八つの契約 レジュメ(14)2020年5/9
安息日規定は奴隷状態から導き出された出エジプトを記念するイスラエルにのみ与えられた規定
創世記に安息日という言葉はでてこない
礼拝する日ではなく休む日
2002年フルクテンバウム博士セミナー『聖書の八つの契約』(テキスト)を学んでいます。
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フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
緑色の聖句箇所はHP編者による参照聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
緑色の文章はHP編者による補足説明です。
茶色の文章はDr.Arnold G. Fruchtenbaum『The Eight Covenants of the Bible』 からの補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
Ⅰ.エデン契約-条件付き契約-人類全般と
Ⅱ.アダム契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅲ.ノア契約-無条件契約 -人類全般と
Ⅳ.アブラハム契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅴ.モーセ契約-条件付き契約 -イスラエルと
Ⅵ.パレスチナ契約-無条件契約-イスラエルと
Ⅶ.ダビデ契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅷ.新しい契約-無条件契約 -イスラエルと
Ⅴ.モーセ契約 3/7
THE MOSAIC COVENANT
セミナーテキスト14ページへの追加
B. モーセ契約の中心的条項
つづき(3/3)
The Provisions of the Covenant
追加テキストの3ページ
安息日(あんそくにち)
the Sabbath
7.The Token of the Covenant
(安息日とは金曜日の日没から土曜日の日没前までのこと、
便宜上「土曜日」と考えればわかりやすいでしょう。
ユダヤの一日は朝からではなく日没後から始まります。)
1)
安息日はモーセ契約のしるしとなりました。
モーセ契約は誰に対して与えられましたか?
イスラエルにのみ。
ということはモーセ契約のしるしである安息日は誰に対して与えられましたか?
イスラエルにのみ与えられました。
出エジプト記31:12~17
出 31:12 【主】はモーセに告げられた。
31:13 「あなたはイスラエルの子らに告げよ。
あなたがたは、必ずわたしの安息my sabbathsを守らなければならない。
これは、代々にわたり、 わたしとあなたがたとの間のしるしa signである。
わたしが【主】であり、あなたがたを聖別する者であることを、あなたがたが知るためである。
31:14 あなたがたは、この安息the sabbathを守らなければならない。
これは、あなたがたにとって聖なるものだからである。
これを汚す者は必ず殺されなければならない。
この安息中に仕事をする者はだれでも、自分の民の間から断ち切られる。
31:15 六日間は仕事をする。
しかし、 七日目は【主】の聖なる全き安息a sabbathである。
安息日the sabbath dayに仕事をする者は、だれでも必ず殺されなければならない。
31:16 イスラエルの子らはこの安息the sabbathを守り、永遠の契約として、代々にわたり、この安息the sabbathを守らなければならない。
31:17 これは永遠に、わたしとイスラエルの子らとの間のしるしa signである。
それは【主】が六日間で天と地を造り、七日目にやめて、休息したからである。」
安息日を守ることはイスラエル人が他の民族からは区別されたことを表すしるしになっています。
それはイスラエルと神の間にのみ成立する契約のしるしなのです。
申命記5:12~15
申 5:12 安息日the sabbath dayを守って、これを聖なるものとせよ。
あなたの神、【主】が命じたとおりに。
5:13 六日間働いて、あなたのすべての仕事をせよ。
5:14 七日目は、あなたの神、【主】の安息a sabbathである。
あなたはいかなる仕事もしてはならない。
あなたも、あなたの息子や娘も、それにあなたの男奴隷や女奴隷、牛、ろば、いかなる家畜も、また、あなたの町囲みの中にいる寄留者も。
そうすれば、あなたの男奴隷や女奴隷が、あなたと同じように休むことができる。
