練馬桜台聖書フォーラム

八つの契約 レジュメ(4)2019年 11/9

2019.11.13

カテゴリー:八つの契約, 学び

八つの契約 レジュメ(4)2019年11/9

 

アダム契約(前半) 蛇とサタンに対する条項

 

 2002年フルクテンバウム博士セミナー聖書の八つの契約テキスト)を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD9枚組)(MP3版)(テキストのみ

 

 

レジュメもくじ

前回のレジュメ(3)

 

 

フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。

以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。

緑色の聖句や文章はHP編者による補足説明です。

興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。

 

Ⅰ.エデン契約条件付き契約人類全般
Ⅱ.アダム契約
無条件契約人類全般
Ⅲ.ノア契約 -無条件契約   
人類全般
Ⅳ.アブラハム契約-無条件契約イスラエル

Ⅴ.モーセ契約
条件付き契約 イスラエル
Ⅵ.パレスチナ契約-無条件契約
イスラエル
Ⅶ.ダビデ契約-無条件契約 
イスラエル
Ⅷ.新しい契約-無条件契約 
イスラエル

 

 

セミナーテキスト5ページ

 

Ⅱ.アダム契約 1/2

THE ADAMIC COVENANT

 

2つ目の契約です。

Scripture: Genesis 3:14-19

創世記3:14~19
(セミナーでは新改訳3より以前の訳がプロの中村啓子さんにより朗読されました。ここに載せたのは新改訳2017です。)
創 3:14 神である【主】は蛇に言われた。
「おまえは、このようなことをしたので、
どんな家畜よりも、
どんな野の生き物よりものろわれる。

おまえは腹這いで動き回り、
一生、ちりを食べることになる。

3:15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、
おまえの子孫と女の子孫の間に置く。

彼はおまえの頭を打ち、
おまえは彼のかかとを打つ。」

3:16 女にはこう言われた。
「わたしは、あなたの苦しみとうめきを
大いに増す。

あなたは苦しんで子を産む。
また、あなたは夫を恋い慕うが、
彼はあなたを支配することになる。」

3:17 また、人に言われた。
「あなたが妻の声に聞き従い、
食べてはならないと
わたしが命じておいた木から食べたので、
大地は、あなたのゆえにのろわれる。

あなたは一生の間、
苦しんでそこから食を得ることになる。

3:18 大地は、あなたに対して茨とあざみを生えさせ、
あなたは野の草を食べる。

3:19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、
ついにはその大地に帰る。

あなたはそこから取られたのだから。
あなたは土のちりだから、
土のちりに帰るのだ。」

 

 

 

A. アダム契約に与る者
The Participants in the Covenant

 

ここでも、神とアダムとの契約です。

アダムは再び、人類全部の代表として契約を結んでいるので、アダムに関して適用される事柄は全て
全人類に適用されていると考えることができます。

 

 

 

 

 

B. アダム契約の条項
The Provisions of the Covenant

 

 

B1.蛇に対して
The Serpent: Genesis 3:14

 

セミナーテキストで抜けている条項です。
→追加テキスト1ページ

創世記3:14
創 3:14 神である【主】は蛇に言われた。
「おまえは、このようなことをしたので、
どんな家畜よりも、
どんな野の生き物よりものろわれる。

おまえは腹這いで動き回り、
一生、ちりを食べることになる。

蛇に対して3つの条項が語られます。

 

① 蛇に対する第1の条項

創 3:14ab
神である【主】は蛇に言われた。

「おまえは、このようなことをしたので、
どんな家畜よりも、
どんな野の生き物よりものろわれる。

蛇は他のどんな動物よりも呪われるという条項です。

この地上の動物界は全て呪われた状態に今陥りました。
動物界に権威を持っていたアダムが呪われたので、アダムの下にあった動物界全てが呪われました
その中でも蛇は特別に厳しい呪いのもとに置かれました。

