文脈:政治裁判の3段階。
ピラトはイエスをヘロデのもとに送ったが戻されてきたので、自分でイエスを裁かざるを得なくなった。
今回の箇所は、宗教裁判、政治裁判のクライマックスです。
(1)3度目の無罪宣言。
過ぎ越しの祭りの間、民衆の感情の高ぶりを鎮めるため罪人を釈放する習慣があった。ピラトは、民衆はイエスを支持していると思っていたので、ユダヤ人の王を釈放する提案をした。
しかし、ピラトが裁判の席についているとき、ピラトの妻からの知らせが届いたので裁判は一時中断された。中断の時間を利用して祭司長、長老たちは民衆を説得する。扇動された群衆はバラバの釈放を要求し、ピラトのイエスを釈放しようとする努力は失敗に終わる。
(2)4度目の無罪宣言
血を見れば群衆は満足するだろうと考えたピラトは、イエスを釈放するためにイエスをムチ打ちに処した。
ピラトは再度イエスをユダヤ人たちの前に連れてくる。もう許してやったらどうか、これでいいだろうというアピールである。
しかし、ユダヤ人たちはイエスを見ると「十字架につけろ」と激しく叫ぶ。なんとしても関わりたくなかったピラトは4度目の無罪宣言をする。
(3)5度目の解放の努力
当時ローマに流布していた、神々の子が人間の姿をとって現れ、人間を裁くという話をピラトは聞いていたはずである。ピラトは恐れを覚えると同時にイエスの静かな威厳に良心の呵責を感じ始めた。「この人は自分を神の子とした」という新しい訴因が出てきたので、裁判のやり直しが始まる。
イエスはご自分の弁護には口を閉ざしているが、ピラトの間違いに対しては口を開かれた。ピラトの権威は限定的に委託されたものである。ピラトよりもユダヤ人たちのほうが罪が重いと。
ピラトはイエスを釈放しようと努力するがユダヤ人たちに脅迫される。
(4)6度目の解放の努力
ピラトは官邸の中庭にイエスを引き出す。ユダヤ人たちは「殺せ!殺せ!十字架につけろ!」と激しく叫んだ。ピラトは言った。「あなた方の王を私が十字架につけるのですか。」6度目の解放の努力をするが、ユダヤ人たちはメシアを拒否しローマへの忠誠を誓う。
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バラバは強盗であった。強盗と訳されているギリシア語は「レイステイス」。反逆者、愛国心を隠れ蓑にしたISのリーダーのような存在だったのかもしれない。日本語の強盗のイメージより更に悪辣非道な悪者であった。ピラトは群衆は当然イエスの釈放を願うだろうと思っていた。
実際の行動に関しては私はバラバのようではなかったが、心の内を見るときそこにはバラバと変わりない悪が渦巻いていた。私が受ける予定であった裁きをイエスは私の身代わりとなってくださった。今こうして自由の身であることに感謝してキリストにある開放に立ち返り、一瞬一瞬を大切に生きていきたいと思う。