■この手紙が書かれた背景と手紙の内容
ローマ帝国からの独立の機運が高まる中、愛国主義的な同胞から、ユダヤ人信者たちは迫害を受けていました。
エルサレムの神殿に近いユダヤ地方の教会の中では、この迫害が収まるまで、いったんユダヤ教の祭儀に戻ろうという動きが出始めていました。
この動きに対して著者は、警告を発するためにこの手紙を書きました。著者は、手紙の前半で、メシアがどれほど優れたお方であるか、ユダヤ教の三本柱である「天使」「モーセ」「アロンの祭司職」と比較します。そして、後半では、前半で学んだことを信仰生活に適用して、具体的な勧めをします。
手紙の読者は、迫害を受ける中で背教を考えている信者たちです。今、彼らに必要なのは、信仰による忍耐です。そこで著者は、信仰による忍耐を発揮した旧約聖書の信仰者たちの手本を語ります。ここでは、手本となるひとりひとりについて、短く簡潔に要点だけがきびきびと書かれています。これはもちろん、読者に旧約聖書の知識があることを前提にしているわけですが、同時に、この手紙が背教の間際にある信者たちに宛てた緊急のものであるという空気が伝わってきます。
■今回の内容
へブル人への手紙11章は、信仰による忍耐を発揮した旧約聖書の信仰者たちについて、時系列に語っています。
前々回までに族長時代以前のアベル、エノク、ノアの3人、族長時代のアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフの4人、計7人を扱いました。
前回は、「荒野の旅」、荒野の40年の時代でした。
この時代を代表する人物はモーセですが、へブル人への手紙の著者は、荒野の旅の開始からさかのぼること80年、モーセ誕生のとき、モーセの両親の信仰から紹介します。
モーセの父はアムラム、母はヨケベテ(出6:20)、彼らはエジプト王によるイスラエル民族迫害の中で、命の危険を冒してモーセを隠しました。彼らは、単に我が子を守ったというのではなく、神の使命を持った子であるとの啓示を受けて、信仰をもってモーセを隠すことを決断し、実行したということを見ました。
このモーセの両親に続いて、出エジプトのリーダーとなったモーセ、荒野の旅の最初と最後の出来事の中で信仰を示したイスラエルの民、そして、イスラエルの神に信頼を寄せた異邦人の女性ラハブを扱いました。
今回は、へブル人への手紙11章32〜40節、ギデオンやバラク、サムソンやエフタといった士師たちの群像に入ります。本日は、ギデオンです。前半で前回までの復習をした上で、士師記の時代を概観し、後半でギデオンを見ます。
音声メッセージは、前回までの復習を省き、「士師記概観」と「ギデオン」との2本に分けています。
集会資料(PDFファイル)は、次をクリックしてください。
音声メッセージは、次をクリックして、次に現れる画面の音声再生スタートボタン「▶」をクリックしてください。
前半の士師記概観
後半のギデオン