八つの契約レジュメ(1)2019年9/14
聖書の八つの契約を学ぶと聖書を読むための重要な原則がわかり、一生の宝となります
2002年フルクテンバウム博士セミナー『聖書の八つの契約』(テキスト)を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD9枚組)(MP3版)(テキストのみ)
前回のレジュメ死後の世界(22)
「聖書が教える死後の世界ー個人的終末論ー」
フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
以下、青色の聖句はセミナーでとりあげられた聖句です。
紫色の聖句はレジュメ編者の独断で選んだ聖句、または参考聖句です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
緑色の聖句や文章はレジュメ編者による補足説明です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
今回のレジュメから聖書は断りがない場合「新改訳3」ではなく「新改訳2017」を使用します。
紙の聖書「新改訳2017」はこちらから
はじめに
Ⅰ. エデン契約
Ⅱ. アダム契約
Ⅲ. ノア契約
Ⅳ. アブラハム契約
Ⅴ. モーセ契約
Ⅵ. パレスチナ契約
Ⅶ. ダビデ契約
Ⅷ.新しい契約
セミナーテキスト1ページ
はじめに
INTRODUCTION
(中川健一牧師による)
セミナーを理解するために一番ベースになる言葉
ディスペンセーション
DISPENSATIONS
「経綸」と訳されます。
「時代区分」のこと
ディスペンセーションという言葉がでてきたら時代区分のことだなと思ってください。
この講義を理解する為の第二の言葉
ディスペンセーショナリズム
「経綸主義」と普通訳されます。
神さまはご自分の救いの計画を時代を区切って少しずつ少しずつ私たちに啓示してくださいました。
いっぺんに全部見せたのではなく、ひとつ一つ積み上げて教えてくださったのです。
そのひとつ一つの積み上げた時代区分のことをディスペンセーションと言います。
(詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』(書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 06ディスペンセーションの定義は何か をどうぞ。)
そういう見方で聖書全体を読もうというのがディスペンセーショナリズムという考え方です。
(同上 05ディスペンセーショナリズムの基本的要素とは何か)
私たちは「伝統的ディスペンセーショナリズム」の立場であり、漸進的 progressive, reconstructed, modified, new, revised, kingdom, changed ディスペンセーショナリズムPDやウルトラ(ハイパー)・ディスペンセーショナリズムの立場ではありません。
(同上 27ディスペンセーショナリズムはどのように発展したのか 28漸進的ディスペンセーショナリズムとはどのようなものか 087つのディスペンセーション説以外に、どのような説があるか)
何故この考え方が大事なのでしょうか?
聖書を読む時に、それがどの時代区分であるかを理解していないと適応でおかしなことになるのです。
例)
*食事
豚肉
聖書で豚肉は食べてはいけないのではないですか?
どうして皆さんは食べているのですか?
申14:4 あなたがたが食べてもよい動物は牛、羊、やぎ、14:5 鹿、かもしか、のろ鹿、野やぎ、くじか、大鹿、野羊。~
14:7 ~らくだ、野うさぎ、岩だぬきは食べてはならない。~
14:8 豚もそうである。ひづめは分かれているが、反芻しないので、あなたがたには汚れたものである。
それらの肉を食べてはならない。
また、それらの死骸に触れてもいけない。
それは、あの時代のイスラエルに対して言われたことであり、私たち(現代の異邦人)に言われているのではないからです。
ディスペンセーションが違う、時代区分が違うからです。
*マタイの福音書
イエスさまが弟子たちを遣わす時 何も、金も持っていくなと言われました。
マタ10:5 イエスはこの十二人を遣わす際、彼らにこう命じられた。~10:9 胴巻に金貨も銀貨も銅貨も入れて行ってはいけません。10:10 袋も二枚目の下着も履き物も杖も持たずに、旅に出なさい。~
今の宣教師たちが海外宣教の時に荷物を沢山持っていくのはイエスさまの命令に違反しているのではないですか?
