八つの契約 レジュメ(7)2020年1/11
ノア契約(後半) ノア契約のQ&A
2002年フルクテンバウム博士セミナー『聖書の八つの契約』(テキスト)を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD9枚組)(MP3版)(テキストのみ)
フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
緑色の聖句や文章はHP編者による補足説明です。
茶色の文章はフルクテンバウム博士著『The Eight Covenants of the Bible』からの補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
Ⅰ.エデン契約-条件付き契約-人類全般と
Ⅱ.アダム契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅲ.ノア契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅳ.アブラハム契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅴ.モーセ契約-条件付き契約 -イスラエルと
Ⅵ.パレスチナ契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅶ.ダビデ契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅷ.新しい契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅲ.ノア契約 2/2
THE NOAHIC COVENANT
創世記9:1~17
フルクテンバウムセミナー参加者によるノア契約についての質問と中川健一牧師による回答です。
ノア契約 Q&A
N-Q1:
患難時代に異邦人(ユダヤ人以外の全ての人)が裁きを受けるベースはノア契約の規定であるということについて
もう少し説明して欲しいという質問が沢山ありました。
N-A1:
ノア契約に違反して異邦人が裁かれるのはそのとおりですが、それだけではないのです。
ノア契約違反が裁きのベースの中心であるとイザヤ書24章からわかりますが、
それ以外に例えばアダム契約からくる「良心」によって裁かれるという側面も生きています。
ローマ人への手紙:
異邦人は「良心」が自らの基準になる
ロマ2:14 律法を持たない異邦人が、生まれつきのままで律法の命じることを行う場合は、律法を持たなくても、彼ら自身が自分に対する律法なのです。
2:15 彼らは、律法の命じる行いが自分の心に記されていることを示しています。
彼らの良心も証ししていて、彼らの心の思いは互いに責め合ったり、また弁明し合ったりさえするのです。
異邦人にとっての律法とはユダヤ人が頂いたモーセの律法のようなものではなく、良心自体が律法となります。
ですからノア契約が裁きの一番中核をなしていますがそれだけではなく、アダム契約からくる良心による基準も当然含まれてきます。
N-Q2:
具体的にノア契約に違反するとはどういうことなのか。
特に皆さんが心配されていたのはお料理の問題ですね
フランス料理などで動物の血を使ったソースや牛刺し、馬刺しを食べることも含まれるのでしょうか?
N-A2:
この方はだいぶグルメな方ですね。
動物の血を使ったソースなんて僕食べたことないです。
一回よろしくお願いします。
これはどこで線引きするか非常に難しいとフルクテンバウム先生と話していたのですが、
ここでは、動物を殺して料理をする前に血をコップ等に入れて飲むことが基本的には禁止されていると考えるべきです。
料理は100%血をなくすのは不可能ですから、そのことを言っているのではないと考えた方がいいです。
食物規定でユダヤ人たちはそれでも血を抜こうと努力します。
しかしそのことと、ここで言っていることとは違います。
血をそのまま飲むのはサタン礼拝と非常に深い関係があったように思うとフルクテンバウム先生がおっしゃっています。
今でも蛇の血、スッポンの血等、生き血を飲むのがありますが、そのことに対する禁止令だと考えたらいいでしょうということでした。
N-Q3:
反キリストが超自然的に誕生するということの意味は?
N-A3:
聖霊がマリヤに働いてイエスを身ごもったように、
サタンが婦人に働きかけて身ごもる超自然的な誕生と考えてよいというフルクテンバウム先生のご意見です。
しかも、そういう形で身ごもる女性は処女ではない、既に結婚を経験している女性だと考えられるということです。
N-Q4:
天使はとついだりめとったりしないのではありませんか?
N-A4:
マタイ22:23~30
マタ 22:23 その日、復活はないと言っているサドカイ人たちが、イエスのところに来て質問した。
「先生。モーセは、『もしある人が、子がないままで死んだなら、その弟は兄の妻と結婚して、兄のために子孫を起こさなければならない』と言いました。
22:25 ところで、私たちの間に七人の兄弟がいました。
長男は結婚しましたが死にました。
子がいなかったので、その妻を弟に残しました。
22:26 次男も三男も、そして七人までも同じようになりました。
22:27 そして最後に、その妻も死にました。
22:28 では復活の際、彼女は七人のうちのだれの妻になるのでしょうか。
彼らはみな、彼女を妻にしたのですが。」
サドカイ人たち、特に死後の復活はないと信じてる人たちがイエスさまに難しい質問をします。
その時のイエスさまのお答えが
マタ 22:29 しかし、イエスは彼らに答えて言われた。
「そんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからです。
22:30 復活の時には、人はめとることも、とつぐこともなく、天の御使いたちのようです。
と書いてあります。
私たちはめとることも、とつぐこともなくなる時がきます。
復活の時
地上にいる間はとついだりめとったりします。
天使にも2種類、堕落した天使(悪霊)と、堕落していない天使があります。
天の御使い:この御使いたちは堕落していない
堕落していない天使は、天においてとついだりめとったりはしない
堕落している天使:地上においては人の娘たちと結婚をしてネフィリムを産みだす。
このことは矛盾ではないのです。
これ(創6章)は堕落天使(悪霊)であり、この箇所(マタイ22章)で言っていることとまた少し意味が違うということですね。
N-Q5:
この堕落天使と人間の娘たちの婚姻の結果生まれたネフィリムという存在には霊があったのでしょうか?
