アブラハム契約の歴史的展開レジュメ(1)2016年10/22
神さまの外交方針とは
聖書全体を貫く背骨アブラハム契約
2001年フルクテンバウム博士セミナー『アブラハム契約の歴史的展開』(テキスト) を学んでいます。
ご購入はこちらから(CD2枚組)(MP3版)
練馬桜台聖書フォーラムの学び第2弾がスタートしました。
このレジュメは参加できない方に学びの概要をお伝えする為につくっていますが、参加された方には復習として用いられますように、またこれを見てくださっている未信者の方にはこのレジュメをとおして聖書の楽しさが伝わればと願っています。
救われる方が一人でも多くおこされますように。
フルクテンバウム博士のメッセージを中川健一牧師がわかり易く通訳してくださったセミナーの内容を基に作成しています。
セミナーは何度聞いても新鮮な感動があります。
以下
青色の聖句はセミナーで学ぶ聖句です。
(ここでは原則、口語訳聖書 旧約聖書1955年改訳 新約聖書1954年改訳 日本聖書協会 を使用しています)
「新改訳3」とは聖書 新改訳 ©1970,1978,2003 新日本聖書刊行会
「新改訳2017」とは聖書 新改訳2017 ©2017 新日本聖書刊行会 からの引用です。
赤色の聖句はアブラハム契約をあらわす聖句です。
緑色の文章と( )内は補足説明です。
黒色の文章がセミナーの説明文です。
興味のあるところはリンク先もご覧になってみてください。
では、よろしくお願いいたします。(文責:南真理子)
紙の聖書「新改訳2017」はこちらから
セミナーテキストの1ページ
Ⅰ.アブラハム契約
聖書的な歴史観を理解する大原則
創世記12:1〜3
このセミナーに副題をつけるとしたら:
如何にしてユダヤ人を抹殺するか
ユダヤ人を破壊しようとする全ての試みは
聖書の歴史哲学(聖書が歴史をどう理解するかということ)と深く関わっている
聖書の歴史哲学の原則の最初の宣言:
創世記12:1~3
創 12:1 時に主はアブラムに言われた、
「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。
12:2 わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。
あなたは祝福の基となるであろう。
12:3 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、
あなたをのろう者をわたしはのろう。
地のすべてのやからは
(新改訳:地上のすべての民族は)、
あなたによって祝福される」。
(このレジュメでは口語訳を使用)
神さまはアブラハム(アブラムはアブラハムの前の名前)と契約を結ばれ(これをアブラハム契約と呼ぶ)
以下3つの具体的な約束をされた
1:アブラハムから一つの民族、一つの国家が誕生するようになるという約束
2:この民族、国民に神は土地を約束
3:この国を祝福する者を神は祝福し
呪う者を神は呪うという約束
1:ユダヤ人の聖書定義
アブラハム、イサク、ヤコブの子孫がユダヤ人
(「アブラハムの子孫」にはアラブ人が含まれ
「アブラハム、イサクの子孫」にはエドム人が含まれる)
信仰(超正統派のユダヤ教徒、世俗的ユダヤ人、無神論者、不可知論者、メシアニックジュー(イエスを信じるユダヤ人))によらず
肉体的にユダヤ人であれば変更することはできない
2:ユダヤ人がその約束の地にいようと離散の地にいようと
約束の地の所有権はユダヤ人に属している
3:ユダヤ人を祝福する者は祝福を受け
ユダヤ人を呪う者は呪いを受けるというのが
神の歴史哲学の原則
創世記12:3
12:3 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、
あなたをのろう者をわたしはのろう。
地のすべてのやからは
(新改訳:地上のすべての民族は)、
あなたによって祝福される」。
は神が異邦人(ユダヤ人以外の民族)をどのように扱うかを宣言された
「神の国の外交方針」とも言える
この神の外交政策が具体的に歴史上どのように個人的 国家的なレベルで展開されていったのか
またそれが今日の教会の役割とどう関係しているのかを学んでいこう
Ⅱ.個人的なレベルでのアブラハム契約の発展
A.創世記12:10〜20
創 12:10 さて、その地にききんがあったのでアブラムはエジプトに寄留しようと、そこに下った。
ききんがその地に激しかったからである。
12:11 エジプトにはいろうとして、そこに近づいたとき、彼は妻サライに言った、
「わたしはあなたが美しい女であるのを知っています。
12:12 それでエジプトびとがあなたを見る時、これは彼の妻であると言ってわたしを殺し、あなたを生かしておくでしょう。
12:13 どうかあなたは、わたしの妹だと言ってください。
そうすればわたしはあなたのおかげで無事であり、わたしの命はあなたによって助かるでしょう」。
12:14 アブラムがエジプトにはいった時エジプトびとはこの女を見て、たいそう美しい人であるとし、12:15 またパロの高官たちも彼女を見てパロの前でほめたので、女はパロの家に召し入れられた。
