患難期前の出来事レジュメ(2)2017年2/11
終末時代の前兆第一波は世界戦争、飢饉、地震
イスラエル建国に対する聖書預言解釈には5つの異なった立場がある
2014年フルクテンバウム博士セミナー『携挙・大患難時代・そしてユダヤ人の運命』(テキスト)の一部を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD8枚組)(DVD8枚組)(MP3版)(テキストのみ)
フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下、青色の聖句はテキストでみていく聖句です。
紫色の聖句は2回目の聖句または参考聖句です。
緑色の文章は補足説明です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
患難期の前に起こる一連の出来事
THE SEQUENCE OF PRETRIBULATIONAL EVENTS
Ⅰ.順に起こる出来事
1. 第一次、第二次世界大戦(1914、1939)
2. イスラエル国家の再建(1948)
3. ユダヤ人の支配下に置かれたエルサレム(1967)
//////////// 2017年現在はここ //////////////
(以下は将来順に起こること、いつかは不明)
4. 北の諸国連合の侵攻
5. 世界統一政府
6. 10の王国
7. 反キリストの出現
8. 平和と偽の安全の時期
9. 7年の契約
Ⅱ.時間順ではない出来事
3つもしくは4つ
1回目の暗黒
エリヤの帰還
第3神殿
教会の携挙
Ⅰ.順に起こる出来事
SEQUENTIAL EVENTS
セミナーテキストの2ページ
A.第一次、第二次世界大戦
World Wars Ⅰ and Ⅱ
つづき
弟子たちからの第3の質問
マタ24:3 イエスがオリーブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとに来て言った。
「お話しください。
いつ、そのようなことが起こるのでしょう。
あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」
第3の質問に対するイエスさまの答え
マタ24:4〜8
マタ24:4 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。
「人に惑わされないように気をつけなさい。
24:5 わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。
24:6 また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。
これらは必ず起こることです。
しかし、終わりが来たのではありません。
24:7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。
24:8 しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。
イエスさまの答え方:まず何でないかを話してから、何であるかを話されます
マタ24:4〜6:否定的答え
今生きている時代によく起こることであり、これが起こっても世の終わりのしるしではないというものから話しています。
マタ24:4 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。
「人に惑わされないように気をつけなさい。
24:5 わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。
にせキリストが現れるのはこの世の特徴です。
ユダヤ人の歴史で最初に自分をメシアだと宣言したのはイエス・キリストです。
それ以降紀元2世紀から19世紀まで、ユダヤ人、異邦人にもにせキリストが何人も登場し、信じる者もいましたが、それは世の終わりのしるしではありません。
24:6 また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。
これらは必ず起こることです。
しかし、終わりが来たのではありません。
地域戦争local wars があちこちで起こりますが、それも世の終わりのしるしではありません。
イスラエルで戦争のようなことが起こると多くの人が預言的な意味を詮索します。
