ユダはグノーシス主義という異端的な教えの広がりに対処するために手紙を書きました。
「グノーシス主義の特徴は、徹底した二元論にある。すなわち、霊と肉、あるいは霊と物質を分けて、前者は純粋で神秘なもの、後者は罪悪性を持ち堕落したものとした。その結果、人間は肉体を持っているために罪あるものと理解された。」(新聖書辞典より)
この考えの背景には、被造世界は良いものとして創造されたという神による完璧な創造の否定があります。創造された世界は完全であり得ず、不完全で罪悪性を持った物質界にあって人間は苦しんでいるとの理解です。
そして、この考えは、そのような罪悪性を持った肉に神聖な霊が宿ることはあり得ないというキリストの受肉の否定に繋がっていきます。
また、霊と肉を徹底的分けて考えるので、肉の行いが霊に影響を与えることがない。ゆえに肉の放縦を認める教えとなります。
ユダは、異端的な教えをもたらす偽教師の本質を見抜き、彼らに下る神の裁きの厳しさを明らかにしています。
そして、信者たちにこう呼びかけます。
「愛する者たち。あなたがたは、私たちの主イエス・キリストの使徒たちが前もって語ったことばを思い起こしなさい。彼らはあなたがたにこう言いました。『終わりの時には、嘲る者たちが現れて、自分の不敬虔な欲望のままにふるまう』」(ユダ17~18)
今回の学びでは、初代教会の信者たちがなぜこのような教えに翻弄されたのかに言及していませんが、考えてみるのも良いかも知れません。
生まれつきの私たちは弱く、無知で愚かな存在です。
「あなたがたを、つまずかないように守ることができ、傷のない者として、大きな喜びとともに栄光の御前に立たせることができる方、私たちの救い主である唯一の神に、私たちの主イエス・キリストを通して、栄光、威厳、支配、権威が、永遠の昔も今も、世々限りなくありますように。アーメン」