■この手紙が書かれた背景と手紙の内容
ローマ帝国からの独立の機運が高まる中、愛国主義的な同胞から、ユダヤ人信者たちは迫害を受けていました。
エルサレムの神殿に近いユダヤ地方の教会の中では、この迫害が収まるまで、いったんユダヤ教の祭儀に戻ろうという動きが出始めていました。
この動きに対して著者は、警告を発するためにこの手紙を書きました。著者は、手紙の前半で、メシアがどれほど優れたお方であるか、ユダヤ教の三本柱である「天使」「モーセ」「アロンの祭司職」と比較します。そして、後半では、前半で学んだことを信仰生活に適用して、具体的な勧めをします。
■前回までの流れと今回の内容
手紙の読者は、迫害を受ける中で背教を考えている信者たちです。今、彼らに必要なのは、信仰による忍耐です。
そこで、著者は、11章において、信仰による忍耐を発揮した旧約聖書の信仰者たちの手本を語ります。彼らの手本を一言で言えば、苦難の中での忍耐です。
そして、12章では、手紙の読者である信者たちに向けて、信仰によって忍耐するように勧めます。
12章の内容は、大きく分けると二つ、1〜11節が「信仰と訓練」、12〜29節が「信仰と信者の義務」です。
本日は、12章の前半部分、「信仰と訓練」です。そのアウトラインは次のとおりです。
- 信者を忍耐へ導き励ます二つのこと(1〜2節)
- どこまで忍耐すればよいのか(3〜4節)
- 苦難の目的(5〜11節)
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