違反でないのはディスペンセーションが違うからです。
あれは、イエスさまが十字架にかかる前の時間が残されていない緊急時に言われたことです。
*安息日
土曜日の礼拝
聖書に書いてあるから土曜日に礼拝する、というのはまず読み間違いです。
安息日の規定 :
土曜日(金曜日の日没から土曜日の日没まで)は休めという規定
出 31:15 ~ 安息日に仕事をする者は、だれでも必ず殺されなければならない
レビ 23:3 六日間は仕事をする。しかし、七日目は全き休みのための安息日、~あなたがたは、いかなる仕事もしてはならない。~
エレ 17:22 また、安息日に荷物を家から出すな。いかなる仕事もするな。~
礼拝に行くのに電車で1時間も通ったら違反です。
また土曜日に礼拝しなさいという規定ではありません。
(バビロン捕囚以降、神殿が破壊されたので安息日に会堂に集まるようになった?)
2つ目に、ディスペンセーションが違う。
つまり、今の時代に適用されるルールではないのです。
時代区分がわかってくると、なんだそうだったのかとわかってきます。
旧約聖書を読んでいて、かつての時代神さまが命令されていたことの中で
既に過ぎ去っていることと
今もなお生きていて適用されること
の二つが明確に見えてきます。
八つの契約を学ぶ目標
① 神さまが人類を救おうとされた救いの計画がどのように発展してきたのかがわかります。
聖書全体を解釈する1本の骨組みができるということです。
② 八つの契約の内容と時代区分が理解できるようになります。
③ 契約と時代区分が理解できると、現代の私たちにどの部分が適用され、どの部分が適用されないかという適用が十分にできるようになります。
④ 現代の中東問題が何故起きているかということを聖書と関連づけてある程度考えることができるようになります。(開会礼拝の内容は割愛)
完全に考え解明していく為には終末論つまり黙示録の学び翌年2003年が必要になってきますが、その直前までこのセミナーは近づくことができます。
2テモ2:15
Ⅱテモ 2:15 あなたは務めにふさわしいと認められる人として、すなわち、真理のみことばをまっすぐに説き明かすrightly divide the word of truth、恥じることのない働き人として、自分を神に献げるように最善を尽くしなさい。
講師フルクテンバウム先生の簡単な紹介
シベリア生まれ
両親は第二次大戦中にシベリアに送られ出会う
未だ幼いころ戦争が終わり、ヨーロッパに帰る
ポーランドからアメリカに移住
ニューヨークでは100%ユダヤ人の学校
高校時代クリスチャンに導かれメシアニックジュー(ユダヤ人信者)の集会に
そこで非常に頭にくる
イエスの話をしていたからではない
旧約聖書(特にイザヤ書)を使ってイエスの話をしていたので頭にきた
タナハ(旧約聖書)は自分たちの書
自分たちの聖書を用いて偶像の神であるイエスの話をしている
すごく怒ったら、じゃああなたは今度来る時まで読んだらどうだと新約聖書をくれた
間違いを発見しようと、一生懸命一週間取り組んだ
新約聖書にはステンドグラスのある教会で黒い服を着た司祭が十字架をかざしてユダヤ人を殺せと言っている話が書いてあると思っていた
読んでみて驚いた
極めてユダヤ的な文章で、イエスが旧約聖書の預言であるとはっきりわかった
もう否定することができなくなり、決心し、救いに入る
お父さんから当然勘当される
最初は全く話ができなくなった
同じテーブルで食事をすることがなくなった
お父さんからお母さん経由でメモが来て、かろうじてコミュニケーション
高校3年生になった時、卒業したらこの家を出て行けと
移住していたカリフォルニアの家を出てニューヨークまで一人でヒッチハイク
そこから彼の歩みがスタートした
今はアリエル・ミニストリーズという団体の代表
世界19か国に支部を持ち、宣教師を派遣しユダヤ人伝道
ユダヤ的視点で聖書を教えることがその働きのゴール
(以下フルクテンバウム博士による講義)
どうしてこの学びが重要なのか
聖書を体系的組織的に理解しようとする方法は神学的に幾つかあります。
