八つの契約 レジュメ(21)2020年9/26
ダビデ契約でメシアはダビデの家系からでることが明らかになった
2002年フルクテンバウム博士セミナー『聖書の八つの契約』(テキスト)を学んでいます。
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フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
緑色の文章はHP編者による補足説明です。
茶色の文章はDr.Arnold G. Fruchtenbaum『The Eight Covenants of the Bible』 からの補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
Ⅰ.エデン契約-条件付き契約-人類全般と
Ⅱ.アダム契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅲ.ノア契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅳ.アブラハム契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅴ.モーセ契約(シナイ契約)-条件付き契約 -イスラエルと
Ⅵ.土地の契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅶ.ダビデ契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅷ.新しい契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅶ.ダビデ契約 1/4
THE DAVIDIC COVENANT
セミナーテキスト18ページ
Scripture
ダビデ契約は2箇所、書かれています。
この2箇所は非常によく似ているのです。
しかし、一番中心的なところで大きな相違があります。
第1番目の聖書の箇所
サムエル記第二7:11b~16
Ⅱサム 7:11b【主】はあなた(ダビデ王)に告げる。
【主】があなたのために一つの家を造る、と。
7:12 あなたの日数が満ち、あなたが先祖とともに眠りにつくとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子をあなたの後に起こし、彼の王国を確立させる。
7:13 彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしは彼の王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。
7:14 わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。
彼が不義を行ったときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。
7:15 しかしわたしの恵みは、わたしが、あなたの前から取り除いたサウルからそれを取り去ったように、彼から取り去られることはない。
7:16 あなたの家とあなたの王国は、あなたの前にとこしえまでも確かなものとなり、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。』」
II Samuel 7:11b- 16: Moreover Jehovah tells you that Jehovah will make you a house. When your days are fulfilled, and you shall sleep with your fathers, I will set up your seed after you, that shall proceed out of your bowels, and I will establish his kingdom. He shall build a house for my name, and I will establish the throne of his kingdom for ever. I will be his father, and he shall be my son: if he commit iniquity, I will chasten him with the rod of men, and with the stripes of the children of men; but my lovingkindness shall not depart from him, as I took it from Saul, whom I put away before you. And your house and your kingdom shall be made sure for ever before you: your throne shall be established for ever.
ダビデの息子のソロモンSolomon(前1011?990?~931?) に焦点があっています。
第2番目の聖書の箇所
歴代誌第一17:10b~14
Ⅰ歴代 17:10b 今、わたし(神)はあなた(ダビデ王)に告げる。
【主】があなたのために一つの家を建てる、と。
17:11 あなたの日数が満ち、あなたが先祖のもとに行くとき、わたしはあなたの息子の中から、あなたの後に世継ぎの子を起こし、彼の王国を確立させる。
17:12 彼はわたしのために一つの家を建て、わたしは彼の王座をとこしえまでも堅く立てる。
17:13 わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。
わたしの恵みを、わたしはあなたより前にいた者から取り去ったが、彼からはそのように取り去ることはしない。
17:14 わたしは、わたしの家とわたしの王国の中に、彼をとこしえまでも立たせる。
彼の王座はとこしえまでも堅く立つ。』」
in I Chronicles 17:10b-14: Moreover I tell you that Jehovah will build you a house. And it shall come to pass, when your days are fulfilled that you must go to be with your fathers, that I will set up your seed after you, who shall be of your sons; and I will establish his kingdom. He shall build me a house, and I will establish his throne for ever. I will be his father, and he shall be my son: and I will not take my lovingkindness away from him, as I took it from him that was before you; but I will settle him in my house and in my kingdom for ever; and his throne shall be established for ever.
ダビデの遠い将来にでてくる子孫であるメシアthe Messiahに焦点があっています。
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この2箇所の聖句の執筆年代についての問いがフォーラムでだされました。
サムエル記
紀元前900年~800年頃?
イスラエルが王政(初代サウル王、次がダビデ王)に移行し、ダビデ王朝が確立後、北イスラエル王国と南ユダ王国(ソロモンの息子が初代の王)に分裂した頃?
歴代誌
著者がエズラだとするとバビロン捕囚解放後の紀元前440年前後?
両王国とも既になく、ダビデ家は絶えたかに見えた頃?
