の文章はHP編者による補足説明
茶色の文章Dr.Arnold G. Fruchtenbaum 『A Messianic Bible Study from Ariel Ministries』
MBS077 Satanology :  The Doctrine of Satan
 と
MBS156 The Fall of Satan According to Ezekiel27:11-19からの補足説明です。

興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。

 

 

 

サタン論

SATANOLOGY:  

THE DOCTRINE OF SATAN
By Dr. Arnold Fruchtenbaum

 

イントロダクション
Ⅰ.サタンの存在     

Ⅱ.サタンの起源     
Ⅲ.サタンの堕落     
Ⅳ.サタンの人格     
Ⅴ.サタンの呼び名    
Ⅵ.サタンの本質     
Ⅶ.サタンの6つのすみか 
Ⅷ.サタンの業      
Ⅸ.サタンの裁き     
Ⅹ.信者の責務 

 

 

紙の聖書こちらをどうぞ

 

 

セミナーテキスト1ページ(25/75)


イントロダクション
INTRODUCTION

 

 

天使論の中の狭い意味での天使論で「聖なる天使」について話をした
この次に話す「堕落した天使たち」のリーダーである「サタン」或いは「悪魔」について学びたいと思う

闇の天使についての学び

 

サタンの名前

へブル語:サターン
ギリシャ語:サタナス
堕落してから与えられた名前

 

 

天使に関して誤解が幾つかあると言った
サタンに関してもいくつかの誤解がある

 

① 誤った教え
サタンは人格を持った存在ではなく悪の原理だ
という考え方

 

② 誤った教え
人が犯す全ての罪の背後にはサタンがいるという考え方

英語 日本語で「悪魔が私にこうさせた」という言い方をする
「悪魔がさせているのだから自分でその罪の責任はない」という言い逃れにつながる

 

③ 誤った教え
肉体的病気の全てまた精神的霊的問題の背後にサタンや悪霊の影響があるという考え方

理解すべきは
サタンが私たちを誘惑してくるということと
私たちに強制して何かをさせるということとは
別のこと

私たちが意志を持ってその誘惑に乗らない限り
サタンは私たちに何かをさせるということはない

 

学びの結果サタンについてより深い理解が与えられるようにと願っている

 

 

 

 

 

Ⅰ.サタンの存在
THE EXISTENCE OF SATAN

 

 

①旧約聖書では7つの書にでてくる

最初の書である創世記から比較的最後の預言書であるゼカリヤに至るまででてくる
創世記 Ⅰ歴代誌 ヨブ記 詩篇 イザヤ書 エゼキエル書 ゼカリヤ書

創世記が書かれた時からゼカリヤ書が書かれる時まで約1千年の隔たりがある
サタンがその1千年間の著作にあちこち名前がでてくるわけで
初期の書だけにサタンがでるのではない

 

 

②新約聖書では27巻のうち

19の書にでてくる

新約聖書の全てにでてくるわけではないが
新約聖書記者の全員がサタンの名前を挙げている

3つの本は悪魔という言葉を使っていないが悪霊の存在については語っている
コロサイ書、第2ペテロ、ガラテヤ書

 

 

③メシアの教えにでてくる

イエスさまは天使の存在を教えてくださった
同じように悪魔の存在についても語っている

福音書にはサタンへの言及が29回ある
そのうちの25回まではイエスさまご自身が語っている言葉

各福音書からの例
マタ 4:10 そこでイエスは言われた。「下がれ、サタン。『あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい』と書いてある。」
マル 3:26 もし、サタンが自らに敵対して立ち、分裂したら、立ち行かずに滅んでしまいます。
ルカ 13:16 この人はアブラハムの娘です。それを十八年もの間サタンが縛っていたのです。安息日に、この束縛を解いてやるべきはありませんか。」
ヨハ 12:31 今、この世に対するさばきが行われ、今、この世を支配する者が追い出されます。

聖書は明確にサタンの存在を教えている

 

 

 

 

 

Ⅱ.サタンの起源
THE ORIGINE OF SATAN

 

ではサタンがどこから来たのか

エゼキエル書28:11~15

 