蛇はサタンに利用され人間を堕落させる道具に用いられたからです。

原則:普通、聖書で動物は道徳的な責任は問われない存在として描かれている

例外:動物が人間に対して害をもたらす場合のみ道徳的倫理的に責任を問われる

例)
創世記9:5
創 9:5 わたしは、あなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する
いかなる獣にも、それを要求する。
また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。
人間に対して害を与えた場合はどんな獣にそれを要求すると書かれています。

 

 

 

② 蛇に対する第2の条項

創 3:14c
おまえは腹這いで動き回り、

蛇はその責任を問われた結果、それ以降は腹ばいになって動くという呪いを受けます。

呪いを受ける以前、蛇は腹ばいで動いていなかったと推定されます。
教会史で、ではそれ以前のに足があったのかなかったのかというすごい議論があるのです。
しかし、それは不毛な議論であり、腹ばいになる前の蛇は別の形で、からだが立った形で動いていたということです。

 

 

 

③ 蛇に対する第3の条項

創 3:14c
(おまえは)
一生、ちりを食べることになる。
そして蛇が食べるものはちりであるということ。

聖書を批判する人は、聖書は間違っている、蛇はちりを食べないと言います。
しかし、

ちりを食べるという表現:全ての動物の中で最も呪いを受けた生き方をするという意味のヘブル語の格言

ミカ7:17
ミカ 7:17 彼らは、蛇のように、地を這うもののように土をなめ、震えながら自分たちの洞穴から出て来ます。~

イザ65:25
イザ 65:25 狼と子羊はともに草をはみ、獅子は牛のように藁を食べ、蛇はちりを食べ物とし、わたしの聖なる山のどこにおいても、これらは害を加えず、滅ぼすこともない。──【主】は言われる。」

この種の動物に対しての呪いはメシア的王国においてさえ継続していきます。
(ちなみにメシア的王国に煙の立ちのぼる荒廃した地があると分かち合うとフォーラム参加者に驚かれました。)

 

 

 

B 2. サタンに対して


Satan: Genesis 3:15

創世記3:15
3:15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、
おまえの子孫と女の子孫の間に置く。

彼はおまえの頭を打ち、
おまえは彼のかかとを打つ。」
創世記3章15節は大変な節で、それ以降聖書に繰り返し出てくるメシア預言の最初のものです。
(創3:15は原福音げんふくいんと呼ばれます。)

 

最初のメシア預言の場所は極めて理論的整合性があります。
3:1~13): 人間の罪について
人間がどのようにして堕落したかを教えている
3:15救いについて
メシアがどのようにしてその罪から人間を救うかという預言

 

その節で、サタンに対して4つの条項が語られます。

① サタンに対する第1の条項

創3:15a
わたしは敵意を、おまえと女の間に、
(~置く。)
and I will put enmity between thee and the woman,
サタンと女との間に敵意が起きます。

サタンは女性及び女性の子孫たちに対して敵意を抱き続けます。

  

 

 

② サタンに対する第2の条項

創3:15a
(わたしは敵意を、~)おまえの子孫と女の子孫の間に置く。
and between thy seed and her seed:
サタンの子孫と女の子孫の間に敵意を置く、と発展していきます。

この敵意は反キリストとメシアの間で最高潮に達します。

 

子孫: ヘブル語で「」という言葉
女の子孫
おまえの子孫=サタンの子孫、
二つの子孫という言葉がでてきてます。

解釈学の原則:
同じ節に同じ言葉が2回出てきている場合、通常はその言葉は同じ意味ととるのが普通

 

女の子孫という言葉から
メシア預言:メシア(救い主)は人類の女から生まれる者と明らかになります。
と同時に、メシアは人であり、神人として登場するという伏線になっています。

しかし、メシアを「女の子孫」と呼ぶのは聖書の原則からは非常に普通ではありません。
聖書で子孫、種という言葉は通常男性につく言葉です。
(例:アブラハムの子孫)
聖書の系図は男性の系図です。

 

この箇所が非常に面白いのは、メシアが来られる時はヘブル人たちが通常考える男性の系図からではなく、「女の子孫」という普通の表現ではない来かたをするとあらわしていることです。
(メシアの家系はイエスの義父ヨセフの家系ではなく、母マリア(ヨセフの義父エリ)の家系となりました)

