■二つの区分
へブル人への手紙は、大きく二つに分けると、神学的理論を中心とした第一区分とその適用である第二区分になります。
第一区分では、ユダヤ教の三本柱である「天使」、「モーセ」、「アロン」と御子イエスが比較され、御子がこれらよりもさらに優れたお方であることが説明されます。
第二区分では、御子の優位性を理解したうえで、信者はどのように歩むべきかが語られます。
■アロンに優る御子 前回までの内容
今、私たちは、第一区分の3番目の比較、アロンと御子との比較を学んでいます。
「アロンに優る御子」は、4:14から10:18までです。その冒頭で、著者は先に結論と中心的な適用(4:14〜16)を打ち出します。
結論は、「私たちのためには、もろもろの天を通られた偉大な大祭司である神の子イエスがおられる」(4:14)です。
読者である当時のユダヤ人信者たちが、「イエスが大祭司である」と言われて思い浮かべるのは、「ダビデの子孫、すなわちユダ族から出るメシアであるイエスが、大祭司になることができるのでしょうか?」 です。
この想定質問に対して、5:1〜10において「イエスは神によってメルキゼデクの位に等しい大祭司になられた」という説明がされます。そして本来であれば、その次に「メルキゼデクの位に等しい大祭司とはどういうものか」という説明に進むところですが、その前に読者の霊的受容力を整えるために、5:11〜6:20において「第三の警告と勧め」が語られます。
この警告が語られたあと、7:1〜28で、メルキゼデクの位に等しい大祭司とはどういうものか、さらに、なぜレビ系祭司職とは別の大祭司が立てられるのか、という説明がされます。
8:1〜6は、 中間的なまとめ です。いったん止まって、これまで述べてきたことの要点が3つ語られます。その三番目の要点は、御子はアロンよりも「さらにすぐれた務め」(祭司職)を得られたということです。そして、その理由は、御子は「さらにすぐれた契約」の仲介者であるから、と説明されます。
ここから、「さらにすぐれた契約」とは何か、初めの契約であるモーセの律法はどうなるのか、といった論点に展開していきます。
■新しい契約
「さらにすぐれた契約」とは、エレミヤが預言した「新しい契約」です。この預言によって、神のご計画が明らかとなりました。モーセの律法は、古い契約となり、消えて行くものです。そして、イエスの十字架の死をもって、新しい契約が始まり、古い契約は消えました。
■旧約の聖徒たちはどうなるのか
モーセの律法は消えたと言われたら、ではモーセの律法のもとで信仰生活をしていた旧約の聖徒たちはどうなるのか、さらにはモーセの律法では地上の幕屋そのものも血できよめられる必要があったが、同様に天の幕屋もそのような必要があった、といった論点が展開されます。
この説明の中で、旧約の聖徒たちと新しい契約との関係がどういうものか、さらに、御子イエスが十字架で流された血が、人類の救済のみならず、サタンによって汚された天の聖所のきよめのためにも必要であったこと、などが明らかとなります。
■今回の内容
モーセの律法は古いものとして消えたと言われても、当時エルサレムの神殿ではまだアロンの家系に属する祭司たちが動物の犠牲をささげています。モーセの律法はまだ有効なのでしょうか。また、罪のためのささげ物は必要なのでしょうか。
へブル人への手紙の読者であるユダヤ人信者たちは、迫害を避けるために、エルサレムの神殿祭儀にいったん戻ろうとしています。彼らにとって、今回の論点は、戻るべきかどうかを判断する上で、決定的な内容になります。
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