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メシア的キリスト論 / 預言者 / ベツレヘム・エフラテの預言

2016.03.20

カテゴリー:y メシア的キリスト論

2016年3月19日

ベツレヘム・エフラテよ。あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。その出ることは、昔から、永遠の昔からの定めである。(ミカ5:2)

■預言者ミカ

ミカ1:1によると、預言者ミカは、南王国ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に預言したとあります。この3人の王が統治した年代は、新聖書辞典(いのちのことば社)掲載の「聖書の歴史年表」によると、紀元前750年から687年の間です。したがって、ミカは、メシア初臨からおよそ700年前の預言者ということになります。イザヤと同時代の預言者です。

■ベツレヘムという地名は、2か所ある

ベツレヘムという地名は、北のガリラヤ地方に1か所、南のユダヤ地方に1か所あります。エフラテとは、ユダヤ地方にあるベツレヘムの旧名か、元来近接していた二つの町が合併してベツレヘムの方の名が残ったのか、のいずれかだと言われています。創世記35:19には、「こうしてラケルは死んだ。彼女はエフラテ、今日のベツレヘムへの道に葬られた。」とあるからです。

■ユダヤ地方のベツレヘムの地理

エルサレムの南8キロ、ユダの丘陵地で海抜760mの地点に位置します。温暖な地中海性気候に恵まれ、夏の平均気温は23度、冬は14度。年間降雨量は平均470ミリです。町のまわりは、肥沃な土地で、いちじく、ぶどう、オリーブなどの果樹園に囲まれていました(新聖書辞典)。

■ベツレヘムは、ユダ部族の相続地の中の町。ルツ記に登場

ルツ1:1には、「ユダのベツレヘム」と出てきます。この町の出身者が、ルツの義父エリメレクです。エリメレクはユダヤ地方が飢饉に見舞われたために、ヨルダン川を東に渡り、モアブ人の地に寄留します。このときに、自分も息子も早死にしてしまいます。遺された妻のナオミは、モアブ人で息子の嫁だったルツと共に、ベツレヘムに帰ってきました。

ルツ2:1〜4には、ボアズという人物が登場します。彼は、エリメレクの一族に属する有力者のひとりで、ベツレヘムに住んでいました。貧しい生活の中で、ルツはボアズの畑で落ち穂を拾って義母との生活を立てました。そして、ボアズがルツを妻に迎えるという展開になっていくわけですが、このルツ記の結論は、そのボアズのひ孫としてダビデが生まれるという、ユダ族の系図です。

ルツ:4:18〜22 (ユダ)→ペレツ→ヘツロン→ラム→アミナダブ→ナフション→サルモン→ボアズ→オベデ→エッサイ→ダビデ 

ちなみに、アダムから10代目はノア、20代目はアブラハム、30代目がボアズ、ダビデは33代目です。

ベツレヘムは、ダビデの生誕地。少年時代はここで父の羊を飼う

Ⅰサムエル16:13には、ベツレヘムで、預言者サムエルによってダビデがイスラエルの王となることが預言され、神から任命されたことのあかしとして、少年ダビデはサムエルから油を注がれました。油は神の霊の象徴で、神の霊を受けて神のみこころを行うようになるという意味をもつ儀式です。

Ⅰサムエル17:54では、ダビデが羊を飼っていた地域の中に、のちにエルサレムとなる地域があって、遊牧時の天幕をそこに張っていたことがわかります。ダビデは、ゴリアテと戦って勝利したとき、戦場からいったん離れてその天幕に行き、ゴリアテの剣を置いてゴリアテの首だけを陣営に持ち帰りました。そして、天幕をたたみに帰る暇もなく、そのままサウル王に仕えるようになりました。後年、猜疑心にかられたサウル王からダビデが命からがら逃げたときに、食べ物と武器を求めて立ち寄ったノブの町の祭司のもとに、その剣が保管されていて、ダビデはその剣を手にすることができました。

ミカ5:2では、「ユダの氏族の中で最も小さい」町と呼ばれています。ベツレヘムは、決して裕福な大きな町ではありませんが、ダビデ王の出身地として、ユダヤ人たちは「ダビデの町」と呼ぶようになりました(参照 ルカ2:4)

■ミカの預言から約700年後、ベツレヘムでメシアが誕生

マタイ2:1には、イエスが、ヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとあります。ヘロデ王はメシアが生まれたと聞いて、喜んだわけではありません。彼はユダヤ人ではなく、自分が正統の王になれる立場にはないことはよくわかっていました。自分の地位を脅かすメシアは生かしておくことはできません。ヘロデは、東方の博士たちから聞いていた時期から割り出して、メシアは2歳以下の男の子とわかっていましたので、ベツレヘムとその近辺の二歳以下の男の子をひとり残らず殺させました(マタイ2:16)

■わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る

ミカの預言の中に、メシアは、神の特別な目的、特定の使命を果たすために生まれる、とあります。そして、メシアは人としてベツレヘムで生まれるのですが、その登場については「昔から、永遠の昔からの定めである」と、ミカは預言しました。

■旧約聖書で「昔から、永遠の昔から」というときは、神について用いる表現

この表現と似た箇所は、詩篇90:2、ここでは、父なる神について用いられます。

箴言8:22〜23では、「主は、その働きを始める前から、そのみわざの初めから、わたしを得ておられた。大昔から、初めから、大地の始まりから、わたしは立てられた。」とあり、主である神と同じ永遠なるお方としてメシアが立てられると預言されています。箴言8章の1〜31節は、「呼ばわる知恵の声」の預言とも言われます。メシアは、神の知恵が人となって現われたお方であり、「丘の頂、道のかたわら、通り道の四つかどにち、・・・大声で呼ばわって言う」、まさにイエスの公生涯、伝道のあり様のひとこまを預言しています。

■ミカの預言の中心メッセージ

メシアは人として生まれる、ある時、ベツレヘムで。しかし同時に、永遠の昔から存在されるお方、すなわち神である。

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