エゼキエル書28:1~10では預言者エゼキエルがツロの君主に語れと命じられている

エゼ 28:1 次のような【主】のことばが私にあった。
28:2 「人の子よ、ツロの君主 the prince of Tyre に言え。
【神】である主はこう言われる。
あなたの心は高ぶり、『私は神だ。 I am a god
海の真ん中で神の座に着いている』と言った。
あなたは自分の心を神のように見なしたが、
あなたは人であって、神ではない。
yet thou art man, and not God,
28:3 あなたはダニエルよりも知恵があり、
どんな秘密もあなたに隠されていない。
28:4 あなたは自分の知恵と英知によって富を築き、
金や銀を宝物倉に蓄えた。
28:5 商いに多くの知恵を使って富を増し、
あなたの心は富のゆえに高ぶった。
28:6 それゆえ、【神】である主はこう言う。
あなたは自分の心を神の心のように見なした。
28:7 それゆえ、
わたしは諸国の中で最も横暴な他国人を
連れて来て、あなたを攻めさせる。
あなたの知恵の麗しさに向かって
彼らは剣を抜き、
あなたのまばゆい輝きを汚し、
28:8 あなたを滅びの穴に投げ入れる。
あなたは海のただ中で
刺し殺された者の死を遂げる。
28:9 それでもあなたは、自分を殺す者の前で
『私は神だ I am God 』と言うのか。
あなたを刺し殺す者たちの手の中にあって、
あなたは、人であり、神ではない。
but thou art man, and not God,
28:10 あなたは他国人の手によって
無割礼の者として死ぬ。
わたしがこれを語ったからだ。
──【神】である主のことば。」

キーワードはツロの君主

エゼキエルの時代の歴史を見るとツロの君主と呼ばれている人物は当時はツロの王様

ツロの王が
聖書ではツロの君主 the prince of Tyre と呼ばれている

キングと 君主と訳されているのはプリンス
王とプリンス どちらの位が上?王
本来は王なのに 神さまはここで一段ランクの低い名前を与えている
それがプリンス或いは君主という言葉

何故一段低いタイトルになってるのか?

このツロの王或いはツロの君主と言われている人物は地中海の貿易を支配しそこから富を得ていた者
エトバアル2世  Ithobaal Ⅱ

バビロンの商売人たちがギリシャ・ローマ世界に輸出したいと思う時は
ツロの王のところに行きその許可を得てから船に載せ送るという手続きを踏んでいた

その時の出費:いわゆる関税 ツロの船とツロの水夫たちに支払う費用
その結果ツロの王の財政は大いにうるおい 彼は豊かになり権威を誇示する存在になった

イスラエルにはソロモンという大いなる王 ヨシャパテという有名な王もいたが
彼らでさえもツロの王を通してでなければ商品を輸出することはできなかった

このツロの王は自分の富 力 権威に目をやり自分が何者かと考えた時に非常に傲慢になりプライドにつながった

2節
ツロの君主がこう言っている
わたしは神だ。海の真ん中で神の座についている。」
I am a god, I sit in the seat of God, in the midst of the seas;
ここまで傲慢になった

そこで神さまはエゼキエルという預言者を用いて
傲慢になり自らを神と等しいと思っているツロの君主を打つためのメッセージをお語りになる
それが1節から10節

 

再度
ここで登場している人物はツロの王
しかし神さまが彼に呼びかける時はツロの君主という1ランク下のタイトル

なぜ一段下のタイトルになっているか
本当の意味でツロを支配している人物がいるから
それがツロの王
そのツロの王と呼ばれる者もツロの君主と同じように傲慢で 自分を神とするという性質を持っている

 

 

11節から
エゼキエルがその目に見えないまことのツロの王に語りかける
この目に見えない王が目に見える王を支配している
両方ともプライドの故に自分を神だと思っている

ここで「ツロの君主」という言葉が「ツロの王」に変わっていることに注目してほしい
エゼ 28:11 次のような【主】のことばが私にあった。
28:12 「人の子よ。ツロの王 the king of Tyre について哀歌を唱えて、彼に言え。
【神】である主はこう言われる。
あなたは全きものの典型であった。
知恵に満ち、美の極みであった。
28:13 あなたは神の園、エデンにいて、
あらゆる宝石に取り囲まれていた。
赤めのう、トパーズ、ダイヤモンド、
緑柱石、縞めのう、碧玉、
サファイア、トルコ石、エメラルド。
あなたのタンバリンと笛は金で作られ、
これらはあなたが創造された日に整えられた。
28:14 わたしは、油注がれた守護者ケルビムとして
あなたを任命した。
あなたは神の聖なる山にいて、
火の石の間を歩いていた。
28:15 あなたの行いは、
あなたが創造された日から、
あなたに不正が見出されるまでは、完全だった。

エゼキエル書28:11~15に
サタンが堕落する前にどういう性質を持っていたかを4つ見ることができる

 

12節
サタンは最初は
知恵と美に満ちていた


エゼ 28:12 「人の子よ。ツロの王 the king of Tyre について哀歌を唱えて、彼に言え。
【神】である主はこう言われる。
あなたは全きものの典型であった。
Thou sealest up the sum,
知恵に満ち、美の極みであった
full of wisdom, and perfect in beauty.