「聖書の八つの契約」は聖書を体系的に理解する方法の一つです。
その学びを通して聖書が体系的にどのように書かれているかを理解すると、聖書を読む時に
*その部分が全体とどのように関係しているのか
*現在生きる私たちがどの部分を採用し、どの部分を採用しなくてもいいか
ということが見えてきます。
私は世界中でセミナーをしていますが、多くのクリスチャンたちが聖書のどの部分が現代の私たちに適用されるかを理解していない為に、キリスト教界に大きな混乱があります。
例)
・安息日に礼拝を守るべきか、或いは教会に行くのは日曜であるかという議論
・モーセの律法にある食物規定を今も実行すべきかすべきでないかといった議論
今日のクリスチャン、メシアニックジューも同様、こういった混乱が広がりつつあります。
学びを通して、その混乱が明確に解決されていく経験をするはずです。
もちろん聖書のどの部分からも学ぶことはできますが、それが今の時代に適用されるかどうかということについてはまた別問題です。
例)
レビ記 様々な動物を捧げる規定
レビ記の規定は今日の私たちに適用されるものではありません。
けれどもその中で、今日でも適用される原則があるのです。
例えば生き物を殺して流される血、罪の贖いには血を流すことが必要であるという真理は今の時代も真理なのです。
レビ 17:11 実に、肉のいのちは血の中にある。~
セミナーテキスト1ページ
まず契約にはどういうタイプがあるのかを確認しましょう。
A.契約のタイプ
THE TYPES OF COVENANTS
契約には二つのタイプがあります。
1.条件付き契約
Conditional Covenants
専門用語で、お互いが責任を持つ双務、両方ともの義務、双務そうむ契約
「もしあなたがこうするならば、私はこうしてあげよう。」
If you will , then I will
神さまは或る祝福をお与えになる時に、神の民が神が命じる或る条件に合致した時にこの祝福が与えられる、と約束されることがあります。
その神の条件に自分があわない場合は逆に、祝福ではなく神の裁き、呪いがその人にくだることになります。
神さまが約束された祝福がくだる為には、人間の側で与えられた条件を満たすことが必要
2.無条件契約
Unconditional Covenants
法律用語では、片一方だけの義務、片務へんむ契約
神ご自身が「わたしは何々する。」と宣言される形式のもの
I will
その契約を受ける個人がどのようにふるまうとも、どのように信じようとも信じまいとも、神の約束された祝福が必ず下るというもの
幾つか条件と思えるようなものがでてくるのですが、神がこの約束を成就する土台となるための条件ではないのです。
・・・・・・・
神さまが或る個人あるいは或る民族にこう語りかけます。
「わたしはあなたと、あるいはあなた方と或る契約を結ぼうとしている。
そしてその契約の中には様々な約束が含まれていて、これら全ての約束はすぐ近い将来かあるいはもっと先の将来かに必ず実現されるものなのだ。」
「この契約にあなたが感謝するならば、その感謝の現れとしてこういったことをわたしの為にしてくれないだろうか。」
「わたしはして欲しいと願いは語ったが、あなたがこれをしてもしなくても約束したことは必ず成就する。
しかし、あなたが感謝に溢れたと思うならば今言うこれをやってくれないか。」
・・・・・・・・
これが無条件契約です。
無条件条約において神さまの約束の成就は100%恵みthe grace of Godによって成る
「八つの契約」
8つのうち2つが条件付き契約
エデン契約とモーセ契約
それ以外の残り6つは全て無条件契約
エデン契約-条件付き契約-人類全般と
アダム契約-無条件契約 -人類全般と
ノア契約 -無条件契約 -人類全般と
アブラハム契約-無条件契約-イスラエルとのみ
モーセ契約-条件付き契約 -イスラエルとのみ
パレスチナ契約-無条件契約-イスラエルとのみ
ダビデ契約-無条件契約 -イスラエルとのみ
新しい契約-無条件契約 -イスラエルとのみ
セミナーテキスト2ぺージ
B.イスラエルとの契約
THE COVENANTS WITH ISRAEL