アブラムは半分ホント(妻サライはアブラムの異母兄妹)半分ウソ(本当は妻)をついている
その結果 妻はパロ(ファラオ、エジプトの王の称号)のハーレムに引き入れられた
パロ以上に悪いのはアブラムだったが
神はアブラムと契約を結んでいたのでこの状況の中に介入される
12:16 パロは彼女のゆえにアブラムを厚くもてなしたので、アブラムは多くの羊、牛、雌雄のろば、男女の奴隷および、らくだを得た。
12:17 ところで主はアブラムの妻サライのゆえに、激しい疫病をパロとその家に下された。
12:18 パロはアブラムを召し寄せて言った、
「あなたはわたしになんという事をしたのですか。なぜ彼女が妻であるのをわたしに告げなかったのですか。
12:19 あなたはなぜ、彼女はわたしの妹ですと言ったのですか。
わたしは彼女を妻にしようとしていました。
さあ、あなたの妻はここにいます。
連れて行ってください」。
12:20 パロは彼の事について人々に命じ、彼とその妻およびそのすべての持ち物を送り去らせた。
B.創世記20:1〜3,18
創 20:1 アブラハムはそこからネゲブの地に移って、カデシとシュルの間に住んだ。
20:2 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは、人をつかわしてサラを召し入れた。
場所と王の名前は変わるが同じことが起こっている
しかし神がアブラハムと結んだ契約の故に
ここでも神の介入がある
20:3 ところが神は夜の夢にアビメレクに臨んで言われた、
「あなたは召し入れたあの女のゆえに死なねばならない。
彼女は夫のある身である」。
この背後に起こっていること
アブラハム契約の中の一つに
アブラハムの子孫をとおして将来異邦人が祝福されるという大切な約束がある
アブラハムの8人の息子のうち
イサクの子孫から約束の救い主(メシア[へブル語]=キリスト)がでて
異邦人が救いを受けるということが神の計画
創世記の12章と20章はともにイサクが誕生する前の出来事
もしアブラハムの妻サラが取り去られたならばイサクは生まれず
メシアも生まれないことになる
上記A.B.の記事はともにサタンが神の計画を妨害しようとした事
小原則
神の大きな原則
「あなたを祝福する者をわたしは祝福し
あなたをのろう者をわたしはのろう。」から小原則がでてくる
もしユダヤ人を呪う者があらわれたら
神は同じ種類の呪いをその人にかえすという原則
創世記20:18
創 20:18 これは主がさきにアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの家のすべての者の胎を、かたく閉ざされたからである。
アビメレクの家は婦人たちが子供を産めない状態になった
アブラハムの子供が産めないように妨害した為に
彼自身の家が子孫を残すことができない呪いを受けている
それが呪いには同じ種類の呪いがかえってくるというアブラハム契約の小原則
以上は呪いの側面
次は祝福の面
C.創世記30:25〜30
創 30:25 ラケル(ヤコブの愛する妻でありラバンの次女)がヨセフ(ラケルの長男、ヤコブの11番目の息子)を産んだ時、ヤコブ(アブラハムの約束の子イサクの息子)はラバン(ヤコブの舅であり、伯父(ヤコブの母リベカの兄))に言った、
「わたしを去らせて、わたしの故郷、わたしの国へ行かせてください。
30:26 あなたに仕えて得たわたしの妻子を、わたしに与えて行かせてください。
わたしがあなたのために働いた骨折りは、あなたがごぞんじです」。
30:27 ラバンは彼に言った、
「もし、あなたの心にかなうなら、とどまってください。
わたしは主があなたのゆえに、わたしを恵まれるしるしを見ました」。
30:28 また言った、
「あなたの報酬を申し出てください。
わたしはそれを払います」。
30:29 ヤコブは彼に言った、
「わたしがどのようにあなたに仕えたか、またどのようにあなたの家畜を飼ったかは、あなたがごぞんじです。
30:30 わたしが来る前には、あなたの持っておられたものはわずかでしたが、ふえて多くなりました。
主はわたしの行く所どこでも、あなたを恵まれました。
しかし、いつになったらわたしも自分の家を成すようになるでしょうか」。
ヤコブの伯父ラバンは偶像礼拝者で信条的にはエキュメニカルつまりいいものは全部いいよというタイプだった
しばらくしてラバンは自分の仕事が祝福されているのはヤコブが信じている神(アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神)の故であると気づく・・・
自分の近くにいるユダヤ人にどういう態度をとるかによって神の祝福を受けられるかどうかが決まってくる
D.創世記39:1〜5
創 39:1 さてヨセフ(年寄り子で一番愛されていたのを妬んだ兄たちに17才の時に売られた)は連れられてエジプトに下ったが、パロの役人で侍衛長であったエジプトびとポテパルは、彼をそこに連れ下ったイシマエルびとらの手から買い取った。
