八つの契約 レジュメ(3)2019年10/26
エデン契約に関するQ&A
2002年フルクテンバウム博士セミナー『聖書の八つの契約』(テキスト)を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD9枚組)(MP3版)(テキストのみ)
フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
緑色の聖句や文章はHP編者による補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
Ⅰ.エデン契約-条件付き契約-人類全般と
Ⅱ.アダム契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅲ.ノア契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅳ.アブラハム契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅴ.モーセ契約-条件付き契約 -イスラエルと
Ⅵ.パレスチナ契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅶ.ダビデ契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅷ.新しい契約-無条件契約 -イスラエルと
エデン契約 Q&A
THE EDENIC COVENANT
フルクテンバウムセミナー参加者によるエデン契約についてのグループディスカッション後に出された質問をグループ分けして中川牧師が答えたものです。
E‐Q1:
今ここで教えられる八つの契約について自分はしっかり学び、信じ受け入れたいと思いますが、神学的な立場が違うとどういう違った考え方がありますか?
E‐A1:
前半は牧会的配慮をしながら後半はちゃんと質問していらっしゃいます。
皆さんは聖書ってどうしてもっと分かり易く書いてくれてないのかと思ったことありませんか?
例)
これを信じたら救われるんです、1、2、3
死んだ後こうなるんです、1、2、3、と
・神さまは歴史を通してご自分を表された方
愛を定義する代わりに神の子が人の姿を取って来てくださり十字架にかかってくださった。
これが神さまの愛の示し方です。
・私たちが神さまのみことばをより深く発見し、知識においても満ち満ちたたけに成長することが神さまの願いです。
エペ 4:13 私たちはみな、神の御子に対する信仰と知識において一つとなり、一人の成熟した大人となって、キリストの満ち満ちた身丈にまで達するのです。
聖書を学ぶ時にとても大事なこと:
フルクテンバウム先生が語る内容の背後には約2千年、それ以前のユダヤ教のラビたちも含めると数千年に渡る人類の知的営みの集大成があります。
ですから、キリスト教界、クリスチャンたちが聖書の啓示をどのように理解してきたかという歴史を学ぶことがすごく大事です。
過去に人々はどういう選択をしてきたのかを学ばない限り、将来に向けて正しい選びをすることはできないのです。
聖書の理解を深めるだけでなく、キリスト教界が聖書をどのように理解してきたかを学ぶことはすごく大事です。
そうでないと新しい教えが来た時に、聖書的に吟味してこれを受け入れていいのかどうかというベースがなくなってしまいます。
・・・・・・・・・
この八つの契約(「聖書的契約」と言います)以外に、(アダムの堕落以降の)契約は一つ(で計二つ)だという考え方があります。
アダムが罪を犯す以前の契約は、業(わざ)による契約(行いの契約covenant of works)、アダムが罪を犯して以降契約は一つ、恵みの契約(covenant of grace)、聖書で展開される出来事は、その恵みの契約がいろいろな形で発展してくると言います。
(アダムの堕落以降の)契約が一つであるならば適用はどうなるのかという問題
八つの契約では、ディスペンセーションと契約とが綿密に結び合っていますから、一つの契約が破られ次のディスペンセーションにいく時に、適用される部分とされない部分とが明確に分けられます。
無条件契約の条項は生き続け、条件付き契約は破棄された時に終わります。
この理解は特にモーセの律法の時代が終わり恵みの時代に入る時にすごく大事な概念になります。
ところが恵みの契約一つしかないという立場は、今の時代に適用する、しないという原理原則がなく、極めて主観的な判断になります。
質問への答えは別の考え方(「契約神学」と言います)で代表的なものは(アダムの堕落以降)契約は一つしかない(または通常神学的に3つの契約、「神学的契約」と呼ばれます、を想定する)という考え方。
(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』(書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 03契約神学はどのように発展したのか 04契約神学の3つの契約とは、どのようなものか 29ディスペンセーショナリズムが神学に与えた影響とは 30ディスペンセーショナリズムと契約神学の違いとは をどうぞ。)
ディスペンセーションにより時代をみるという考え方は20世紀にでてきた神学体系です。
しかし、この芽は初代教会直後の教会教父といわれる人々の著作の中にもうでていますから決して新しいものではなくキリスト教と同じ位古いものです。
この名前で新しく認識されたのが20世紀になってからのことです。
(詳しくは同上 26ディスペンセーショナリズムは新しい神学体系か ほか をどうぞ。)
私(中川牧師)が驚いたのは皆さんがサタンの堕落に関して非常に興味をもっているということ。
創世記1章1節と2節の間にこんな時間的なギャップがあり、こんな事があったということに大変興味があるようで、半分位それに関する質問です。
何故こういう考え方がでてきたのかという背景を説明する前に
E‐Q2:
(前回、第二の条項の説明時のサタンの堕落や創世記1:1と1:2の問題は)
メシアニックジューたちの理解ですか?
