天使論、サタン論、悪霊論レジュメ(28)改め
悪霊論(5)2023年7/8
ネフィリムとは
聖書とギリシャ神話
2010年フルクテンバウム博士セミナー『天使論、サタン論、悪霊論』(テキスト) を学んでいます。
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(DVD8枚組は販売終了)
フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下
青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは口語訳聖書 旧約聖書1955年改訳 新約聖書1954年改訳 日本聖書協会 を使用しています)
紫色の聖句は2回目の聖句または参考聖句
(英語訳は基本American Standard Version ASVです。)
黒色の文章がセミナーの説明文
緑色の文章はHP編者による補足説明
茶色の文章はDr.Arnold G. Fruchtenbaum 『A Messianic Bible Study from Ariel Ministries』
MBS082 Demonology : The Doctrine of Demons からの補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
紙の聖書「新改訳2017」はこちらをどうぞ
悪霊論
イントロダクション
Ⅰ.悪霊の存在
Ⅱ.悪霊の呼び名
Ⅲ.悪霊の人格
Ⅳ.悪霊の起源
Ⅴ.悪霊の数
Ⅵ.悪霊の組織
Ⅶ.悪霊の特徴
Ⅷ.悪霊の活動
Ⅸ.悪霊の支配
Ⅹ.悪霊と信者
Ⅺ.悪霊の将来の活動
Ⅻ.悪霊の運命
セミナーテキスト5ページ(55/75)
Ⅳ.悪霊の起源
THE ORIGIN OF DEMONS
セミナーテキスト6ページ(56/75)
B. 閉じ込められた
悪霊の起源
The Origin of Confined Demons
セミナーテキスト7ページ(57/75)
2.永遠に閉じ込められた悪霊
Permanently Confined Demons
a. 創6:1~4 つづき
セミナーテキスト8ページ(58/75)
(4)雑婚の産物(創6:4)
The Product of the Intermarriage: Genesis6:4
創 6:4 そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。
これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。
彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。
ネフィリム(新改訳2017ほか)が地上にいたとある
(a) ネフィリム
The Nephilim: The Fallen Ones
創 6:4ab そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。
これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。
欽定訳聖書キング ジェイムズ ヴァージョンというのがある
「ネフィリム」を音をそのまま翻訳せずに
「ジャイアンツ」という言葉に翻訳した
Gen 6:4 There were giants on the earth in those days, ~(NKJV)
Gen 6:4 The Nephilim were in the earth in those days,~.(ASV)
その結果英語のKing James Versionを読んだ人は
この雑婚によって生まれたネフィリムとは肉体的に巨大な存在だという印象をもった
ネフィリムのヘブル語の意味:
堕落した種族
彼らは人間以上の知的能力や体力を持つが必ずしも身体の大きさを言っているのではない
ではなぜキングジェイムズヴァージョンは
ジャイアンツという言葉を採用したのか
「巨人」として訳されてきた理由はとても興味深い。
その背景は
旧約聖書のギリシャ語訳聖書「70人訳(しちじゅうにんやく)」