39:2 主がヨセフと共におられたので、彼は幸運な者となり、その主人エジプトびとの家におった。
39:3 その主人は主が彼とともにおられることと、主が彼の手のすることをすべて栄えさせられるのを見た。
39:4 そこで、ヨセフは彼の前に恵みを得、そのそば近く仕えた。彼はヨセフに家をつかさどらせ、持ち物をみな彼の手にゆだねた。
39:5 彼がヨセフに家とすべての持ち物をつかさどらせた時から、主はヨセフのゆえにそのエジプトびとの家を恵まれたので、主の恵みは彼の家と畑とにあるすべての持ち物に及んだ。
ヨセフがエジプトに奴隷として売られていく
彼はパロの侍従長(侍衛長)、ポティファル(ポテパル)という人の家で召使いとして働く
侍従長はしばらくしてヨセフが素晴らしい管理能力を持っていることに気付いて彼に全ての家の管理と農地の管理とを任せる
神は異教徒であるエジプト人ポティファルの家を祝福している
その理由は彼がヨセフにとった態度の故
当時はまだ数が少なかったユダヤ人に対して
異邦人がどういう態度をとるかにより祝福か呪いがくるというその始まりが創世記に記された
Ⅲ.国家的なレベルでのアブラハム契約の発展
A.出エジプト記1:8〜11
出 1:8 ここに、ヨセフ(30才でエジプトの宰相にまでなり110才で亡くなったヤコブの息子つまりイスラエル人、へブル人、ユダヤ人)のことを知らない新しい王が、エジプトに起った。
1:9 彼はその民に言った、
「見よ、イスラエルびとなるこの民は、われわれにとって、あまりにも多く、また強すぎる。
1:10 さあ、われわれは、抜かりなく彼らを取り扱おう。
彼らが多くなり、戦いの起るとき、敵に味方して、われわれと戦い、ついにこの国から逃げ去ることのないようにしよう」。
1:11 そこでエジプトびとは彼らの上に監督をおき、重い労役をもって彼らを苦しめた。
彼らはパロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。
エジプトは世界で初めて反ユダヤ的な政策をとる国になってしまった
エジプトがユダヤ人を苦しめる政策の第一ステップはユダヤ人を奴隷にするという事だったが
それがうまくいかないので第二のステップに入っていく
B.出エジプト記1:14〜16、22
出 1:14 つらい務をもってその生活を苦しめた。
すなわち、しっくいこね、れんが作り、および田畑のあらゆる務に当らせたが、そのすべての労役はきびしかった。
1:15 またエジプトの王は、ヘブルの女のために取上げをする助産婦でひとりは名をシフラといい、他のひとりは名をプアという者にさとして、 1:16 言った、
「ヘブルの女のために助産をするとき、産み台の上を見て、もし男の子ならばそれを殺し、女の子ならば生かしておきなさい」。
エジプトは最初の反ユダヤ主義国家になっただけではなく
ユダヤ人を大量虐殺する初めての国になった
出 1:22 そこでパロはそのすべての民に命じて言った、
「ヘブルびとに男の子が生れたならば、みなナイル川に投げこめ。
しかし女の子はみな生かしておけ」。
それは息子を溺死で殺すという方法だった
今回の場合
神が動き出す(神のエジプトへの呪い)までに400年かかっている
神の約束は実現するまでに余りにも長い時間がかかると私たちは思ってしまうが
神が約束されたことは最後には必ず実現する
C.出エジプト記4:22〜23
出 4:22 あなた(モーセ)はパロに言いなさい、
『主はこう仰せられる。
イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。
4:23 わたしはあなたに言う。
わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。
もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。
1章でエジプトがイスラエルに与えた呪いは
イスラエルの男の子を殺すというものだった
出エジプト時に神がエジプトにくだした10の災害の一番最後は
エジプトの初子を全て殺すということ
エジプトがイスラエルに与えたと同じ種類の呪いがエジプトの上にかえっている
またユダヤ人の息子が殺されたのは水の中につける事(ヘブルびとに男の子が生れたならば、みなナイル川に投げこめ。)によってだった
パロはユダヤ人を去らせた後あとを追いかけてくるが
そのエジプトの軍勢を神は海の中で滅ぼしている
エジプトがユダヤ人を破壊させようとしたその方法は失敗に終わった
アブラハム契約については
八つの契約レジュメ
千年王国レジュメ
アブラハム契約の歴史的展開レジュメ(2)2016年11/12
国家的なレベルでのアブラハム契約の発展つづき(出エジプト記:アマレクとイスラエル、サムエル記上:アマレクの王とイスラエルの初代王サウル、エステル記:ハマンとモルデカイ・プリムの祭り・続編)、ユダヤ人の抹殺方法4つ(妻、息子、宣戦布告、反ユダヤ主義政策)、エステル記聖句 へ
引用聖句は日本聖書協会『旧約聖書 1955年改訳、新約聖書 1954年改訳』(口語訳)を使用しています。