5:15 あなたは自分がエジプトの地で奴隷であったこと、そして、あなたの神、【主】が力強い御手と伸ばされた御腕をもって、あなたをそこから導き出したことを覚えていなければならない。
それゆえ、あなたの神、【主】は安息日the sabbath dayを守るよう、あなたに命じたのである。
神さまがエジプトからイスラエルの民を導き出した、つまり出エジプトのしるしとして安息日が与えられていると書かれています。
神さまは、教会をエジプトから導き出したのではありませんね。
イスラエルだけです。
ですからイスラエルはエジプトの奴隷状態から導き出されたことのしるしとして安息日が与えられたのです。
Ezek. 20:10~
エゼ 20:10 こうしてわたしは、エジプトの地から彼らを導き出し、荒野に導き入れ、20:11 わたしの掟を彼らに与え、わたしの定めを告げ知らせた。
人は、それらを行うなら、それらによって生きるからである。
エゼキエル書20:12
エゼ 20:12 わたしはまた、彼らにわたしの安息日my sabbathsを与えて、わたしと彼らとの間のしるしa signとし、わたしが彼らを聖なる者とする【主】であることを、彼らが知るようにした。
イスラエルは出エジプトを受けた自由の民となったしるしとして安息日を与えられたと書かれてあります。
それはエジプトからの脱出を記念するしるしです。
エゼキエル書20:20
エゼ 20:20 また、わたしの安息日my sabbathsを聖なるものとせよ。
これをわたしとあなたがたとの間のしるしa signとし、わたしがあなたがたの神、【主】であるJehovah your Godことを知れ」と。
ヤハウェがイスラエルの神であることを示すしるしであると書かれています。
安息日:モーセ契約のしるし
2)
安息日とは天地創造した時に人類に与えられた命令ではありません。
神さまが天地を創造された時、安息日を守れと命令していません。
また、エデン契約でもアダム契約でも安息日を守れという条項はでてこないのです。
そして創世記のどこを探しても安息日、サバス sabbath という言葉は出てきません。
「第七の日」(新共同訳)(創2:2,3)
第七日目(新改訳3)
第七日(新改訳2017)
the seventh day
という呼び方はでてきますが、「安息日」という言い方ではでてこないのです。
アダムからモーセに至るまで安息日を守ったという記録は全くでてきません。
例)
ヨブ記
ヨブはモーセの律法の時代の前の聖徒
ヨブ記は、天地創造、ノアの洪水、いろいろな創世記の話がでてくる
またモーセの時代の前に、人が神の前でどのような責任を負っていたかについて論じている
しかし、安息日を守ることはヨブ記にでてこない
ですから安息日を守れという命令は
モーセの時代以降イスラエルに与えられたものだということができます。
出エジプト記16:23~30
出 16:23 モーセは彼らに言った。
「【主】の語られたことはこうだ。
『明日は全き休みの日、【主】の聖なる安息a holy sabbathである。
焼きたいものは焼き、煮たいものは煮よ。
残ったものはすべて取っておき、朝まで保存せよ。』」
16:24 モーセの命じたとおりに、彼らはそれを朝まで取っておいた。
しかし、それは臭くもならず、そこにうじ虫もわかなかった。
16:25 モーセは言った。
「今日は、それを食べなさい。
今日は【主】の安息a sabbathだから。
今日は、それを野で見つけることはできない。
16:26 六日の間、それを集めなさい。
しかし七日目の安息the sabbathには、それはそこにはない。」
16:27 七日目になって、民の中のある者たちが集めに出て行った。
しかし、何も見つからなかった。
16:28 【主】はモーセに言われた。
「あなたがたは、いつまでわたしの命令とおしえを拒み、守らないのか。
16:29 心せよ。
【主】があなたがたに安息the sabbathを与えたのだ。
そのため、六日目には二日分のパンをあなたがたに与えている。
七日目には、それぞれ自分のところにとどまれ。
だれも自分のところから出てはならない。」
16:30 それで民は七日目に休んだ。
これが最初の安息日を守れという規定です。
そして出エジプト記20:8~11
出 20:8 安息日the sabbath dayを覚えて、これを聖なるものとせよ。
20:9 六日間働いて、あなたのすべての仕事をせよ。
20:10 七日目は、あなたの神、【主】の安息a sabbathである。
あなたはいかなる仕事もしてはならない。
あなたも、あなたの息子や娘も、それにあなたの男奴隷や女奴隷、家畜、またあなたの町囲みの中にいる寄留者も。
20:11 それは【主】が六日間で、天と地と海、またそれらの中のすべてのものを造り、七日目に休んだからである。