両聖句の書かれた時期には何百年ものへだたりがあります。
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セミナーテキスト18ページ
A. ダビデ契約に与る者
The Participants in the Covenant
これは神とダビデとの契約です。
ダビデは、ダビデの家(およびダビデ王朝)の代表the head of the Davidic House and Dynastyとしてこの契約を結ばれました。
B.ダビデ契約の条項
The Provisions of the Covenant
1
神さまはダビデに永遠の王朝を約束されました。
Ⅱサム 7:11b
【主】はあなたに告げる。
【主】があなたのために一つの家を造る、と。
Ⅱサム7:16
あなたの家とあなたの王国は、あなたの前にとこしえまでも確かなものとなり、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。』」
Ⅰ歴代 17:10b
今、わたしはあなたに告げる。
【主】があなたのために一つの家を建てる、と。
ダビデの家、王朝は途絶えることなく永遠に続くという約束が書かれています。
セミナーテキスト19ページ
2
ダビデの家は滅びず、人類の歴史上絶えずダビデの家の子孫が存続し続けます。
ダビデ家の王朝はダビデ家以外の者が引き継ぐことはあり得ないということです。
ダビデの息子の一人のソロモンがダビデの死のあとに王位に就きます。
Ⅱサム7:12
あなたの日数が満ち、あなたが先祖とともに眠りにつくとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子をあなたの後に起こし、彼の王国を確立させる。
(ダビデの三男アブサロムと四男アドニヤは王位を強奪しようとしましたが、ソロモンがダビデの王座に就きました。)
3
神殿を建てるのはダビデではなくソロモンです。
Ⅱサム7:13a
彼はわたしの名のために一つの家を建て、
この契約が結ばれる文脈の中でそのことが語られます。
ダビデは預言者ナタンに神殿を建てたいと願いますが、神さまはナタンにダビデではなくダビデからでる息子が建てるとおっしゃいました。
(ダビデの手は多くの血を流した為、神殿の建造は禁じられました。)
4
ダビデ王国の王座は永遠に確立されます。
Ⅱサム7:13b
わたしは彼の王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。
Ⅱサム7:16
あなたの家とあなたの王国は、あなたの前にとこしえまでも確かなものとなり、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。』」
永遠に確立されると約束されているのはソロモンのことではなく、ダビデの家系の王が座す王座が永遠に確立されるということです。
5
ソロモンは不従順の故に罰を受けますが、神さまがソロモンからご自分の慈愛を取り去ることはありません。
Ⅱサム7:14
わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。
彼が不義を行ったときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。
7:15 しかしわたしの恵みは、わたしが、あなたの前から取り除いたサウルからそれを取り去ったように、彼から取り去られることはない。
ダビデの前の初代の王はサウル王でした。
神はサウル王からは王位を取りのけたけれども、ソロモンからは取り除けないと約束されます。
無条件契約の良い例:
ソロモンは罪を犯しても恵みが取り去られることはないと約束されます。
ソロモンの罪はサウル王の罪より、より重い罪です。
サウル王の罪は、レビ人ではないのに祭司だけができる犠牲の動物を捧げたことです。
しかし、唯一のまことの神に犠牲をささげたのであり、偶像に捧げたわけではないのです。
ソロモンの罪は、聖書の中では最悪の罪と分類される偶像礼拝の罪です。
ソロモン王の罪の方がサウル王の罪よりもはるかに悪いということが言えます。
それにもかかわらず神は、サウルからは恵みを取り去ったけれどもソロモンからは慈愛を取り去ることがないとおっしゃいます。
何故でしょうか。
ソロモンに与えられている契約は無条件契約であり、サウルは無条件契約の中には含まれていなかったからです。
「恵み」という語は契約の誠実を強調します。
The word lovingkindness emphasized covenant loyalty.
6
メシアはダビデの家系 the Seed of Davidからあらわれます。
Ⅰ歴代 17:11
あなたの日数が満ち、あなたが先祖のもとに行くとき、わたしはあなたの息子の中から、あなたの後に世継ぎの子を起こし、彼の王国を確立させる。
歴代誌の箇所の焦点は、ダビデの直接の子どもではなく、ダビデの子孫としてあらわれるメシアに強調点があります。
7
王座、家、王国はとこしえに、メシアによって建てられます。
Ⅰ歴代 17:12
彼はわたしのために一つの家を建て、わたしは彼の王座をとこしえまでも堅く立てる。
17:13 わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。
わたしの恵みを、わたしはあなたより前にいた者から取り去ったが、彼からはそのように取り去ることはしない。
17:14 わたしは、わたしの家とわたしの王国の中に、彼をとこしえまでも立たせる。