それは預言的な意味があるかもしれないし、ないかもしれません。
聖書で預言的にアメリカを取り上げている箇所はありません。
結論:にせキリストの登場や地域戦争の勃発は終末時代のしるしではありません。
マタ24:7〜8:肯定的答え
何が終末時代のはじめになるのか、しるしになるのかという答えが与えられます。
マタ 24:8 しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。
産みの苦しみ:陣痛
陣痛は何回かに分かれて痛みがきます。
それと同じように今の世が終わるときには幾つかの出来事が連続して起こってきます。
「産みの苦しみ」の内容が語られています。
マタ 24:7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。
産みの苦しみの始まり(患難期前に順に起こる出来事の1番目)
7節はそれまでの地域戦争、或いは戦争のうわさとは異なります。
紀元1世紀のユダヤ的文脈では、全面的な世界戦争を指しているといえます。
地域戦争やそのうわさはまだ終末時代のしるしではありませんが、世界戦争が起きたらそれが終末に入ったしるしです。
へブル語聖書つまり旧約聖書では、その地区全部を巻き込む全面戦争を表現する時に、この言葉が使われます。
例:
イザヤ書19:1〜4
イザ 19:1 エジプトに対する宣告。
見よ。【主】は速い雲に乗って
エジプトに来る。
エジプトの偽りの神々はその前にわななき、
エジプト人の心も真底からしなえる。
19:2 わたしは、エジプト人を駆り立てて
エジプト人にはむかわせる。
兄弟は兄弟と、友人は友人と、
町は町と、王国は王国と、相逆らって争う。
19:3 エジプトの霊はその中で衰える。
わたしがその計画をかき乱す。
彼らは偽りの神々や死霊、
霊媒や口寄せに伺いを立てる。
19:4 わたしは、エジプト人を
きびしい主人の手に引き渡す。
力ある王が彼らを治める。─
─万軍の【主】、主の御告げ──
これはエジプト全土を巻き込む内戦の描写です。
町は町と、王国は王国と、相逆らって争う。:全面戦争を表現する時の言葉
エジプト全土に戦いが広がることを示しています。
セミナーテキストの3ページ
2歴代誌15:1〜7
Ⅱ歴代 15:1 すると、神の霊がオデデの子アザルヤの上に臨んだ。
15:2 そこで、彼はアサの前に出て行き、彼に言った。
「アサおよび、すべてユダとベニヤミンの人々よ。
私の言うことを聞きなさい。
あなたがたが【主】とともにいる間は、主はあなたがたとともにおられます。
もし、あなたがたがこの方を求めるなら、あなたがたにご自身を示してくださいます。
もし、あなたがたがこの方を捨て去るなら、この方はあなたがたを捨ててしまわれます。
15:3 長年の間、イスラエルにはまことの神なく、教師となる祭司もなく、律法もありませんでした。
15:4 しかし、その悩みのときに、彼らがイスラエルの神、【主】に立ち返り、この方を尋ね求めたところ、彼らにご自身を示してくださいました。
15:5 この時期には、出て行く者にも、入って来る者にも平安がありませんでした。
国々に住むすべての人々に大きな恐慌があったからです。
15:6 そして彼らは、民は民に、町は町に相逆らい、共に打ち砕かれてしまいました。
神があらゆる苦しみをもって、彼らをかき乱されたからです。
15:7 しかし、あなたがたこそ強くあってほしいのです。
力を落としてはなりません。
あなたがたの働きには報いが伴っているからです。」
当時の中東世界全体が戦争に巻き込まれている描写がここにあります。
民は民に、町は町に相逆らい:全面戦争を表現する時のイディオム、慣用句
マタイ24章でも全世界が視野に入っています。
マタ 24:14 この御国の福音は全世界the whole worldに宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます。
マタ 24:21 そのときには、世the worldの初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。
マタ 24:30 そのとき、人の子のしるしが天に現れます。
すると、地上the earthのあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。
マタ 24:31 人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。
すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からfrom the four winds, from one end of heaven to the otherその選びの民を集めます。
マタ 24:35 この天地Heaven and earthは滅び去ります。
しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。
世界という言葉が何回かでてきます。
マルコは2回、ルカは3回、世界という言葉を使っています。
オリーブ山の説教でイエスさまは全世界を巻き込む状況について語っているといえます。
(フォーラムでの学びにおいて、エジプト全土、中東全土の戦争を全面的な世界戦争と呼ぶことに対して少し違和感を覚える方が何人もいたのですが、民族、国、当時の「世界」の概念を考えると、今私たちの考えるそれとはずいぶん違うのであろうということになりました。)
フルクテンバウム博士も、今は終末時代に入っていると同意しています。
第一次世界大戦(1914~1918)以降、私たちは終末時代に入ったと言えます。
第一次大戦では幾つかの国を例外として、世界中の国々が直接或いは間接的に巻き込まれ影響を受けました。
第二次世界大戦は基本的には第一次世界大戦の継続した戦争だと考えることができます。
この二つの大戦はイスラエルの歴史に対して決定的な影響をもたらしました。
聖書預言を理解する鍵:
世界で起きている事がイスラエルにどういう影響があるかを見極めること
第一次世界大戦:シオニズム運動に大きな影響を与えました。
第二次世界大戦:ホロコーストの悲劇がイスラエル国家の設立へと導かれていきました。
世界大戦と並行して、飢饉および地震
飢饉:1920年中国、1921年ロシアの大飢饉ほか
地震:第一次世界大戦の前後に急激に増えています。
結論:終末時代のしるし、陣痛第1波は
世界大戦、飢饉、地震です。
セミナーテキストの4ページ
B.イスラエル国家の再建
The Reestablishment of Israel
終末時代のしるし、 第2波がイスラエル建国の出来事です。
イスラエル国家の再建に関しては5つの異なった立場があります。
教会史の中で、教会教父の時代(2〜4世紀ごろ)の文書をみると例外無しにメシアの再臨は千年王国の前に起こる、つまり千年王国前再臨説にたっています。
メシアの再臨後に千年王国ができるという以外の理解は最初の約300年間クリスチャンにはなく、メシア的王国が確立されイスラエルの民は約束の地に住むようになると教えられていました。
(1)置換神学の立場
その考え方に大きな変更をもたらしたのが二人
* オリゲネス
聖書解釈に比喩的解釈の手法をもちこみました。
聖書が語っている文字通りの明白な意味よりも、隠された象徴的な意味、比喩的な意味の方に重点があると考えました。
その比喩的解釈を聖書の歴史的な記述にも適用するようになりました。
* アウグスティヌス
比喩的解釈を聖書預言に適用するようになります。
聖書預言は文字通りに受け取るべきではなく、教会の預言であると解釈し適用しました。
そしてアウグスティヌスは新しい教理、千年王国は文字通りには成就しないという無千年王国説を紹介しました。
今の教会時代が千年王国だと教えました。
アウグスティヌスは、イスラエルはメシアを拒否したので神さまはイスラエルを永遠に見放され、今や教会が霊的イスラエルとなったという考え方をします。
今日の主流派神学:この置換神学と呼ばれる、いわゆる置き換え神学
置換神学の立場の結論:
イスラエルの回復は預言的にあり得ないので、イスラエルという国ができたのは単なる歴史の偶然である
(2) イスラエルの最終的な回復の聖書預言を信じる立場
現代のイスラエル国家の回復は聖書預言の最終的な回復とは異なり、関連づけるのは難しいという立場
聖書預言は文字通り成就しイスラエルは将来の或る時点で必ず回復され、やがてメシアが到来し千年王国が設立され、イスラエルは約束の地を全て所有し、祝福の中で住むようになる、と信じています。
しかし、聖書預言におけるイスラエルの最終的な回復は全て信仰をもった状態での帰還です。
申命記30:1〜5