それゆえ、【主】は安息日the sabbath dayを祝福し、これを聖なるものとした。
初めて十戒の中にその規定が盛り込まれました。
3)
安息日は信者が集まって神を礼拝する日ではなく、
休息をする日です。
これを理解することは非常に重要です。
モーセは、安息日ごとに集まって神を礼拝せよという命令は一回も語っていません。
モーセが言っているのは、家にとどまりその日休息をしなさい、安息をとりなさいということです。
出 16:23~30(上述)
マナの収集の禁止
出 16:29 心せよ。【主】があなたがたに安息the sabbathを与えたのだ。
そのため、六日目には二日分のパンをあなたがたに与えている。
七日目には、それぞれ自分のところにとどまれ。
だれも自分のところから出てはならない。」
移動の禁止
出 35:3 安息日the sabbath dayには、あなたがたの住まいのどこであっても、火をたいてはならない。」
点火の禁止
民 15:32 イスラエルの子らが荒野にいたとき、安息日the sabbath dayに薪を集めている男が見つかった。
蒔の収集の禁止
エレ 17:21 【主】はこう言われる。あなたがた自身、気をつけて、安息日the sabbath dayに荷物を運ぶな。
また、それをエルサレムの門の内に持ち込むな。
積荷の禁止
アモ 8:5 あなたがたは言っている。
「新月の祭りはいつ終わるのか。
私たちは穀物を売りたいのだが。
安息日the sabbathはいつ終わるのか。
麦を売りに出したいのだが。
エパを小さくし、シェケルを重くし、
欺きの秤で欺こう。
売買取引の禁止
ネヘ 10:31 諸国の民が安息日the sabbath dayに商品、あるいはどんな穀物を売りに持って来ても、私たちは安息日the sabbath dayや聖なる日には彼らから買わない。
また、私たちは七年目には土地を休ませ、あらゆる負債を免除する。
市場売買の禁止
ネヘ 13:15 そのころ私は、ユダのうちで安息日the sabbathにぶどう踏みをしている者、麦束を運んでいる者、また、ろばに荷物を負わせている者、さらに、ぶどう酒、ぶどうの実、いちじくなど、あらゆる品物を積んで、安息日the sabbath dayにエルサレムに運び込んでいる者を見つけた。
それで私は、彼らが食糧を売ったその日に、彼らを戒めた。
市場売買の禁止
ネヘ 13:19 安息日の前、エルサレムの門に夕闇が迫ると、私は命じて扉を閉めさせ、安息日the sabbathが終わるまでは開いてはならないと命じた。
そして、私の配下の若い者の何人かを門の見張りに立て、安息日the sabbathに荷物が持ち込まれないようにした。
市場売買の禁止
けれども驚くほど多くの人々が安息日というのは信者が集まって神さまを礼拝する日だと考えています。
皆さんが日曜日に礼拝をしていると、セブンスデーアドベンチストの人たちは、日曜日に礼拝するのはおかしいと必ず皆さんのことを非難するはずです。
(私にもそのような経験があります。
以下一部は割愛させていただきます。)
・
安息日に旅行する、移動することも律法違反です。
ですから、皮肉なことに、モーセの律法に従って生きていると思っている人が毎週土曜日ごとに律法違反を犯しているのです。
最も聖書的にモーセの律法に従って生きようと思ったら、土曜日は家で休息するのです。
ところが、安息日に集会を開けという規定がでてきます。
これは祭司たち
つまりレビ人たちに与えられている命令で
血の犠牲をささげるための集会を開けということであり
一般の人が集まって礼拝をせよという命令ではありません。
祭司以外、レビ人以外、一般のイスラエル人たちは
その日は家に留まり休息の時を過ごさなければなりません。
レビ 23:3 六日間は仕事をする。
しかし、七日目は全き休みのための安息日a sabbath、聖なる会合の日a holy convocationである。
あなたがたは、いかなる仕事もしてはならない。
この日は、あなたがたがどこに住んでいても【主】の安息日a sabbathである。
モーセの三書(出、レビ、民)にみられる「聖なる会合」 holy convocationとは、
特別ないけにえを行う目的による祭司たちの招集をあらわしていて、安息日はこれらの機会の一つでした。
イスラエルすべてに対する共同礼拝の時ではありませんでした。
例えば安息日がイスラエルにとって共同体として礼拝をささげる日だと仮定しましょう。
モーセの律法によれば
公の礼拝が行われる場所はたった一か所、幕屋か神殿
ソロモン以降神殿が建っている町とはエルサレム
もし皆さんがエルサレムに住んでいるならば安息日ごとに集まって礼拝をささげることは地理的に可能
しかし、ガリラヤに住んでいるユダヤ人の場合は?