彼の王座はとこしえまでも堅く立つ。』」
17:15 ナタンはこれらすべてのことばを、この幻のすべてを、そのままダビデに告げた。
歴代誌上はソロモンではなく、メシアとして来られる方に焦点があります。
サムエル記第二と歴代誌第一の比較
*罪を犯す可能性について
サムエル記2
ソロモンのことを言っているので
罪を犯す可能性が書かれています。
歴代誌1
メシアのこと
罪を犯す可能性がそもそもないので、それについての言及が全くありません。
*確立されるもの
サムエル記2
ダビデの家
ダビデの王座
ダビデの王国
歴代誌1
メシアである方ご自身
も確立されると付け加わっています
ダビデ契約で神さまはダビデに4つのことを約束しています。
① ダビデの家系王朝が永遠に続く
② ダビデの王座がとこしえに続く
③ 永遠の王国が続く
④ ダビデの子孫が永遠に確立される
メシア、神であり人であるお方のことです。
最初の3つ①②③が保証される理由は4番目④が永遠に確立されるからです。
ダビデの家系はメシアであるお方ご自身、神人をもって、ストップします。
メシアであるお方ご自身がダビデの家、王国、王座が永遠に続くことを保証しているということです。
ダビデ契約を要約すると、神はダビデに4つの永遠のことを約束された。
永遠の王家または王朝、永遠の王座、永遠の王国、そして永遠の子孫。
王家、王座、王国の永遠性は保証されている。
ダビデの子孫はついにはご自身が永遠である方、メシアである神人the Messianic God Manに至るからである。
ダビデ契約が非常に重要な理由
The Importance of the Covenant
アブラハム契約の中の子孫の約束の部分を更に詳細に定義づけているから
ダビデ契約によって「女の子孫」として生まれてくるメシアがどの家系から生まれるのか
どんどん狭められていきます。
アダム契約:
メシアは「女の子孫」として来られます。
その段階では人類のどの女性がメシアを産んでもおかしくない可能性がありました。
アブラハム契約:
「アブラハムの子孫」でなければいけないと明らかになりました。
そして、アブラハム・イサク・ヤコブの子孫である
「ユダヤ民族」からメシアが来るということが明らかになりました。
その段階ではイスラエルの12部族のどこからでもメシアが出る可能性があったわけです。
創世記49章で、イスラエルの12部族全部にこの契約が更新されています。
その時に、メシアは
「ユダ部族」から出るということが預言されます。
創世記49:10
創 49:10 王権はユダを離れず、王笏はその足の間を離れない。
ついには彼がシロに来て、諸国の民は彼に従う。
創世記49章以降私たちはメシアがユダ部族から来るという約束を与えられました。
その段階ではユダ部族であればどの家からでもメシアが出る可能性があったのです。
ダビデ契約:
ユダ部族の中のどの家族かということが決まります。
ダビデ契約によってメシアは
「ダビデの家系」から出てくるということが明らかになりました。
今回のレジュメは千年王国レジュメ(8)Ⅳ.メシア的王国におけるイスラエル A.イスラエルの最終的回復の4つの側面 4.ダビデの王座の回復 とダブっています。
フルクテンバウム博士による「Messianic Bible Study Series
MBS025 JESUS’S RIGHT TO DAVID’S THRONE」
ダビデの王座へのイエスの権利によると
エレミヤの時代に、エコンヤの子孫でないダビデ家の一員であることが王座の資格として追加されたとのことです。
呪われたはずのエコンヤがなぜメシアの家系につながっているのかという疑問がそれで解けました。
メシアはソロモン・・・エコンヤ・・・ヨセフという家系からではなく、マリア(ヨセフの義父、マリアの父エリ)の家系からでるということですね。
マリア:ソロモンの弟ナタンの家系(ルカ3章)
イエスの義父ヨセフ:ソロモンの家系(マタイ1章)
・・・・・
以下、フォーラム参加者の感想です。
・無条件契約の恵み、メシアの家系が絞られていくことが確認できた。自分が恵みの中にいて、救われていることが不思議な感じ。
・歴代誌が語られた時に皆はメシア的王国がすぐに来ると思っていたであろうが、それが2千年以上経った僕たちが遭遇しつつあることにロマンを感じる。とこしえの王国に僕らも入る。
・明解な箇所、メシアの出自lineageをみても信じられない人がいるのは何故。
家系図から人類学的な考察に想いが…
無条件契約という言葉について
・ダビデ契約においてメシアはダビデの家系から生まれる、つまりユダヤ人だとはっきりと言っている。そのことを考えた時に、教会がイスラエルにとってかわったとは言えない。教会はイスラエル人と異邦人がひとつになっているが、それがイスラエルにとってかわったわけではない。千年王国においてもユダヤ人と異邦人は区別されている。置換神学はあり得ない。
・私にとっては難しい箇所だったが、執筆年代から考えると歴代誌はメシア預言であると理解しやすくなった。
・私たちはしあわせ
・原福音の理解について
・家系図について
・グループディスカッションでしゃべりながら理解が深まった。
等々、感謝
(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』(書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 23 ダビデ契約とはどのようなものか をどうぞ。)
八つの契約(22) 2020年10/10へ
Ⅶ.ダビデ契約(2/4) C. ダビデ契約の追認