2016年9月17日
□ゼカリヤの預言「二人の羊飼い」
聖書箇所は、ゼカリヤ11章1〜17節です。この預言は、3つに区分できます。
□第一の区分・・・国土の荒廃に関する預言(1〜3節)
イスラエル全土が北から南まで荒廃するという預言です。これは、紀元70年と135年の2度にわたるローマとの戦役で現実になりました。
3節の「牧者たち(羊飼いたち)」は、イスラエルの指導者たちを指します。「彼らのみごとな木々」とは、エルサレムの神殿です。エルサレムの神殿は、紀元70年に破壊されました。
□第二の区分・・・真の羊飼いが拒否されることの預言(4〜14節)
メシアの初臨に関係する預言です。ここでは、メシアは「真の羊飼い」として描かれます。イスラエルの指導者たちは「真の羊飼い」を拒否します。このことが、第一次戦役でのエルサレム陥落(紀元70年)へとつながります。
4節の「ほふるための羊の群れ」とは、イスラエルの民です。5節の「これを買った者」とは、そのときの支配者であるローマ帝国です。イスラエルの民が、ローマ帝国によって滅ぼされることが預言されています。
7節に「羊の商人たち」が登場します。羊を売り買いするという前の内容に沿って「商人」と訳されていますが、原語を直訳すると「羊の悩むものたち」です。「悩む」には、「貧しい」とか「あわれな」という意味もあります。この用語は、旧約聖書の預言者たちがよく使うことばです。預言者たちが、イスラエルの民の中で「悩む者たち」、「貧しい者たち」、「苦しめられている者たち」、「助けを必要とする者たち」というと、それらは、イスラエルの中の少数の真の信仰者(イスラエルの残れる者、レムナント)を指します。
10節の「慈愛の杖が折られた」、これは、イスラエルの民に対する神の守りが取り去られたということです。11節の「その日」、レムナントは主のことばを悟ります。その日とは、第一次戦役でエルサレムがローマの軍隊に囲まれるときを預言しています。そのときエルサレムにいた信者たちは、ルカ21:20に記された主イエスの警告に従って、エルサレムから逃げてヨルダン川を東に渡り、山地の町ペラに避難しました。第一次戦役では、ユダヤ人の死者は110万人にものぼったと言われますが、教会の信者たちからは一人の死者も出ませんでした。
□第三の区分・・・偽の羊飼いが現れることの預言(15〜17節)
神が、「愚かな牧者」(15節)、「能なしの牧者」(17節)をこの地に起こします。彼は偽の羊飼い、偽のメシアです。
紀元131年に勃発した第二次戦役は、ユダヤ側ではメシア運動に発展しました。反乱軍の指導者バル・コクバが、ユダヤ教指導者によってメシアであると認定されたからです。彼が、ゼカリヤの預言に記された偽のメシアです。
この戦役で国土は荒廃し、バル・コクバは紀元135年に戦死しました。イスラエルの民は、国を失い、世界離散となりました。
□今回の内容
前回は、第二番目の区分の途中まで、11節までを扱いました。今回は、第二区分の残りの部分(12〜14節)と、第三区分とを扱います。加えて、イスカリオテ・ユダの死とエレミヤの預言との関係を扱います。アウトラインは、次の4つの項目です。
①良い羊飼いの値打ち(11:12〜14)
②愚かな羊飼い(11:15〜17)
③ゼカリヤ11章の預言のまとめ
④イスカリオテ・ユダの死とエレミヤの預言
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