エルサレムに上るのに3日かかる・・・
(以下、英語ジョークは割愛させて頂きます(笑))
安息日は集まって礼拝する日ではなく、休む日なのです。
モーセの律法の時
(シロかエルサレムに)集まって
(レビ人以外、共同で)主を礼拝するのは
年に3回だけ要求されていました。
イスラエルの3大祭り
*過越しの祭り ぺサハthe Feast of Passover
*五旬節、七週の祭り シャブオット
the Feast of weeks
私たちはペンテコステPentecostと言っていますね
*仮庵の祭り スコットthe Feast of Tabernacles
この3つだけです。
新約聖書に見られる安息日のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)礼拝はバビロン捕囚に端を発しており、モーセの律法からではありません。
安息日は全く無活動の日ではなく、六日間の日常労働からの休息と元気回復の日でした。
4)
安息日の規定はモーセの律法の時代のイスラエルにのみ適用されるものであり、
教会に適用されるものではありません。
教会がどのように共同体としての礼拝をおこなうかは「新しい契約」で説明します。
5)
モーセ契約が有効であり、モーセの律法が有効である限り、有効な教えであり、
それが終わると
この規定も終わります。
モーセ契約が終わったら安息日の規定も自動的に終わります。
安息日の規定はそのモーセの律法の一部だからです。
・・・・・・・・・・・・
「永遠」について
出エ31:16 イスラエルの子らはこの安息the sabbathを守り、永遠の契約a perpetual covenantとして、代々にわたり、この安息the sabbathを守らなければならない。
31:17 これは永遠にfor ever、わたしとイスラエルの子らとの間のしるしである。~
この原語に私たちがいう「永遠」の意味はありません。
日本語で「永遠」と訳されている
ヘブル語「オラム」は
「一定期間の最後まで」という意味しかもちません。
同じオラムという言葉は安息日以外のモーセの律法にも使われています。
ですから、この言葉を根拠に安息日の規定は今も有効で他の規定については無効とするような釈義には一貫性がありません。
フルクテンバウム博士著『イスラエル学-組織神学の失われた環-』中川健一監訳/佐野剛史訳(書籍)(電子書籍) B.現在のイスラエル 4.モーセ契約とモーセの律法 c.安息日(2)安息日の永遠性 p.119~
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リーダーによる補足
イエスさまは生きてモーセの律法を完全に守った唯一のユダヤ人ですから、律法による安息日規定も全て守られました。
しかし、イエスさまが批判されたのは、モーセの律法のまわりに膨大な注解、要素をラビ(ユダヤ教の先生)が付け加えた、モーセの律法に人間が付け加えた「言い伝え」=口伝律法に関することです。
パウロはもともとはその「口伝律法」ハラハーをつくっていた側のようですね。
イエスさまはそれらのユダヤ的慣習に対して、神さまのみこころから出たものである限りは従われていますから、聖書に書かれている神さまからの命令であるモーセの律法と、あとから加わったユダヤ的慣習を区別して読むことができると、聖書をより理解できるのではと思います。
イエス時代から現代のイスラエルまでには、さらに膨大な規定(タルムードほか)が加えられ、正統派ユダヤ人はラビ的ユダヤ教に基づく安息日を守っています。
(お店は金曜日の日没前から、土曜日、閉店します。
公共交通機関はストップするのでしょうか。
電気は仕事とみなされるのでホテルのエレベーターは半分止まり、或いは各階止まりとなり、トイレットペーパーは安息日前に切っておき、読むのはOK、書くのはダメ、歩く距離は何百mまで等々と言われているようです。
法律のほか教派により、各自の信仰により、安息日の守り方は異なるのでしょうが、身体はとても休まるそうで、興味深い究極のステイホームですね。)
メシアニックジュー(イエスを信じるユダヤ人)がそのユダヤのライフスタイルを守る自由はもちろんあり、非難されるべきではありません。
私たち異邦人の安息日への対応ですが、もともとユダヤ人に与えられたものなので無関係な規定です。
そして神が命令されたモーセの律法もイエスさまの十字架の死によって既に成就され、今は無効となっているので、自動的に安息日の規定も終わっているのです。
つまり、私たちが安息日は聖書にある神さまからの命令だから今も異邦人も守らなければならないと考えるのは間違っているということです。
フルクテンバウム博士著『イスラエル学-組織神学の失われた環-』中川健一監訳/佐野剛史訳(書籍)(電子書籍)
A.過去のイスラエル b.モーセの律法(3)安息日p.36~45 B.現在のイスラエル c.安息日p.113~146 (7)新約聖書における安息日(a)福音書における安息日(b)使徒の働きにおける安息日(c)パウロの書簡における安息日
(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』(書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 13「律法の時代」とは、どのようなものか 21シナイ契約とはどのようなものか をどうぞ。)
八つの契約(15) 2020年5/23へ
Ⅴ.モーセ契約(4/7)モーセの律法が与えられた目的(1/2)神との関連で、イスラエルにとっては