満ち:へブル語で「型どおりに」「完璧に」という意味
この型とは私たちがわかる言葉で言えばブループリント青写真(設計図)
神さまがサタンに与えた青写真どおりに完璧に彼は知恵と美に満ちていたという意味

You seal up the sum
へブル語の
seal 封をする : to fill up 満たす to complete 完成させる を意味する
神さまが天地創造のわざをされた時それぞれの生物或いは人間に対してひとつの型をおつくりになった
ブループリント青写真に従って創造のわざを行われた
天使たちが創られた時彼らはこの型を満たすことのみであった
動物は型のそれ以上を満たし
人間はさらにそれ以上を満たした

ところが今論じているこのサタンと言われる存在を創った時に彼は2つの分野つまり知恵と美において神さまの青写真の全てを満たした
ということはこのサタンという存在は
被造世界で
知恵においてナンバー1
美においてナンバー1という存在としてつくられた

 

通常芸術家はサタンを描く時に醜い者というイメージで描いていくが
聖書はそれとはまったく正反対のことを言っている
サタンは最初は知恵に満ち また美の極みであった

 

 

13節
サタンは被造物である

永遠の過去には存在しなかった


エゼ 28:13 あなたは神の園、エデンにいて、

あらゆる宝石に取り囲まれていた。
every precious stone was thy covering,
赤めのう、トパーズ、ダイヤモンド、
緑柱石、縞めのう、碧玉、
サファイア、トルコ石、エメラルド。
あなたのタンバリンと笛は金で作られ、
これらはあなたが創造された日に整えられた。
(このエデンは創世記の植物のエデンの園ではなく 創1:1で地上にあった鉱物のエデン)

サタンは被造物であるとわかる
サタンは永遠の昔から存在していたわけではない

宝石でおおわれていた為にからだが輝いていたとわかる
エゼ28:13 あなたは神の園、エデンにいて、あらゆる宝石があなたをおおっていた。(新改訳3)
宝石に囲まれていて それが彼を「輝くもの」としていた

サタンにはタンバリンと笛とが与えられた
つまりサタンは創造された時に礼拝を導く役割を与えられたということ
神の礼拝を導く天における祭司として描かれている

 

 

14節

サタンはケルビムの一人
ケルブとして創られた


エゼ 28:14 わたしは、
油注がれた守護者ケルビムとして
Thou wast the anointed cherub that covereth:
あなたを任命した。
あなたは神の聖なる山にいて、
火の石の間を歩いていた。 

エゼ 28:14わたしはあなたを油そそがれた守護者ケルブとともに、神の聖なる山に置いた。あなたは火の石の間を歩いていた。(新改訳3)
これはちょっと翻訳上の問題がある

エゼ 28:14 わたしはお前を/翼を広げて覆うケルブとして造った。
お前は神の聖なる山にいて/火の石の間を歩いていた。(新共同訳)
サタンはケルビムの一人としてつくられた

セミナーテキスト2ページ

天使には階級があると言った
一番下が一般の天使
その次がセラフィム(セラフの複数形 上位の天使)
それからケルビム(ケルブの複数形 最上位の天使)

サタンはケルビムの一人なので一番上の位
しかしそれだけならほかのケルビムもいる
ところが14節はさらに油注がれたという言葉を使っている
油そそがれたとは特別に選ばれたという意味がある
油注ぎは他のケルブの上に立つ権威を与えるものとなった。

 

ミカエルが天使長 一般の天使の長
このサタンという存在はケルビムの長になった
その段階で彼は美においてナンバーワンというだけではなく力と権威においてもナンバーワンの地位についた

 

 

 

15節

④創造された時点では
完全であった


28:15 あなたの行いは、
あなたが創造された日から、
あなたに不正が見出されるまでは、完全だった

サタンは創造された時点では完全だったと語られている

 

彼は聖であり罪なき存在として完璧につくられた
同時にその性質に反する罪ある汚れた選びをする能力まで持っていた

 

 

 

 

 

まとめ

 堕落する前のサタンが何であるかをエゼキエル書28章から5つまとめた

 

1 サタンは被造物である
永遠の昔から存在したのではない

2 完璧な姿に創造された
一つの欠点もなく創られた

3 ケルブとして創造された
天的存在の最高位

4 知恵と美においては
被造物の最高峰
であった
最も賢く最も美しかった

5 油注ぎを受けた結果
被造物の中で最高の力と権威をもつようになった

ケルビムの中で油注ぎを受けてナンバーワンになったという意味

 

サタンが創造されてからどれくらいの期間聖い状態にとどまっていたのかはわからない

 

 

 

 

次回に再度エゼ28章を

 

天使論、サタン論、悪霊論(13)改めサタン論(2)2022年12/10へ
サタン論
Ⅲ.サタンの堕落
A最初に罪を犯した
B最初の罪:プライド(高慢)
Cサタンの堕落:罪の結果
Dサタンの最後のさばき


 

 

練馬桜台聖書フォーラム

代表 :南 知之

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