紀元前250年ごろユダヤ教のラビたちがへブル語をギリシャ語に訳した
ラビたちはその時に ここで産まれたネフィリムとは堕落した天使と人間の結婚によって生まれたと正しく理解した
ギリシャ語でそのような超人的な存在を表す言葉をさがし見つけたのがギガンテス
ギリシャ神話でラテン語でタイタン
ヘブル語:ネフィリム Nephilim
ギリシャ語:ギガンテス gigentes
ラテン語:タイタン Titan
ギリシャ神話
オリンポス山の神々 男神も女神も人間の世界にくだり人間と結婚し子供を産む話がたくさんある
その結果生まれたのは半分は神で半分は人間というおかしげなもの
人間の性質を持っているが超人的な特徴も持っている
彼らがヘブル語のネフィリムをあらわす概念として考えた最も近いギリシャ語がギガンテスという言葉だった
ギガンテスとは神々と人間の雑婚の結果生まれ 半分神で半分人間という特徴を持った存在だったから
英語のジャイアンツという言葉はギリシャ語のギガンテスという言葉からでている
KJVキングジェイムズヴァージョンはギガンテスを採用しジャイアンツと訳したが
英語のジャイアンツとギリシャ語のギガンテスとはもともと意味が全然違う
よってここで私たちは
ネフィリムとは肉体的に巨大な巨人ではなく
超人ではあるが単に身体が大きいわけではないと理解しておく必要がある
ギリシャ神話の源流は創世記6章
順番から言うと聖書の物語がオリジナル:
悪霊と人間の結婚を否定的に描いている
ギリシャ神話になると誤った解釈が施され:
ポジティブつまり神々と人間の結婚が積極的な意味で描かれるようになってくる
創世記は起こったことの真実の歴史を詳細に記しているが、
一方でギリシャ・ローマ神話は原形が損なわれた記事としている。
ギリシャ・ローマ神話では、人間の視点からとされ、起こったことは特別かつ美化されたものに高められているが、神はこれを罪という。
(b) ギボリム 勇士たち
The Giborim: The Mighty Men
4節はネフィリムとはどのようにして誕生したかを説明している
創 6:4後半 これらは、昔の勇士であり、名のある者たちであった。(新改訳3)
第2の語はギボリムで、「勇士であり、名のある者たち」として訳されている。
Those were the mighty men who were of old, men of renown.(NKJV)
これは男性でも女性でもない
また人間でも天使でもないおかしげなもの
日本語には出てこないがmen
あの力ある男たちとある
力ある女たち(女勇士)とは書いてない
普通の結婚であれば男も女も産まれるが
産まれてきたのは普通ではないことをあらわしている
新約聖書でこの背景を説明している部分が二つある
第二ペテロとユダの手紙
①非常に特徴のある特定の罪だということ
②大洪水ノアの洪水のタイミングに関係した罪だということ
サタンの最初の堕落或いは天使たちの堕落とは別の罪であるということ
b. Ⅱペテ2:4~5
第2ペテロ2:4~5
二ペテ 2:4 神は、罪を犯した御使たちを許しておかないで、彼らを下界におとしいれ、さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めておかれた。
2:5 また、古い世界をそのままにしておかないで、その不信仰な世界に洪水をきたらせ、ただ、義の宣伝者ノアたち八人の者だけを保護された。
4節
二ペテ 2:4 神は、罪を犯した御使たちを許しておかないで、彼らを下界におとしいれ、さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めておかれた。
永遠に閉じ込められた悪霊の場所を示す。
閉じ込めておく場所がタータラスという場所
タータラスとはアブソスとは別の場所
どういう違いがあるのか
アブソスAbyss:
一時的に悪霊たちを閉じ込めておくすみか
タータラス Tartarus:
もう解放されることがない
アブソスに入るとは有罪刑で懲役何年というようなもの
タータラスの場合は終身刑に服している
これが暗やみの穴と描写されている
ここに閉じ込められている悪霊たちはいわゆる白い御座のさばき 最後のさばきの時までそこからでてくることはない