N-A5:
フルクテンバウム先生はこれはわからないとおっしゃいました。
聖書からこうだという結論を出すのは難しいということです。
(詳しくはフルクテンバウム博士著・佐野剛史訳『メシア的キリスト論』(紙版) (電子書籍)p.186~194 テーマ別バイブルスタディ付録1 神の子ら をどうぞ。)
N-Q6:
ノア契約に違反をするとは具体的にはどういうことでしょうか?
N-Q6:
(N-A2で)今言ったように
血を飲む、血を食する
故意に殺人を犯す
その人(殺人者)に対する
罰則規定としての死刑を実行しないことも
ノア契約違反であるとフルクテンバウム先生はみていますね。
N-Q7:
最初人間に地を統治する使命が与えられました。
人間が堕落して以降それでも統治権があるように思えるのですが、どこがどのように違うのですか?
N-A7:
堕落する前に人間には、完全に無制限に地を支配する特権と使命が与えられていましたが、堕落以降はそれが取り去られて今度はサタンがその地を侵略してきているわけですね。・・・
エデン契約と同じようにノア契約においても地を再び「満たすように」という権限を人は委託されましたが、地を「従えよ」という命令は繰り返されませんでした。
人は堕落によりその権威を失い、サタンがそれを横取りしたからです。
N-Q8:
メシア(キリスト)が来られた時にノアの時代と同じようなことが起こるという意味は?
マタ 24:37 人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。
ルカ 17:26 人の子の日に起こることは、ちょうど、ノアの日に起こったことと同様です。
N-A8:
これは神の子たちと人の娘たちの結婚による堕落という類の事が起こるという意味ではなく、人々が普段何の恐れもなく日常生活をしている時に突如さばきが来る。
その突如くるという意味でノアの日のようであると語られているということですね。
N-Q9:
「天の窓が開かれる」とはどういう状態ですか?
N-A9:
これは大雨が降るということの格言的な表現です。
タライ(バケツ)をひっくり返したような雨が降ると良く言うでしょ。・・・
創 7:11 ~その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。the windows of heaven were opened.
創 8:2 また、大いなる水の源と天の水門が閉ざされ、the windows of heaven were stopped.天からの大雨が、とどめられた。
イザ 24:18 ~天の窓が開かれ、the windows on high are opened,地の基が震えるからだ。
N-Q10:
反キリストは例えば今のパレスチナ問題を偉大な力で見事に解決すると聞いていますが、どうでしょうか?
N-A10:
これは、そのとおりです。
しかし、パレスチナに平和をもたらすのではなく、イスラエルが軍事的に安心できる状態を作り出します。
反キリストがもたらすものは、軍事的に安全であるかのように見えるが、実は更に次の迫害と破壊に導くためのとりあえずの見せかけの方策です。
平和とは積極的な言葉です。
平和と呼べないけれども表面的には軍事的に安心できるかのような状況がこの反キリストによって作り出されるということですね。
N-Q11:
ノア契約で突如草食から肉食に移行する、許可されるのは何故ですか?
N-A11:
理由はわかりません。
ノア契約がもたらす人間による統治のディスペンセーションが来た時の神さまのお考えがそうだったからとしか言いようがありませんね。
それ以前の草食では何故ダメなのかは聖書から読んでお答えすることはできない、ということです。
ノア契約以前の人間が草食なので、よくベジタリアンの方がそこから神学的にいろいろな事を言うことがあります。
しかし、草食でなければいけない、あるいはベジタリアンであることを神学的に絶対あるべき姿として主張する等の結論をここから導き出すことはふさわしくない、またはできないわけです。
N-Q12:
ノアの時代の前は雨がなかったのですか?
N-A12:
そのとおりです。
虹は雨とともに発生します。
虹が現れたのは人類史上これが初めてでした。
N-Q13:
虹がでたと言います。
その虹は「雲の中に」という言葉がありますが、どういう意味ですか?