ユダヤ人の理解ですか?
E‐A2:
メシアニックジュー(イエスを信じるユダヤ人)だから聖書をよく理解しているとは思い込まない方がいいです。
私が知っているメシアニックジューの中でフルクテンバウム先生ほどユダヤ教に精通し、キリスト教神学の学びを極めていらっしゃる方はそうはいません。
イスラエルのメシアニックジューのリーダーたちは、例外を除いて、一般的には専門的な神学教育を受けていません。
リーダーシップがあるという人格的な持ち味でリーダーになっているケースが多いので、メシアニックジューを神学的に訓練する必要があると叫ばれています。(2002年時点で)
例)
サタンの堕落の問題、創世記1:1と1:2の間の時間的なブレイクの問題にメシアニックジューはどう応答するのかをフルクテンバウム先生にお尋ねしたところ「ほとんどの人がその質問の意味さえわからないのではないか」とのことです。
ですからメシアニックジューという名前にごまかされずに、どの程度実質のある学びをしてこられた方かということに目を留めてください。
創世記3章でアダムが罪を犯した時に出てきたサタンは既に堕落しています。
では、サタンはいつ堕落したのか?を聖書の時間の中で位置付けると、創世記1:1と1:2の間に入るという考え方です。
E‐Q3:
サタンが堕落する前、つまり天使たちがこの世を支配していた時の状態とはどういう状態だったのでしょうか?
E‐A3:
エゼキエル書28:11~15
エゼ 28:11 次のような【主】のことばが私にあった。
28:12 「人の子よ。ツロの王について哀歌を唱えて、彼に言え。
28:1~10(ツロの君主)までは人間としてのツロの王に対する預言ですが、
11節からツロの王はサタンに対する呼びかけになります。
【神】である主はこう言われる。
あなたは全きものの典型であった。
知恵に満ち、美の極みであった。
28:13 あなたは神の園、エデンにいて、
あらゆる宝石があなたをおおっていた。
赤めのう、トパーズ、ダイヤモンド、
緑柱石、縞めのう、碧玉、
サファイア、トルコ石、エメラルド。
あなたのタンバリンと笛は金で作られ、
これらはあなたが創造された日に整えられた。
28:14 わたしは、油注がれた守護者ケルビムとして
あなたを任命した。
あなたは神の聖なる山にいて、
火の石の間を歩いていた。
28:15 あなたの行いは、
あなたが創造された日から、
あなたに不正が見出されるまでは、完全だった。
サタンつまり天使たちが(地球の)支配権を任されていた時代
サタンが堕落する前の(鉱物の)エデンの園での姿です。
(14節の描写は地球上ではなくて第三の天での姿)
(宝石については永遠の秩序、新しいエルサレムを彷彿とさせます。)
創1:1~2
創 1:1 はじめに神が天と地を創造された。
創世記1章1節のあとにサタンが堕落します。
創 1:2 地は茫漠として何もなく、闇が大水の面の上にあり、神の霊がその水の面を動いていた。
黙12:3~4
黙 12:3 また、別のしるしが天に現れた。
見よ、炎のように赤い大きな竜。
それは、七つの頭と十本の角を持ち、その頭に七つの王冠をかぶっていた。
12:4 その尾は天の星(星とは天使のこと)の三分の一を引き寄せて、それらを地に投げ落とした。
また竜は、子(イエス・キリスト)を産もうとしている女の前に立ち、産んだら、その子を食べてしまおうとしていた。
(イエスの誕生を知ったヘロデ王はベツレヘムとその近辺の2歳以下の男の子をひとり残らず殺させました。)
堕落した天使長サタンについて天使たちが堕落しますが、全ての天使が堕落したのではなく、3分の1の天使が堕落しました。
天使は人間のように結婚して子供を産むわけではないので天使の数は創られた時のままの数が継続します。
3分の1が堕落しました。
それが悪霊どもです。
天使の中の良い天使たちは堕落した天使ではありません。
創世記1:1と1:2の間でサタン及び天使たちの堕落が起こり、その結果サタンが支配していたこの自然界が呪われました。
サタンは堕落して神の呪いを被ったのと同じように、サタンが支配する領域も呪われるのです。
それが創1:2
新改訳聖書(版は不明):地は形がなく何もなかった。
ヘブル語:トフー バ ボフー
以下、他の訳の聖書を持っている方によると
口語訳:地は形なく、むなしく、
