■前回までの内容
へブル人への手紙は、ユダヤ人信者を対象として書かれた手紙です。当時の社会的状況は、ローマ帝国からの独立を目指す機運が高まる中、愛国主義・ユダヤ教信仰重視が強くなり、教会のユダヤ人信者に対する同胞からの迫害が激しくなっていました。迫害を一時的にせよ避けて、しばらくの間はユダヤ教に戻り、エルサレムでの神殿祭儀に参加しようと考えていたユダヤ人信者に対して、教えと警告と励ましのために書かれた手紙です。
手紙の内容は大きく二つに分けられます。前半は、ユダヤ教の三本柱である天使、モーセ、アロンに対して、イエスが優るお方であることをヘブル語聖書(旧約聖書)を引用しながらの説明です。後半は、それを踏まえて信者はどのように生きるべきかという適用です。
へブル人への手紙の11章は、手紙後半の適用の中で、「旧約の信仰者たちの生き方を手本とする」という内容です。
4節から38節まででは、旧約の信仰者たちが時系列で登場します。
前回までで族長時代以前の時代から3人、アベル、エノク、ノアの生き方について見ました。
■今回の内容
今回から、族長時代の4人、アブラハム、イサク、ヤコブ、そしてヨセフについて見ていきます。
本日は、まず文脈の確認も含めて、前回の内容「ノア」について振り返ります。音声メッセージの前半です。
この中では、大洪水の後、ノアの3人の息子のうちのハムの系統から、人類最初の権力者ニムロデが出たこと、彼の王国の初めはメソポタミアの下流域にあるバベル(のちのバビロン)であったこと、しかし何かの事情があって、彼はバベルを離れて上流域に進み、ニネベなどの町を建設したことを地図も見ながら学びます。
何かの事情とは、バベルの塔事件です。このことは、後半で触れます。
後半は、アブラハムについての第1回「生まれ故郷を離れる」です。
アブラハムはノアの3人の息子のうちのセムの子孫です。
そこで、まず、セムの系図をたどりながら、その子孫たちが、ニムロデに代わってメソポタミヤの下流域から上流域まで、さらに下流域の東のエラム、上流域の西のアラム・シリアにまで展開したことを見ます。
それを踏まえて、アブラハムが住んだウルやハランが、彼の父テラとどのような関係があった町であったのか理解します。
本日の内容は、アブラハムのルーツをたどる学びです。
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