2度と自由になることのない天使 悪霊ども。
彼らはタータラスに閉じ込められ
次に白い御座のさばきにひきずりだされ
最終的に火の池に行く
彼らが自由に動き回る時は決してなく、永遠に閉じ込められるのである。
5節
二ペテ 2:5 また、古い世界をそのままにしておかないで、その不信仰な世界に洪水をきたらせ、ただ、義の宣伝者ノアたち八人の者だけを保護された。
彼らが閉じ込められた時期がノアの洪水と関係があるとわかる
大洪水の目的は人間と悪霊の結婚によって生まれたおかしげなものを破壊するため
c. ユダ6~7
フルクテンバウム博士
「ユダの手紙、何章か私 記憶してないんですけども、6節と7節というのは覚えているんです。」
中川牧師
「ジョークですよ、これは。
(ユダの手紙は)章がないんだからね。
全くショウのナイ人だね。」
ユダ 1:6 主は、自分たちの地位を守ろうとはせず、そのおるべき所を捨て去った御使たちを、大いなる日のさばきのために、永久にしばりつけたまま、暗やみの中に閉じ込めておかれた。
1:7 ソドム、ゴモラも、まわりの町々も、同様であって、同じように淫行にふけり、不自然な肉欲に走ったので、永遠の火の刑罰を受け、人々の見せしめにされている。
6節
ユダ 1:6 また、主は、自分の領域を守らず、
自分のおるべき所を捨てた御使いたちを、
大いなる日のさばきのために、
永遠の束縛をもって、暗やみの下に閉じ込められました。(新改訳3)
選ばれた天使たちの堕落を強調する。
天使のグループの堕落を4つの段階で解説している
①「自分の領域を守らず」
彼らは悪霊どもに委ねられている領域に閉じこもっていなかったということ
「領分」(新改訳2017)という語は、天使の領域によく使われ、その領域内での様々な階級の一つである。
それは彼らが自分の立場にとどまらず、サタンのコスモス「世」の中の階級に身を置いたことを意味する。
②「自分のおるべき所を捨てた」
彼らは自分のおるべき所を捨て人間の領域に来て人間の娘と雑婚した
③「永遠の束縛をもって、暗やみの中に閉じ込められた」
これはペテロが言っているタータラスのこと
④「大いなる日のさばきのために」
これが白い御座のさばきと呼ばれるもの
それまでは2度とそこ(タータラス)から解放されることはない
ペテロの言及を再び主張している。
7節
1:7 ソドム、ゴモラも、まわりの町々も、同様であって、同じように淫行にふけり、不自然な肉欲に走ったので、永遠の火の刑罰を受け、人々の見せしめにされている。
彼らの罪の性質が解説されている
キーフレーズは「同じように」である。
ソドムとゴモラの罪と同じような罪を犯した 似ていると言う
ここでは性的な罪が取り上げられている
「不自然な肉欲を追い求めた」(新改訳3)とは自然な結婚ではないということ
ソドムとゴモラの場合は同性愛の罪だったが
堕天使にとりそれは人間の娘の肉を追い求めるということ
彼らは自分に与えられた領域を出て新しい人間の領域に侵入していった
それは大変な性的罪を犯しその結果ノアの大洪水が来なければいけない原因をつくったということ
創世記の章句を2ペテロ及びユダの手紙を比べることで、
これはカイン人と雑婚したセツ人ではなく
人間の女と雑婚した天使たちだったことは明らかである。
d.まとめ
この閉じ込められている天使と私たちは戦っているのではない
もう彼らはここにはいないから
私たちが戦う悪霊は自由に動き回っている或いは将来解放されて再び動き回る悪霊どもとの戦い
悪霊の起源の要約
すべての悪霊はサタンとともに堕落したという点で同じ最初の起源を持っている。
しかしその堕落後の或る時に、堕天使どものいくらかが創3:15の最初のメシア預言を妨げるために女の子孫を滅ぼそうとする目的で人間の女たちと結婚した。
これら特定の天使たち(悪霊)は今タータラスに永遠に閉じ込められている。
他の悪霊どもは自由だが、時が来るとその多くがアビスに一時的に閉じ込められ、その後結局は解放されて再び自由に動き回る。
違いは終身刑に対して一時的な監禁刑。
もちろん結局はすべての悪霊が白い御座の裁きに続き、火の池に永遠に閉じこめられることになる。
天使論、サタン論、悪霊論(29)改め悪霊論(6)2023年7/22へ
悪霊論
Ⅴ.悪霊の数
Ⅵ.悪霊の組織