現代訳:~まだ形がなく、混沌としており
文語訳:~かたちなくむなしくして
創 1:2 地は茫漠として何もなく、~(新改訳2017)
創 1:2 地は混沌であって、~(新共同訳)
創 1:2 地は茫漠として何もなかった。~(新改訳3)
Gen 1:2 The earth was without form, and void;~(NKJV)
Gen 1:2 the earth was formless and desolate.~(TEV)
Gen 1:2 Now the earth was formless and empty,~(NIV)
Gen 1:2 And the earth was waste and void;~(ASV)
これは形容詞です。
トフー:日本語訳はほとんど「形なく」と言っています。
バ:ヘブライ語でアンド「そして」という意味
ボフー:むなしく、或いは新改訳聖書では何もなかったと訳されています。
イザヤ書45:18
イザ 45:18 天を創造した方、すなわち神、
地を形造り、これを仕上げた方、
すなわちこれを堅く立てられた方、
ここまで皆さん信じますか?
これを形のないものに創造せず、
人の住みかにこれを形造られる方、
まことに、この【主】がこう仰せられる。
~(新改訳3)
ここで形のないものと訳されている言葉はヘブル語のトフーです。
イザヤ書45:18によれば、神さまは地を形のないものには創造されなかったのです。
創世記1:2にかえると、地は形がなくとあります。
では、神さまはどこから創造をスタートされたのかということになり、さきほどの話がでてくるわけです。
サタンと天使の一軍が堕落した時、それ以前の神の創造の素晴らしさが混乱状態に陥ってしまったのが創1:2です。
日本語訳:地は形がなく何もなかった。
be動詞の過去形「何々だった。」
ヘブル語:be動詞の過去形であると同時に、AがBになった、「何々になった。」と訳すことのできる言葉です。
ですから、この訳をフルクテンバウム先生が日本語に訳すとしたら間違いなくこう訳します。
はじめに神が天と地を創造された。
地は形がなく何もない状態になった。~
この訳が可能な動詞がここで使われている動詞なのです。
まとめ
神さまは最初に天地を完璧な形でつくり、それを天使長であるサタンと天使たちの支配下に委ねました。
その時には地はエゼキエル書28章にあるように完璧な状態でした。
ところがサタンが自らが神になろうとして、3分の1の天使がそれに従い、堕落しました。
その結果創1:2の混沌した状態に陥ってしまいました。
神は何故サタンにそのような、地を支配する権威を与えられたのか。
それは何故アダムに、何故人間にそれを与えたのかというのと同じようにわかりません。
神の権威に属することです。
サタンが堕落したので神は再び地を再創造され今度は人間を創り、人間にその地を支配する権利をお与えになりました。
人間が堕落し、その権利が取り去られました。
E‐Q4:
では、その地を支配する権威は再びサタンに移ったのでしょうか?
E‐A4:
サタンに移ったわけではありません。
神さまはサタンにその権威を与えていません。
しかし今、地を支配する権威が人間から取り去られたのを見て、サタンがそこに侵入し横取りしている状態です。
人間が救われるとは:
サタンが今横取りしているこの被造世界に対する権威を再び人間が取り戻し、もとエデンの園にあった神とともにある状態に回復されること。
そして更にそれよりも高い段階の永遠の秩序に回復されること。
これが人間が救われる目的です。
千年王国:この地上に千年の御国が来ます。
千年王国は人間が堕落する前に経験していた自然界の秩序、創世記の植物のエデンの園の回復です。
そして更に高いところ、
永遠の秩序に私たちは引き上げられるというのが黙示録の一番最後にでてくる預言です。
神さまの計画はホントに素晴らしいなあと思いますね。
サタンが今横取りをしていて、それを再び神さまは私たちにくださる。
中川健一著『終末論Q&A』(書籍のみB5/190頁2000円)(CD12枚組書籍付き4200円)が2019年10月にハーベスト・タイム・ミニストリーズから販売されました!是非どうぞ。
E‐Q5:
人は完璧に創られたと言いますが罪を犯す可能性も含まれていました。
ユダヤ的視点から何かコメントはありますか?