八つの契約の最初の3つは
神様が人類全般mankind in generalと結ばれた契約
それ以降の5つの契約は
神さまが特にイスラエルとのみ結ばれた契約
この5つのうち、モーセ契約が条件付き契約
4つは無条件契約
神さまがイスラエルと結ばれた無条件契約の5つの特徴について
アブラハム契約、土地の契約、ダビデ契約、新しい契約
①
字義通り、文字通り解釈されるべきであり、決して比喩的に読んではなりません。
例)
「あなたに土地をあげよう。」
それは「土地」と理解しなければいけません。
霊解をする人たちは「この土地というのは天国のことだ」というように比喩的に解釈しますが、文字通り土地は土地です。
②
永遠の契約であり、人類の歴史の最後まで有効に続くものです。
③
イスラエルがどれほど失敗したり不信仰に陥ったりしても、神はこの契約を決して破棄されません。
つまりイスラエルの側の不真実によって破棄される契約ではありません。
④
神は契約の民を選んでこの契約を結ばれたということ。
その契約の民をイスラエルと言うのです。
ロマ9:4
ロマ 9:4 彼らはイスラエル人です。
子とされることも、栄光も、契約も、律法を与えられることも、礼拝も、約束も彼らのものです。(新改訳3)
イスラエルに与えられている幾つかの特権が書かれています。
契約という言葉があります。
イスラエルは契約の民です。
ローマ人への手紙はイエス・キリストの十字架の出来事の後に書かれた書簡です。
パウロは「彼らはイスラエル人でした。」という過去形ではなく、現在形で書いています。
イエス・キリストの十字架以降もイスラエルは契約の民であり、
契約はイスラエルのものであるという真理が継続しているということです。
或る人々が言うように、新約時代にはイスラエルが退けられて教会が新しいイスラエルになった、という教理(置換ちかん神学)はこの聖句からは否定されるべきだとわかります。
エペ2:11、12
エペ 2:11 ですから、思い出してください。
あなたがたは、以前は肉において異邦人でした。
すなわち、肉において人の手による、いわゆる割礼を持つ人々からは、無割礼の人々と呼ばれる者であって、2:12 そのころのあなたがたは、キリストから離れ、イスラエルの国から除外され、約束の契約については他国人strangers from the covenants of the promiseであり、この世にあって望みもなく、神もない人たちでした。(新改訳3)
ロマ9:4と同じことが確認されています。
パウロは、この契約はイスラエルと結ばれたものであるとはっきり打ち出しています。
そして異邦人のことを「イスラエルの国から除外され、約束の契約については他国人であり、この世にあって望みもなく、神もない人たちでした。」と書いています。
⑤
各々の契約にある契約条項が成就するタイミングについて
原則
The Principle of the Timing of the Provisions
契約は歴史上の或る時点でサインされます。
しかし、その契約に含まれる条項が全てそのサインした段階で効果を発揮し始めるというわけではないのです。
契約にサインすると、その契約条項に関して3つの異なったことが起こり始めます。
その契約の或る条項は
1)サインした時にすぐに有効な状態になります。
2)近い将来に有効になり始めます。
25年先や400年先、聖書的にはどちらも近いというわけです。
3)遠い将来に成就されます。
今も未だ成就されず預言的将来に成就します。
つまり預言的な要因を含んでいます。
契約がサインされたとしてもその条項の或るものはすぐに効果を発揮するのではなく、遠い将来に成就する要因があるということを覚えておいてください。
詳しくは中川健一著『ディスペンセーショナリズムQ&A』(書籍のみ1528円)(CD5枚組書籍付き3000円) 16聖書的契約とはどのようなものか 2.条件付契約と無条件契約 4.イスラエルとの契約 5.契約条項の効力発生のタイミング をどうぞ。
八つの契約(2) 2019年9/24へ
Ⅰ.エデン契約