練馬桜台聖書フォーラム

八つの契約 レジュメ(13)2020年 4/25

2020.05.02

カテゴリー:八つの契約, 学び

八つの契約 レジュメ(13)2020年4/25

 

モーセの律法の食物規定、死刑について
割礼の意味がアブラハム契約とは変わります

 

2002年フルクテンバウム博士セミナー聖書の八つの契約テキスト)を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD9枚組)(MP3版)(テキストのみ

 

 

レジュメもくじ

前回のレジュメ(12)

 

 

フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。

以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
(但し、ここでは新改訳2017を載せています)
紫色の聖句は参考聖句です。
緑色の聖句箇所はHP編者による参照聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。

緑色の文章はHP編者による補足説明です。
茶色の文章はDr.Arnold G. Fruchtenbaum『The Eight Covenants of the Bible』 からの補足説明です。
ロイヤルブルー色の文章はフルクテンバウム博士著『イスラエル学-組織神学の失われた環-The Missing Link in Systematic Theology』中川健一監訳/佐野剛史訳(書籍)(電子書籍) からの補足説明です。

興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。

 

Ⅰ.エデン契約条件付き契約人類全般
Ⅱ.アダム契約無条件契約 
人類全般
Ⅲ.ノア契約無条件契約 
 人類全般
Ⅳ.アブラハム契約
-無条件契約-イスラエル
Ⅴ.モーセ契約
条件付き契約 
イスラエル
Ⅵ.パレスチナ契約無条件契約
イスラエル
Ⅶ.ダビデ契約
無条件契約  イスラエル
Ⅷ.新しい契約
無条件契約  イスラエル

 

 

Ⅴ.モーセ契約 2/6
THE MOSAIC COVENANT

 

 

セミナーテキスト14ページ

 B. モーセ契約の中心的条項
つづき
(2/3)
The Provisions of the Covenant

 

 

 

食物規定
4.The Diet Restrictions Imposed

 

 

モーセ契約では
ユダヤ人は
ノア契約で与えられていた規定に制限が加えられます。

・・・・・・・・・・・・・・

おさらい

 

エデン契約
創 1:29 神は仰せられた。
「見よ。わたしは、地の全面にある、種のできるすべての草と、種の入った実のあるすべての木を、今あなたがたに与える。
あなたがたにとってそれは食物となる。
1:30 また、生きるいのちのある、地のすべての獣、空のすべての鳥、地の上を這うすべてのもののために、すべての緑の草を食物として与える。」
すると、そのようになった。

創 2:17a しかし、善悪の知識の木からは、食べてはならない。
たった一つの禁止事項以外、
人も動物も草食
(この契約は終わりました)

 

 

アダム契約
創 3:18b あなたは野の草を食べる。
人は変わらずベジタリアン(動物界は不明)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ノア契約

創 9:3 生きていているものはみな、あなたがた食物となる
緑の草と同じように、そのすべてのものを、今、あなたがたに与える。
9:4
ただし肉は、そのいのちである血のあるままで食べてはならない。
ノア契約では地上をすべてのものあなたがたにとっての食物となると言われました。

ノア契約の条項は
異邦人
そのまま有効続く

ユダヤ人:そこに制限が加えられる

 

 

 

モーセ契約:

レビ 11:1 【主】はモーセとアロンに告げて、こう彼らに言われた。
11:2 「イスラエルの子らに告げよ。
次のものは、地上のすべての動物のうちで、あなたがたが食べてもよい生き物である。
11:3 動物のうち、すべてひづめが分かれ、完全にひづめが割れているもので、反芻するもの。
それは食べてもよい。
11:4 ただし、反芻するもの、あるいは、ひづめが分かれているものの中でも、次のものは食べてはならない。
らくだ

これは反芻はするが、ひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。
11:5 岩だぬき
これも反芻はするが、ひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。
11:6 野うさぎ
これも反芻はするが、ひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。
11:7
これはひづめが分かれていて、完全に割れてはいるが、反芻しないので、あなたがたには汚れたものである。
11:8 あなたがたは、それらの肉を食べてはならない。
また、それらの死骸に触れてもいけない。
それらは、あなたがたには汚れたものである。
ユダヤ人にとって食べられる動物は、蹄(ひづめ)が割れて反芻するもの―牛

 