 

この聖句は何故メシアが「女の子孫」と表現されるのかは説明していません
メシアが来る時は「女の子孫」という形で来るということだけを伝えています。


イザヤという預言者によって初めて説明されます。
イザヤ書7:14
イザ 7:14 それゆえ、主は自ら、あなたがたに一つのしるしを与えられる。
見よ、処女が身ごもっている
そして男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。
メシアはおとめから、処女から生まれるという預言で初めて「女の子孫」という意味が明らかになります。

メシアは生物学的に母親から生まれ、生物学的な父親がいないお方として生まれます。
通常の結婚ではない、女性からのみ生まれるお方であるとここでわかります。

女の子孫」という言葉からメシアの誕生は超自然的な懐妊によるということがわかります。

 

では、サタンの子孫はどうなるのでしょうか。
同じ理解つまり超自然的な誕生という理解で解釈しなければなりません。

この「おまえの子孫サタンの子孫とは反キリストのことであり、反キリストの出現もまた超自然的な誕生によると理解されます。

ダニエル書黙示録で反キリストがサタンの力を与えられている理由は、彼もまた超自然的な誕生をするからです。

第二テサロニケ2でもそのように教えられています。
Ⅱテサ 2:1 さて兄弟たち。私たちの主イエス・キリストの来臨と、私たちが主のみもとに集められることに関して、あなたがたにお願いします。
2:2 霊によってであれ、ことばによってであれ、私たちから出たかのような手紙によってであれ、主の日(大患難時代)がすでに来たかのように言われるのを聞いても、すぐに落ち着きを失ったり、心を騒がせたりしないでください。
2:3 どんな手段によっても、だれにもだまされてはいけません。
まず背教が起こり、不法の者(反キリスト)、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日(大患難時代)は来ないのです。

2:4 不法の者は、すべて神と呼ばれるもの、礼拝されるものに対抗して自分を高く上げ、ついには自分こそ神であると宣言して、神の宮に座ることになります。
2:5 私がまだあなたがたのところにいたとき、これらのことをよく話していたのを覚えていませんか。
2:6 法の者がその定められた時に現れるようにと、今はその者を引き止めているものがあることを、あなたがたは知っています。
2:7 不法の秘密はすでに働いています。
ただし、秘密であるのは、今引き止めている者が取り除かれる時までのことです。

2:8 その時になると、不法の者が現れますが、主イエスは彼を御口の息をもって殺し、来臨の輝きをもって滅ぼされます。
2:9 不法の者(反キリスト)は、サタンの働きによって到来し、あらゆる力、偽りのしるしと不思議、2:10 また、あらゆる悪の欺きをもって、滅びる者たちに臨みます。

彼らが滅びるのは、自分を救う真理を愛をもって受け入れなかったからです。
2:11 それで神は、惑わす力を送られ、彼らは偽りを信じるようになります。
2:12 それは、真理を信じないで、不義を喜んでいたすべての者が、さばかれるようになるためです。
2:13 しかし、主に愛されている兄弟たち。~
堅く立って、語ったことばであれ手紙であれ、私たちから学んだ教えをしっかりと守りなさい。~
メシアが超自然的に生まれたように、終末時代に出てくる反キリストも超自然的な誕生をするのでサタン的な力があり、メシアと反キリストの戦いが起こるということです。

 

 

 

③ サタンに対する第3の条項

創3:15b
おまえは彼のかかとを打つ。」

and thou shalt bruise his heel.
サタンが女の末であるメシアを傷つけます

 ある程度の被害は与えます。
十字架についた時にメシアは傷つきました。

  

 

④ サタンに対する第4の条項

創3:15b
彼はおまえの頭を打ち、

彼は、おまえの頭を踏み砕き、(新改訳3)
he shall bruise thy head,
女の子孫として来られるメシアはサタンの頭を踏み砕きます

 