E‐A5:
特にユダヤ的視点ではないようですが、一つ言えるのは、
アダムがこの木からとって食べてはいけないと言われた状態は完璧でしたが、未だ栄光の姿に変えられていませんでした。
栄光の姿に変えられたならば、罪を犯すことはもうあり得ないのです。
あれはテスト期間です。
エデンの園でこの木から取って食べてはいけないテスト期間に彼は堕落したのです。
サタンが堕落したのと同じように。
あの完璧性とは栄化されたという意味での完璧性ではなく、罪を選ぶ可能性があることも含む完璧性です。
これをユダヤ教では「アダムのお腹には善を犯す可能性と罪を犯す可能性と二つの可能性があわさって存在していた。」と説明します。
E‐Q6:
何故この木を善悪の知識の木と言うのでしょうか?
E‐A6:
知識というのはヘブル的な概念では経験、体験です。
ですからこの木がアダムに善悪の違いを区別する知識、体験を与える木になったのです。
この木から取って食べないという体験をとおして善悪の違いを彼が知ることが神の計画でした。
ところがアダムはそれを食べる、つまり悪の一部になることによって善悪の違いを体験してしまったのです。
神の計画は食べないことによって善悪を知るということでしたが、アダムは食べることによって善悪の違いを知ってしまった。
これが堕落です。
もし食べないで彼が体験的な知識を得ていたなら彼は栄光のからだに変えられたのです。
E‐Q7:
第一テモテ2:14はエバが惑わされたから女性は黙っていなさいと言っているようで先生の表現と違うように感じますが。
E‐A7:
神と契約を交わした主体、罪が侵入してくる責任を負っていたのはアダムです。
第一テモ2章は、女性は神学に関して教会で男性に対して教えることは注意しなければいけないという考え方ですね。
もちろん、子供、女性に教えることはこの中に含まれていないと思います。
今日はそのテーマを論じる日ではありませんので、これに賛成するか反対するかの議論はやめておきましょう。
私は、女性が積極的に主の働きをすることを素晴らしいと個人的に思います。
新約聖書でリーダーシップをもった女性が沢山現れていますね。
Ⅰテモ2:11 女は、よく従う心をもって静かに学びなさい。
2:12 私は、女が教えたり男を支配したりすることを許しません。
むしろ、静かにしていなさい。
2:13 アダムが初めに造られ、それからエバが造られたからです。
2:14 そして、アダムはだまされませんでしたが、女はだまされて過ちを犯したのです。
E‐Q8:
エデン契約は条件付き契約だと学びました。
条件付き契約ならばその契約が終わったらその条項も終わります。
結果は残るけれど条項は終わります。
ところがエデン契約の1、2、3、4の条項は無条件契約に入るような、今も続いているような内容に思えます。
これはアダム契約と関係なく続いているのではないでしょうか?
この点をどう理解したらいいのでしょうか。
E‐A8:
重要な質問ですね。
例)
生めよ。増えよ。地を満たせ(に満ちよ)。地を支配せよ(従えよ)。生物を管理せよ(支配せよー新改訳2017)。食生活等。
エデン契約が終わったにしては続いているように思えますがどうなんですか?という質問です。
(以下フルクテンバウム博士による)
この4つの中で確かに今も続いているように見えるものがあります。
その理由は、これからでてくる契約でそれが再度更新されるのです。
続いているように見えるけれども続いているわけではないのです。
もう1回でてくるわけです。
例)
エデン契約第2条項の「地を従えよ。」という命令:
次にまた取り上げますが、継続していません。
別の言い方になっています。
ですから継続しているように見えるのは次の契約でそれが更新されていて、継続していないものは更新していないということが学びが進むに従って自然に明らかになっていきます。
八つの契約(4) 2019年11/9へ
Ⅱ.アダム契約 1/2
与る者、蛇に対する条項、サタンに対する条項