11:9 水の中にいるすべてのもののうちで次のものを、あなたがたは食べてもよい。
海でも川でも水の中にいるもので、ひれと鱗のあるものはすべて食べてもよい。
11:10 しかし海でも川でも、すべて水に群がるもの、またはすべて水の中にいる生き物のうち、ひれや鱗のないものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。
11:11 これらは、あなたがたには忌むべきものである。
それらの肉を食べてはならない。
また、それらの死骸を忌むべきものとしなければならない。
11:12 水の中にいるもので、ひれや鱗のないものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。
魚は鰭ヒレと鱗ウロコfins and scalesがついているもの

貝類はこの時からもう食べてはいけないということになるわけです。
(甲殻類も、タコ、イカも×)

 

11:13 また、鳥のうちで次のものを忌むべきものとしなければならない。
これらは忌むべきもので、食べることはできない。
すなわち、禿鷲、禿鷹、黒禿鷹、11:14 鳶、隼の類、11:15 烏の類すべて、11:16 だちょう、夜鷹、かもめ、鷹の類、11:17 ふくろう、鵜、みみずく、11:18 白ふくろう、森ふくろう、野雁、11:19 こうのとり、鷺の類、やつがしら、こうもりである。
鳥類は肉食あるいは死体を食べる鳥はダメで、草食、草や木の種を食べる鳥のみ食することが許可されます。

 

11:20 羽があって群がり、四本の足で歩き回るものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。
11:21 ただし、羽があって群がり、四本の足で歩き回るもののうちで、それらの足より高い二本の跳ね足を持ち、それで地上を飛び跳ねるものは食べてもよい。
11:22 それらのうち、あなたがたが食べてもよいものは次のとおりである。
いなごの類、毛のないいなごの類、コオロギの類、バッタの類。
11:23 しかし羽があって群がり、足が四本あるものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。
昆虫類は蝗イナゴが食べることを許されました。

 

11:24 次のことによっても、あなたがたは身を汚すことになる。
すなわち、それらのものの死骸に触れる者はだれでも夕方まで汚れる。
11:25 また、それらの死骸を運ぶ者はみな、自分の衣服を洗わなければならない。
その人は夕方まで汚れる。

11:29 地に群がるもののうち次のものは、あなたがたにとって汚れたものである。
すなわち、もぐら、跳びねずみ、大トカゲの類、11:30 ヤモリ、ワニ、トカゲ、砂トカゲ、カメレオンである。

 

 

私たちユダヤ人以外の異邦人にとってモーセの律法はもともと無関係ですから、この食物規定を守る必要はありません
ただし、例えばイスラエル旅行ではレストランが守る「コシェル」(ユダヤ教の食物規定)に私たちも従うことになります。
ですから、お店に食べ物の持ち込みは禁止です。
コシェルの例)
肉と乳製品を同時に食べてはならない
それは「あなたは子やぎをその母の乳で煮てはならない。」(申14:21d)というモーセの律法が拡大解釈されたものです。
肉用と乳製品用でお皿、シンク、厳格に分けているそうです。

朝、ホテルでは沢山のヨーグルトがでますが、ハムやもちろんベーコン(豚肉)はありません。
夜、お肉を食べたあとのデザートの生クリームは乳脂肪ではありません。
ミルクやクリームを出せないので、コーヒーがない場合もあります。

 

フルクテンバウム博士は日本ではとんこつラーメンと餃子がお好きとのことですから、イエスさまを信じた後、コーシェルからも自由な立場をとられたということですね。

 

 

 

 

 

死刑
5.The Death Penalty Expanded

 

 

ユダヤ人にのみ、次の罪を犯した場合死刑が宣告されるようになります。

 

 

ノア契約
故意に犯す殺人のみ死刑が宣告されていました。

創 9:5 わたしは、あなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。
いかなる獣にも、それを要求する。
また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。
9:6 人の血を流す者は、人によって血を流される。
神は人を神のかたちとして造ったからである。

 

 

 

モーセ契約
ユダヤ人対して
死刑が他の罪を犯した場合にも宣告されるようになります。

 

例)