復活した時にサタンの頭を踏み砕きました。
へブ2:14~15
ヘブル 2:14 そういうわけで、子たちがみな血と肉を持っているので、イエスもまた同じように、それらのものをお持ちになりました。
それは死の力を持つ者、すなわち、悪魔をご自分の死によって滅ぼし、2:15 死の恐怖によって一生涯奴隷としてつながれていた人々を解放するためでした。

 

ローマ人への手紙16:20
ロマ 16:20 平和の神は、速やかに、あなたがたの足の下でサタンを踏み砕いてくださいます。
どうか、私たちの主イエスの恵みが、あなたがたとともにありますように。

パウロは、サタンの頭完全に踏み砕くのは未だ先のことだと語っています。

 

ヨハネの黙示録20:10
黙 20:10 彼らを惑わした悪魔は火と硫黄の池に投げ込まれた
そこには獣(サタンの子孫、反キリスト)も偽預言者(にせの聖霊)もいる。
彼らは昼も夜も、世々限りなく苦しみを受ける。

サタンが火の池に投げ込まれた時に最終的に頭が踏み砕かれます。

  

将来: 悪魔火の池に投げ込まれる時(メシア的王国、千年王国の終わり)がサタンの最終的な敗北の時
すでに: イエスさまが復活した時にサタンの敗北の歴史は始まっています
サタンに対する主の勝利というこの最初の預言は、復活の時に初めて起こり、最終的にはサタンが火の池に投げこまれる時に成就します。

  

サタンに与えられた条項の第3と第4のこの言葉(彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく。」(新改訳3))は、中東の蛇を殺す方法を知るとよく理解できます。
イスラエルに生息する毒蛇の特徴は頭が三角形
その毒蛇を殺す一般的な方法:からだの上に足を踏みつけるのではなく、三角形の頭の上に足を置いて、頭を砕くこと

 

創世記3:15の絵画的な説明
メシアのかかとが蛇の頭におりてきた時に蛇がそれを見てメシアのかかとにかみつく。
メシアは噛みつかれてもかかとが下までおり、最後にサタンの頭を踏みつけて粉々にしてしまうという姿。

ですからサタン、毒蛇がいかにそのかかと、つまりメシアを傷つけたとしても最終的にはメシアがその毒蛇を完全に粉砕してしまうという預言です。

  

注目
サタンは自分の運命をよく知っています。

サタンは「女の子孫」という方がいつか来て自分の頭を踏み砕くと創3:15で預言的に知らされたわけですから。

 

創世記3章から後の6章でサタンがあることをします。
創 6:1 さて、人が大地の面に増え始め、娘たちが彼らに生まれたとき、6:2 神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、それぞれ自分が選んだ者を妻とした。

6:4 神の子らが人の娘たちのところに入り、彼らに子ができたそのころ、またその後も、ネフィリムが地にいた。~

神の子たちが人の娘たちと結婚をするという言葉がでてきます。

創 6:4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。
これは、神の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。(新共同訳)

神の子らという言葉は、ヘブル語の理解(旧約聖書)では天使たちをあらわします。
良い天使であれ悪い天使であれ、いつも天使です。
(新約聖書では「神の子」の意味は「アダム」「信者」と広がります。)
ここでサタンは堕落した天使たち(悪霊ども)を人の娘たちと結婚させて、人間を堕落させようとしています。
創世記3:15の預言が成就しないようにサタンが策略をしているというのがこの箇所の内容です。

次回Q&Aで再度とりあげます。



(詳しくはフルクテンバウム博士著・佐野剛史訳『メシア的キリスト論(紙版) (電子書籍)
p.186~194 テーマ別バイブルスタディ付録1 神の子ら をどうぞ。)

 

 

サタンはこの時ほとんど成功したのですが、一つの家族がその堕落からまぬがれました。
それが洪水を生き延びる家族です。

 

 

 

(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 18アダム契約とはどのようなものか をどうぞ。)

 

八つの契約(5) 2019年11/23
Ⅱ.アダム契約 (2/2)
エバに対する条項、アダムに対する条項、ディスペンセーション、Q&A

練馬桜台聖書フォーラム

代表 :南 知之

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