創 9:13 わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。~
9:14 わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。
9:16 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべての肉なるものとの間の永遠の契約を思い起こそう。」
N-A13:
虹がでるのは雨が降るからですね。
雲があるから雨が降る。
ですから大抵虹は雲とともに現れることが多い、そういう意味ですね。
(2020年現在、また別の意味を見出したくなりますが・・・)
N-Q14:
ノア契約の虹は地上から見た虹ですか?それとも上空から見えるイメージでしょうか?
N-A14:
私たちが虹を見る時は地上にいて見ますよね、普通。
ですからこれは地上から見た虹。
いろいろ考えもしないような質問がでてきますのでおもしろいですね。
N-Q15:
蛇と土地については呪われると言っていますが、アダムとエバについて呪いという言葉はでてこないと思います。
どうでしょうか?
創 3:14 神である【主】は蛇に言われた。「おまえは、このようなことをしたので、どんな家畜よりも、どんな野の生き物よりものろわれる。~
創 3:17 また、人に言われた。「あなたが妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、大地は、あなたのゆえにのろわれる。~
N-A15:
同じ文脈で語られている時に呪いと言わなくても否定的な言葉、例えば苦労して額に汗して労働する、産みの苦しみがくる、これはもう呪いなんですよ。
創3:17 ~あなたは一生の間、苦しんでそこから食を得ることになる。3:18 大地は、あなたに対して茨とあざみを生えさせ、あなたは野の草を食べる。3:19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついにはその大地に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたは土のちりだから、土のちりに帰るのだ。」
創3:16 女にはこう言われた。「わたしは、あなたの苦しみとうめきを大いに増す。あなたは苦しんで子を産む。
また、あなたは夫を恋い慕うが、彼はあなたを支配することになる。」
ですから呪いという言葉が使われているかどうかが問題ではなく、その文脈の中でネガティブな否定的な言葉が語られていることが既にこれは呪いの宣言であると暗示されているわけですね。
N-Q16:
ヨハネの黙示録20章に出てくる「古い蛇」は創世記3章の蛇と同じですか?
黙 20:2 彼は、竜、すなわち、悪魔でありサタンである古い蛇を捕らえて、これを千年の間縛り、
N-A16:
これは同じであるはずがありません。
創世記3章の蛇は死にました。
サタンが蛇をとおして語りかけ、あの蛇は死にました。
けれども黙示録の20章では、サタンのことを「古い蛇」と言ったわけですね。
これはサタンのことであり、創世記3章の蛇とはまた違います。
N-Q17:
箱舟がキリストの予表と捉えられることもありますが?
N-A17:
予表という意味、難しい言葉ですね。
キリストのタイプである。
タイプという言葉もなかなか難しいのです。
ですから、そこでは相関性があるという程度にしておいたらどうでしょうか。
ノアの箱舟がキリストの十字架をより理解できるような例話的役割をしていますから、その程度にとどめておくのがいいと思います。
それ以上神学的にいろいろ言い始めると、人間の自分勝手な議論になってしまいますから。
N-Q18:
ノア契約からアブラハム契約へどう続いていくのでしょうか?
N-A1:
それがこれからの講義の内容です。
講義を聞いてから、また分かりにくい所をご質問して頂きたいと思います。
最初とっつきにくかったのですが、私たちは段々こういう聖書の思考パターンに慣れてきたと思います。
3つ契約がありました。
第1の契約は
エデン契約 (契約は無効になりました)
「無垢の時代」
第2の契約
アダム契約 (今も契約は有効)
「良心の時代」
第3の契約
ノア契約 (今も契約は有効)
「人間による統治の時代」
各々のディスペンセーションがあるのですが、それが上手く機能しないが為に次のディスペンセーションに入っていきます。
次に入っていく時に前のディスペンセーションのベースになった契約が無条件契約であるならばその条項はなおも生き続けたままで次のディスペンセーションに入っていきます。
もし、ノア契約によって「人間の統治によるディスペンセーション」がうまく機能していたらアブラハム契約に入っていく必然性はないわけです。
しかしそれが上手くいかなかったので次にアブラハム契約に入っていきます。
講義の中で、第4の契約
アブラハム契約が最も重要な中心的な契約です。
(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』(書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 11「人間による統治の時代」とは、どのようなものか 19ノア契約とはどのようなものか をどうぞ。)
八つの契約(8) 2020年1/25へ
Ⅳ.アブラハム契約(1/4) 聖句 A.アブラハム契約に与る者 B.契約のしるし