姦淫かんいんの罪
adultery

レビ20:10 人が他人の妻と姦淫したなら、すなわち自分の隣人の妻と姦淫したなら、その姦淫した男も女も必ず殺されなければならない。20:11 人がもし父の妻と寝たなら、父の裸をあらわにしたのである。二人とも必ず殺されなければならない。その血の責任は彼らにある。20:12 人がもし息子の妻と寝たなら、その二人は必ず殺されなければならない。その人たちは道ならぬことをした。その血の責任は彼らにある。20:13 男がもし女と寝るように男と寝たなら、二人は忌み嫌うべきことをしたのである。彼らは必ず殺されなければならない。その血の責任は彼らにある。20:14 人がもし女をその母とともに妻としたなら、それは淫らなことである。その人もその女たちもともに、火で焼かれなければならない。あなたがたの間で淫らな行為がないようにするためである。20:15 人がもし動物と寝るなら、その人は必ず殺されなければならない。その動物も殺さなければならない。20:16 女がもし、いかなる動物にであれ近づいてそれとともに交わるなら、あなたはその女と動物を殺さなければならない。その両者は必ず殺されなければならない。その血の責任はその両者にある。
20:17 人がもし自分の姉妹、すなわち父の娘か母の娘を妻とし、自分の姉妹の裸を見て、女もその人の裸を見たなら、これは恥ずべきことである。同族の目の前でその人たちは断ち切られる。その人は自分の姉妹の裸をあらわにしたのである。その咎を負わなければならない。20:18 人がもし月のさわりのある女と寝て、彼女の裸をあらわにしたなら、男は女の泉を暴き、女は自分の血の泉をあらわにしたのである。二人は自分の民の間から断ち切られる。20:19 母の姉妹や父の姉妹の裸をあらわにしてはならない。これは自分の肉親を裸にすることである。彼らは咎を負わなければならない。20:20 人がもし自分のおばと寝たなら、おじの裸をあらわにしたのである。その人たちはその罪責を負わなければならない。彼らは子を残さずに死ぬ。20:21 人がもし、自分の兄弟の妻をめとるなら、それは忌まわしいことだ。彼はその兄弟の裸をあらわにしたのである。彼らは子のいない者となる。

 

偶像礼拝の罪
idolatry

神の御名を汚す、神を呪う
cursing God

レビ 20:1 【主】はモーセにこう告げられた。20:2 「あなたはイスラエルの子らに言え。イスラエルの子ら、あるいはイスラエルに寄留している者のうちで、自分の子どもを取ってモレクに与える者は、だれであれ必ず殺されなければならない。民衆がその者を石で打ち殺さなければならない。20:3 わたしはその人に敵対してわたしの顔を向け、彼をその民の間から断ち切る。彼がモレクに自分の子どもを与え、そのためわたしの聖所を汚し、わたしの聖なる名を汚したからである。20:4 もしも、人がモレクに自分の子どもを与えるときに、民衆がそれを見て見ぬふりをし、彼を殺さないことがあれば、20:5 わたし自身が彼とその家族に顔を向け、彼と、彼に倣いモレクを慕って淫行を行う淫らな者をみな、その民の間から断ち切る。

 

両親を呪う
cursing parents
レビ 20:9 だれでも自分の父や母をののしる者は、必ず殺されなければならない。その人は自分の父あるいは母をののしったのだから、その血の責任は彼にある。

 

安息日の規定を破る
breaking the Sabbath

 

魔術を行う
practicing witchcraft

レビ20:6 霊媒や口寄せのところに赴き、彼らを慕って淫行を行う者があれば、わたしはその人に敵対してわたしの顔を向け、彼をその民の間から断ち切る。20:7 あなたがたは自分の身を聖別し、聖なる者とならなければならない。わたしがあなたがたの神、【主】であるからだ。20:8 あなたがたはわたしの掟を守り、それを行わなければならない。わたしはあなたがたを聖なる者とする【主】である。

 

レビ20:27 男でも女でも、彼らの間に霊媒や口寄せがいるなら、必ず殺されなければならない。彼らは石で打ち殺されなければならない。その血の責任は彼らにある。」

 

ほか
among others

 

 

中川牧師による質問:
Q:それはどの程度厳格に実行されましたか?