申 30:1 私があなたの前に置いた祝福とのろい、これらすべてのことが、あなたに臨み、あなたの神、【主】があなたをそこへ追い散らしたすべての国々の中で、あなたがこれらのことを心に留め、30:2 あなたの神、【主】に立ち返り、きょう、私があなたに命じるとおりに、あなたも、あなたの子どもたちも、心を尽くし、精神を尽くして御声に聞き従うなら、30:3 あなたの神、【主】は、あなたの繁栄を元どおりにし、あなたをあわれみ、あなたの神、【主】がそこへ散らしたすべての国々の民の中から、あなたを再び、集める。
30:4 たとい、あなたが、天の果てに追いやられていても、あなたの神、【主】は、そこからあなたを集め、そこからあなたを連れ戻す。
30:5 あなたの神、【主】は、あなたの先祖たちが所有していた地にあなたを連れて行き、あなたはそれを所有する。
主は、あなたを栄えさせ、あなたの先祖たちよりもその数を多くされる。
イザヤ27:12〜13
イザ 27:12 その日、
【主】はユーフラテス川からエジプト川までの
穀物の穂を打ち落とされる。
イスラエルの子らよ。
あなたがたは、ひとりひとり拾い上げられる。
27:13 その日、大きな角笛が鳴り渡り、
アッシリヤの地に失われていた者や、
エジプトの地に散らされていた者たちが来て、
エルサレムの聖なる山で、【主】を礼拝する。
エゼキエル39:25〜29
エゼ 39:25 それゆえ、神である主はこう仰せられる。
今わたしはヤコブの繁栄を元どおりにし、イスラエルの全家をあわれむ。
これは、わたしの聖なる名のための熱心による。
39:26 彼らは、自分たちの地に安心して住み、彼らを脅かす者がいなくなるとき、わたしに逆らった自分たちの恥とすべての不信の罪との責めを負おう。
39:27 わたしが彼らを国々の民の間から帰らせ、彼らの敵の地から集め、多くの国々が見ている前で、彼らのうちにわたしの聖なることを示すとき、39:28 彼らは、わたしが彼らの神、【主】であることを知ろう。
わたしは彼らを国々に引いて行ったが、また彼らを彼らの地に集め、そこにひとりも残しておかないようにするからだ。
39:29 わたしは二度とわたしの顔を彼らから隠さず、わたしの霊をイスラエルの家の上に注ぐ。
──神である主の御告げ──」
これらの聖句は、ユダヤ人は世界のどこにいようとも信仰を持った状態で約束の地に帰還し、その地を所有するようになるという教えです。
しかし、現代のイスラエル国家は非常に世俗的(不可知論者は8割、正統派ユダヤ教徒は2割)で不信仰なので、これらの聖書預言と現代のイスラエル国家とはマッチしないというのがこの2番目の立場の人たちです。
イスラエルの最終的な回復の聖書預言を信じる立場の結論:
現在のイスラエル国家は歴史の偶然であり、預言の成就ではない
(3)現在のイスラエル国家の再建や約束の地に帰還することはイスラエルの最終的な回復の始まりであると考える立場
イスラエルの最終的な回復は始まっていると考えるので、世界中にいるユダヤ人はどこにいようともできるだけ早く約束の地に帰るべきであり、彼らが全部帰り終えた時に民族的回心を経験し救われ、それからメシアが再臨されると考えます。
いろいろな団体が献金でユダヤ人をイスラエルに帰還させていますが、ユダヤ人に福音を伝えることはほとんどしません。
帰らせることが働きの目的です。
世界中のイスラエルの会衆を訪問し、ユダヤ人信者は今すぐに約束の地に帰らなければ罪の中に住んでいることになると語ります。
ロシアのサンクトペテルブルクのコングリゲーションで:イエスさまを信じることは素晴らしいことですが、それだけでは不十分です。・・・
カリフォルニアで:アメリカの肉的な生活を直ちに捨ててイスラエルに帰らなければ・・・
その聖書的な裏付けとして:エレミヤ書50章51章―神さまがバビロンにいるユダの民に約束の地に帰れと命令しているところですが―バビロンとはアメリカのことで、ユーフラテス川はミシシッピー川のことであると言います
イスラエル国家の再建はイスラエルの最終的な回復の始まりであると考える立場の結論:
全てのユダヤ人は約束の地に帰らなければいけない
(4)(2種類の帰還があることは認めますが、現在のイスラエル国家の建設が預言の成就であるとは断言できないという立場)
のちほどイザヤ11:11~12で、解説します。
(5)ユダヤ人の回復は2段階で成就するという立場
これが正解です(私たちの立場)。
次回につづく
患難期前の出来事レジュメ(3)2017年2/25
患難期の前に起こる一連の出来事 Ⅰ順に起こる出来事 B.イスラエル国家の再建(後半)(ユダヤ人の回復は2段階で成就する他)C.ユダヤ人の支配下に置かれたエルサレム へ