フルクテンバウム博士による回答:
A:例えばサウル王の時代に魔術を行う者たちが全部殺されたりしていますね。
ですから全部でないにしても部分的にはイスラエルの歴史の中でそれが実行されています。

Ⅰサム 28:9 女は彼に言った。「あなたは、サウルがこの国から霊媒や口寄せを断ち切ったことをご存じのはずです。~

 

 

 

 

 

割礼
6.The Sign of the Covenant

 

 

アブラハム契約では割礼を行うことが要求されましたが、モーセ契約でもまたその命令がでてきます。

しかし、アブラハム契約と同じ意味を割礼がもつわけではないのです。

 

 

アブラハム契約
割礼は契約のしるし、ユダヤ人であることのしるし

創 17:10 次のことが、わたしとあなたがたとの間で、またあなたの後の子孫との間で、あなたがたが守るべきわたしの契約である。
あなたがたの中の男子はみな、割礼を受けなさい。
17:11 あなたがたは自分の包皮の肉を切り捨てなさい。
それが、わたしとあなたがたとの間の契約のしるしとなる。
17:12 あなたがたの中の男子はみな、代々にわたり、生まれて八日目に割礼を受けなければならない。


 

 

 

モーセ契約
割礼は律法に対する従順をあらわすもの

 

レビ記12:3
レビ 12:3 八日目には、その子の包皮の肉に割礼を施す。

 

ですから、ガラテヤ人への手紙でパウロが、もし新約時代になおかつ割礼を受けようとするならばそれは律法全体を守るという前提でなければいけない、という議論を展開するのです。

 

ガラ 5:3 割礼を受けるすべての人に、もう一度はっきり言っておきます。
そういう人には律法全体を行う義務があります

割礼だけを受けて他の律法は横に置いておくというわけにはいかないのです。

 

律法というのはAll or nothing全部やるか全部解放されるかのどちらかですから、割礼を受けたがる人は律法の全部、つまり613の規定を全部守らなければいけないよというのがガラテヤ書の議論です。

 

 

アブラハム契約は今も有効なので、イエスさまを信じているかいないかに関係なく、割礼は今もユダヤ人男性全てに課せられた義務です。
ユダヤ人だけに命じられたユダヤ人であることのしるしです。

しかし、モーセ契約における割礼は律法に従うことの象徴となり、異邦人でもユダヤ教に改宗したものは受けなければならなくなりました。

 

 

アブラハム契約における割礼

ユダヤ人のみ

契約のしるし

 

 

 

モーセ契約における割礼

ユダヤ教徒あるいはイスラエル社会の一員になりたい人異邦人でも

律法に従うという意味

 

ですから、イエスさまの時代ユダヤ教徒に改宗した人は必ず割礼を通過していました。

 

 

 

イエスさまの死後つまりモーセ契約が終わった後
現在は

ガラテヤ人への手紙でパウロが否定したのは義と認められるための割礼です。
今や異邦人の割礼、モーセの律法に基づいた割礼、義認や聖化のための割礼は間違っています

しかし、アブラハム契約は今も有効なので、アブラハム契約に基づく割礼は正しいものであり、ユダヤ人信者は今も従わなくてはならないものです。

 

 

 

リーダーによる補足

これらの神さまから与えられたモーセの律法はイエスさまの時代には(ユダヤ人には)有効でした。
イエスさまはそのような時代に生き、モーセの律法は全て守られました(人間にはできないことです)。
幕屋はありませんが。

と同時に、モーセの律法を拡大解釈したパリサイ人による口伝律法が横行していた時代でもありました。
613のモーセの律法を犯さないためにと、いわば池に落ちないようにと池
のまわりに人間が何重にもつくった柵、膨大な規定です。
ユダヤ教では聖書(モーセの律法)の注釈として「ミシュナ」(紀元前5世紀から紀元2世紀)をつくりました。
これは数百年かけて口伝律法(言い伝え)とラビ(ユダヤ教の教師)の注釈書をまとめたものです。
さらに、その「ミシュナ」の注釈書として「ゲマラ」をつくります。
この「ミシュナ」と「ゲマラ」をまとめたものが「タルムード」(紀元5世紀、6世紀)です。
膨大な規定が人によってあとから付け加えられました。
わかりやすい例の一つに次回の「安息日」があると思います。


 



(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 21シナイ契約とはどのようなものか をどうぞ。)

 

八つの契約(14) 2020年5/9
Ⅴ.モーセ契約(3/6)
B.モーセ契約の中心的条項 つづき(3/3)安息日                                                                                                    

練馬桜台聖書フォーラム

代表 :南 知之

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